あらすじ
華族の父親に嫌われ、座敷牢で育った少女・せつな。京の都に住むあやかし警邏隊・藤十郎のもとへ嫁ぎ、徐々に二人は好き合うようになる。だがせつなには決して結ばれることのない、生まれもった運命があった。
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Posted by ブクログ
良家のお嬢様として嫁に出されたせつなだったが、嫁ぎ先に夫はおらず、一度も顔すら見ぬまま2年が経ち、いよいよ離縁の話が持ち上がる。実家に戻りたくないせつなは、夫の居る京へコッソリ単身向かう事になり…
実家でも不義の子として虐げられ、夫を婚家でも当主にする為に嫁いだのに、それも叶わず厄介者扱いのせつな。京へ赴くもこれまた役立たずで不憫でしたが、性根が優しいせつなに徐々に心を開いて行く警ら隊のメンバーと夫の藤十郎。やっと居場所を見つけたと思った矢先、せつなが実家で座敷牢に閉じ込められていた本当の訳が又不憫で…
それでも、漸く心を通わせたせつなと藤十郎の未来が明るそうでホッとしました。
シリーズ化希望です!
Posted by ブクログ
旦那様が本当に優しくいい男で、嫁を放っておいた事情も分かるものがあった。
彼には大事なお役目もあったし、過去の件がトラウマになっていて、自分の幸せは二の次状態。
そんな旦那を追いかけてきた妻も、座敷牢で育った訳ありだが、根はいい子で、不器用ながら役に立とうと旦那様の職場で奮闘。
二人とも本当にいい子(子?)なので、自然と距離は縮まるし、帯にある「幸せになれない秘密」とはどこにあるのだろうと途中まで思っていた。
中盤以降までは、その気配があまりないので。
ところが、嫁が何故座敷牢に入れられていたかが分かると、風向きが変わる。
作中にも多少伏線はあったし、何より作品タイトルが今にして思えば意味深長だった。
これが分かる直前までは本当に二人の仲は問題なく思えたので、突然明らかになった際は、こちらも胸が痛んだ。
しかも嫁に不利になる展開が怒涛の勢いで続く。
ただそこから先の逆転の展開は、こちらの予想を軽々超えて行ったが。
旦那様、全部知っ(過度なネタバレになるため伏せ)
出自がどうあれ、過去に何があったとしても、これからを生きていく二人は、そんなものに縛られず、未来に繋がるものを選んでほしいと思う。
互いに自分の幸せを第一に願ってこなかった二人だから。
その第一歩が最後のあのシーンだと思うと本当に感慨深い。
主役二人は本当にいい子だが(二度目)サブキャラクターも個性的なメンバーが多い。
あるキャラに至っては盛大な伏線を背負っているので、読む際は注意して読むと楽しいかも。
個人的には、嫁の立場が分かった時に(何しろ彼女は最初自分の立場を隠していたので余計に)凄まじい手のひら返しを見せてくれた佐々木が印象的だった。
キャラ変わりすぎだろうという……あと、隊長好きすぎだろうという。
そこが可愛らしく憎めないキャラである。
Posted by ブクログ
さらっとして読みやすい物語でした。
登場人物に変な癖や裏側ないのでストレスなく読めます。
控えめなせつなと温厚な藤十郎はお似合いのカップルだと思います。
が、いかんせん描写が薄い。作中でどういう街で暮らし、どういう服を着て、どういう風貌で、どういう空気感があってという描写が圧倒的に少ない!
維新後の世の中を舞台としているのですが、時代背景もぼんやりしたまま終わってしまいました。
出てくるあやかしもただ物語のスパイス的役割でがっつり絡んでくるわけではないので、印象が薄い。
あやかしやせつなの出生を削ぎ落として、京で役割をまっとうする夫とそれを追っかけてきた妻&藤十郎の後継ぎお家事情で深掘りしたらふたりの心情に焦点が当たっておもしろそうな気がします。
地味でいいので、あやかしや異能を抜いて、ふたりが心通わせ、暮らしを作っていく夫婦の物語が読みたいと思う今日この頃です。