あらすじ
55歳、仕事で大ポカをして依願退職を強要された人生がけっぷちの広告代理店営業マン、武村竹男(タケ)はお稲荷さんの怒りを買い、1780年代の吉原にタイムスリップしてしまった! しかも自分を揺さぶり起こしたのは吉原のガイドブックで当てている出版界の風雲児、蔦屋重三郎(蔦重)だった! なぜか20代の体に戻ったタケは蔦重のもとで働くことに。そこには後に世界で知られる浮世絵師、喜多川歌麿の若き姿があり、タケは葛飾北斎らとも交流し、蔦重に叱咤されながら、ものづくり、商売、ひいては人生の極意を学んでいく。タケはこのまま江戸の住人となるのか!? ユーモア満点の実用エンタテインメント小説!
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Posted by ブクログ
現代から江戸時代へタイムスリップした武村は、20代前半の若者(タケ)と姿を変え、蔦重に拾われる。
蔦重は江戸で本屋を営んでいて、そこには後の喜多川歌麿が絵師として雇われていた。蔦重はタケも雇う事にするが、その教えがタケを変えていく。
蔦重の教えは、江戸っ子特有というのかサッパリしているのだけれど、芯が通っていて気持ちが良い。付箋を貼りながら読んでいたら最後にキチンとまとまっていた。
ストーリー的にもハッピーエンドだし、タケが現代に、戻った後どうなったんだろう…という疑問も全て解決して、スッキリした。とにかく蔦重が魅力的だ。
若い時に読んでいたら、もっと良かったと思ったけど、武村も55歳でやり直せたと思えば遅くはないのかもしれない。
浮世絵にも興味が湧いた。
Posted by ブクログ
啓発本のようなねらいもあるのかな?と思ったら、涙涙の感動物語。面白かった!
江戸の文化、著名人の周辺知識、伏線回収もいいね!
以下自分のメモ
物事を反対から考えると別な世界が見える
何かできないか、ではなく何ができるか
気が合わない人ほど丁寧に。枝の先に果実あり
性悪説の方が他人を大切にできる。
人は得意なことで失敗する。
苦手なら準備するから失敗しない。
自分の目、相手の目、鳥の目
でもとしかしは、金言を逃す
信者を詰めて書くと儲けるになる
人を率いるには、率いるなりの苦労がある
捨てたところに新しい風が入る
自分に勝つことは他人に勝つことより難しい
Posted by ブクログ
蔦屋重三郎の伝記小説、と思い込んでページを開いたらまさかのサラリーマン登場。よく見たらカバーに東京タワーもあるしタクシーも走ってる。
ということで、部長の椅子に手が届こうか、というところまで順調に泳いで来た広告代理店の営業マンが突然の転落でお歯黒ドブにハマって江戸時代の吉原に転がり込み、蔦重の下で過ごした三ヶ月間のお話。
意外なことに江戸時代の細々とした描写が丹念に時代考証されているらしく、随所に「へぇ」と思わせる小ネタがちりばめられていて楽しい。
蔦重の言葉も何だか現代の成功した起業家の話を聞いているみたいで「ふんふん」と妙に納得させられて面白い。
最後の手紙は、(色々分かってスッキリするんだけど)なかった方が余韻が広がったんじゃなかろうかと思った。