あらすじ
奇蹟のピアニスト、フジコ・ヘミング。幼い頃から才能を発揮し、高く評価されていたにもかかわらず、不遇の時代をすごしてきた天才ピアニスト。1969年、リサイタル直前に風邪で聴力を失い、やむなくすべてのコンサートをキャンセル。その後、耳の治療に専念する傍ら、ピアノ教師として生計を立て、演奏活動を行ってきた。1999年、そんなフジコを取り上げた『フジコ~あるピアニストの軌跡~』(NHK)が放送されたことがきっかけでブレイク。多くの苦難を乗り越えたフジコの演奏は視聴者の魂を揺さぶり、大反響を巻き起こした。ピアノと共に壮絶な人生を歩んできたフジコ。本書では「うまくいかないほうが当たり前」「じぶんらしく生きる」という、偉才ならではの人生観や死生観、生活観に迫った気持ちが軽くなるエッセイです。フジコに密着し続けてきた写真家・中嶌英雄氏の貴重写真も多数掲載。
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Posted by ブクログ
フジコ・ヘミングさんの人生哲学、タイトル通りです。わたしは共感できるところが多いので読んでて癒やされます。
ご多分に漏れず1999年のNHKのドキュメント、「フジコ、あるピアニストの軌跡」から、フジコさんに興味をもちました。番組制作のきっかけや撮影時のエピソードが載っていておもしろかったです。
苦難の連続のフジコさんですが、ドイツでほそぼそと生活はできていたし小さくても演奏会は開けていたようだし、なにより有名な音楽家の前で演奏する機会はときどきあった。この本は今までを総括して小さなエピソードなどもとても多く書かれています。いいこともちょいちょいあったじゃない〜と思えます。
当時、NHK以外でもドラマなど制作されたりしていろいろ見ましたが、メディア側は、よりドラマチックに見せるためか、とりわけ苦難の部分だけを取り上げてると思います(それがあのラ*カンパネラの哀しい調べに乗っかって、見る人の情をかき立てた。わたしもかきたてられた一人)。この本を読むと、フジコさんの人生にはもっともっと膨らみがあることがわかります。いままで認識していた事実もじつはそうではなかったり後日談があったり、いい意味で裏切られました。
よかった、また読みたいです。