あらすじ
「お父さんが出所されました」大手企業で働く健人に、弁護士から突然の電話が。20年前、母と妹を刺し殺して逮捕された父。「殺人犯の息子」として絶望的な日々を送ってきた健人の前に、現れた父は――。
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Posted by ブクログ
幼い頃、父親に母親と妹を殺され伯父の家と施設で離れ離れになった兄弟。
被害者家族でもありながら加害者家族でもあるという重いテーマの話。
竹内が、頼り甲斐のある芯の太い人だと感心して読み進めたらどんどん女性問題も出てくるしギャップにびっくり。
なんだか色々てんこ盛りで最後にうまくまとまっていなかった感があるなあ。
Posted by ブクログ
犯罪被害者の家族がテーマとなった暗く重い内容だった。しかし、人間どんな過酷な状況に置かれても立ち直れるという、一筋の光を見いだすことを予感させるものだった。スリリングな文章構成に引き込まれた。
Posted by ブクログ
父が母と妹を殺し、辛うじて助かった浅野健人が苦労して食品会社で順調に生活している中で、社長に脅迫状が届き、それに対処する健人の苦労話だが、20年前の出来事から現在までのエピソードを刻々と並べて、映画を見ている感じの構成だった.弟の正俊の存在が事件と大いに関連が出て来るが、社長の竹内一正からの信頼もあり、健人の対応がある程度功を奏する.恋人の有希子と過ごす時間の存在が、殺伐としたストーリーの中でほっとするものを感じた.
Posted by ブクログ
評価を付けるのは難しい作品だった。
緊迫する物語の合間に挟まれる、主人公と周りの人々の食事の描写が、登場人物たちが生きていることを感じさせた。またそのリアルな描写が読者の食欲をそそらせ、どこか現実離れした物語と読者をつなげているように感じた。「食べることは生きること。」食に全く興味がない人も一定数いる中で、主人公がそのタイプではなかったことは大きな救いだっただろう。
読み進めながら、砂の家というタイトルにはどんな意味が込められているのだろう?と考えていた。
もし砂でできた家で暮らしていたら、ざらざらしていて脆く、あまり希望は感じないだろう。しかし解説を読んで初めて、砂の家は意外と脆くなく、壊れても再構築しやすいという特性を知って、物語全体の見え方が少し変わった。
父親が人殺しという環境は同じ中で、主人公と弟・正俊の道を分けたものは何だったのだろう。弱った人間には手を差し伸べてくれる人がいる。ただそれがどんな種類の救いなのか、は運でしかない。日の当たらない道に引き込む人もいれば、日の当たる道に引き込んでくれる人もいる。それを冷静に判断する力をまだ若く、壮絶な経験をした彼らに求めるのは難しいかもしれない。
Posted by ブクログ
感想を簡単に言うと
【恨みは何も産み出さない】
ですかね…
なんでも他人のせいにしても、意味ないし
自分の人生は自分で決まるんだから自分の事だけやって
余裕があれば他人に幸せを分けるだけ
人のせいにする人は他人の足を両手で掴んでるからその間 、両手塞がってるから
自分がやるべき事は出来ない
スーパーボールは強く投げればその分強くかえってきて
優しく投げれば優しくかえってくる
ってことだと思います
Posted by ブクログ
堂場瞬一さんの初めて読んだ作品。
一家心中を図った父親によって殺された母と妹、生き残った主人公と弟。
「殺人犯の息子」として周りからの厳しい当たりに耐えて成長した20年後の兄弟は、進んだ道が正反対だった。一見、真っ当な道を進んでいるように見える兄も心の闇は深い。
主人公の父親に対する恨みや弟に対する負い目、弟の兄に対する嫉妬…第3者が言うほど家族の縁は簡単には切れないし、それぞれの想いがある。
兄弟の成長過程を通して、人の成長において環境や良い影響を与えてくれる人の存在の大切さを改めて感じた。
物語自体はこじれることなくスムーズに進んでいくので読みやすいが、個人的には最後がモヤっとした終わり方だった。
でも読み手次第で兄弟の今後について様々考えられるので、そうゆう意味では思考(想像)が広がる終わり方だとも思う。
Posted by ブクログ
途中から健人が社長を守る為に考えていいる事が、よからぬ事だと感じられ読むのが辛かったです。
最後がどうなったんだろう?とスッキリ出来なかった。
Posted by ブクログ
私は物語はハッピーエンドで終わって欲しい、といつも思う。
もちろんイヤミス、ホラー、その他の本を読まないことはないわけではないが、どこかに救いを求めてしまう。
現実の追体験だけでは苦しいから。
さて、そんなことをいうのだから、本書が(私の心とは反対に)少し不本意な終わり方になってしまったのは十分香らせられたかと思う。
犯罪者の子供は犯罪者か?
子供の人生はどう変わるか、がメインテーマだが、なんとも苦しい結末となった。
主人公の弟正俊が不憫でならない。
もう、大人になってしまった彼は変わらない、かもしれない。
きっとこういうことは往々にして起こる。
主人公の浅野健人は苦しいながらも勤務先の社長と出会ったことで学費やその日の糧を得られ、「普通」の生活を送っている。
社長には多大な恩を感じている。
これが社畜の始まりで、これが終わりまで続く。
男女の違いを簡単に言うのは時代にそぐわないかもしれないが、男性的な生き方だと思った。
会社が存続してくれればいい、自分はどうなってもいい、自分はなんとか立ち上がった、迷惑をかけないように生きてきた…。
なんだか息苦しい。
恩はあっても会社に人生を捧げたいとは思わない。
物語の本質はそこじゃない、のはわかっているが、主人公の行動は理解し難い。
子供の頃の環境が大事なことも、救ってくれる大人がいたら依存してしまうことも、頭では理解できる。
だが、せめて小説の中は夢を見せてよ。
現実には助けてくれる大人が少なくても、いないわけじゃない。
正俊が救われて欲しかった、その思いでいっぱいだ。
最後の展開が読めなかった
大手企業で働き、愛する恋人もいる。一見すると順風満帆に見える主人公・浅野だが、その一方で暗い闇から救い出してくれた恩人や家族との繋がりに囚われており、また恋人とは結婚に踏み切れないままでいる。父の出所、弟の存在、恩人のスキャンダル、恋人からの催促…様々なトラブルや重圧に押しつぶされそうになっている浅野の描写が巧みであった。設定上リアルよりもフィクション味がやや強く感じられたが、最後の結末は想像以上で、思わず見返してしまった。ハッピーエンド好きとしてはざらつく終わり方に感じられたが、浅野が過去ときちんと向き合い一歩前へ進む決意をするところで、少し救いがあると思った。