あらすじ
フィンランドで出会った年齢も性別もばらばらな4人。共通しているのは「くらげ」「異次元」というキーワード。異次元なんてあるわけない、けれど……!? 心がすうっと楽になる、世界が広がるサプリ小説。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
【こことは違う世界があると想像できる救い】
4人の日本人が、フィンランドの森にある異次元への入り口を求めて、ホテル・メドゥーサに辿り着く、ちょっとファンタジックなお話。
矢野多聞40歳。梅林希羅々25歳。燕洋一50代。 久遠典江、50歳。
読者は、4人それぞれの語りから、ホテル・メドゥーサに辿り着いた経緯を知る。そして、ホテルで巡り合った4人の交流やそこで過ごす時間は、さらに4人それぞれが、未知なる異次元に足を踏み入れるかの決定に影響を与える。
世界の相対化、
好奇心、
いろいろ考えながら、楽しく読ませていただきました。
Posted by ブクログ
短いが結構ぎゅっと詰まった感のある小説。
ここまでの人生に何か未練をもつ男女4人が、フィンランドの森近くにある宿に集まる。その森には五次元への入り口があり、亡くなった人に会えたり、人生をやり直せたりするらしいという噂を何かで知って、集まった4人。
殺人を犯してしまったかもしれないと逃げてきた占いバーのマスター、自然な笑顔ができない20代の女性、最愛の妻を亡くして消沈する男、子育て、介護、夫の定年まで家の仕事を勤め上げてきた初老の女性。
彼らそれぞれの人生は普通にどこにでもありそうなもの。つまり普通にどこにでもありそうな人生を送っている普通の日本人(自分も含めて)は何か人生に後悔をおいてしまっているんだろう。
やり直せるなら、やり直すのか?その後悔を置いたまま軌道修正をする人生を送るのか?
ラスト、4人はそれぞれの選択をしていく。決して誰も否定されず自分の意思をもって選択する4人の姿が非常に良い。自分の人生だもの、自分で選んでいきたいよねぇ。
フィンランドという設定が生かしきれてない(別にアイスランドでもニュージーランドでも波照間島でもいいような気がする)のが少々残念。あと、文庫化する際の改題はもう少し情報としてメディアに乗っけて欲しい。それらの不満は些末なもの…良いものを読ませてもらったという気持ちを持てる小説。
Posted by ブクログ
北欧・フィンランドの森。
残念ながら一度も訪れたことはないけれど、映画『かもめ食堂』で観たことならある。
深くて濃い緑に溢れ、張り詰めた空気が漂い森全体が静まりかえる。空から微かに降り注ぐ木漏れ日が辺りを柔らかく包み込む。神聖で神秘的な空間。
そんなアルファ波がたくさん発生しそうな場所になら、異次元へ繋がるドアがあってもおかしくない。
人生をやり直したい、と心から願う4人の日本人が時を同じくして、何か不思議な力に導かれるようにはるばるフィンランドの森の中に佇む"ホテルメドゥーサ"に集まった。
いざ異次元へ、となった時、本当に行くべきか悩む4人が森の中で話し合う。
年齢も性別も育った環境も様々な4人は、異次元への期待と今いる星・地球について思いを巡らす。
その中で特に印象深いのは"後戻り"について。
この星のいいところは後戻りできないこと、と言う一人の言葉「俺の人生、正直やり直したいことばっかりだけど、もしも本当にやり直しがきいたら、全然前に進めなくてどこにも行けなくなりそうだもん。やり直せないから、どうしようもなくなって、こんなところまで来ちゃったわけですよ。後戻りできないからこそ、今、俺はここにいる」
異次元の世界のように、何度でもやり直しし放題なのは一見良さそうに思えるけれど、それでは一向に先へは進めない。やり直しなしの一度きりの人生もまたよし、と思えた。
一度きりの人生、その場に留まるのも先へ進むのもその人次第。どちらが正解なんてない。
迷って悩んで自分の気持ちを受け止めた末に、自分で決断することにこそ意義がある。
フィンランドの母なる森らしく、迷える人々を優しくおおらかに包み込んでくれる物語だった。
Posted by ブクログ
異次元に引き寄せられフィンランドのホテルに集まる4人の日本人。
矢野は人を殺したかもしれなくて異次元に行きたいしきららはこの世界が自分にはあってないと思って異次元に行きたい。
典江は幼少期にすでに異次元の人と会っていて導かれるようにここに来てる。
燕は亡き妻に会いたくて異次元にいきたい。
それぞれ理由がありつつもくらげキャラメルなど4人は何かしら繋がっていて集まるべくして集まってる。
最終的には典江と燕のみが異次元にいく選択をすふが、異次元の様子は描かれてなくて読者が想像する無限の異次元が広がっているのが良い。
結局は矢野は人を殺してなかった。きららに関してはその後どうなるのかは分からないがきっと明るい未来になってくれるだろう。