あらすじ
圧倒的共感度で大注目の著者が贈る“人生がいとおしくなる”恋愛小説。ためらいなくつないだ手を、離せるように、隣を歩くあなたを信じたい。世の中の「あたりまえ」につまずいてばかりいた万智子。でも、自分のままでいたいと願うことで世界は変わってゆき……。砂丘の町で育った万智子は大阪の税理士事務所で働く24歳。顧客のウエディングドレスサロンのオーナー了さんに頼まれ、週末だけお手伝いのアルバイトをすることに。了さんに連れていかれた「あつまり」で万智子は美しくてかっこいい年上の女ともだちに出会う。そんなある日、サロンに早田さんという男性が現れ、人生はじめての「恋」のときめきを感じる万智子だったが……。きれいになるのは誰のためかをぜったい間違えたらあかんでー自分を好きになりたい万智子の、小さな勇気を抱きしめたくなる成長物語。
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Posted by ブクログ
税理士事務所で事務として働いている万智子が、顧問先のドレスクチュールでも働くことになり、歳の離れた友人ができたり、なりたい自分について考えるようになるお話。
優しい気持ちになるのに、自立したいなと前向きになれる一冊だった。
読みたかった寺地作品だー!という印象。
タイトルは、理想の地を指しているのかと思っていたけど、早々に不安定な足場のことを指していることが分かって、その時点でもう面白くなる予感しかしなかった。
登場人物が多くて混乱した部分もあったけど、万智子の持っている偏った考えを、過去もしくは今の私も持っていることに気付いてハッとさせられた。
了さんたちみたいな友人素敵だなあ。
早田さんのことも私だったら理解しようとせずに去っていってしまうかもしれない。
早田さんと同じ方向を見て歩いていこうとしながらも、それを恋愛として捉えてるわけじゃないのもいい終わり方だったなあ。
でも今回一番素敵だったのは、万智子の父。
亡くなった妻を自身の半身と感じて、娘が泣いているかもと鳥取から大阪に来てくれる。娘の職場で「ほんとうにいい子なんです」と言われて「存じております」と返す父。素敵。
Posted by ブクログ
自分のテリトリーではない場所。それは、他人の価値観の上。やわらかい砂の上をはだしで歩くようなおぼつかなさを感じながらも、歩いていく。自分の価値観という靴を履かずに。
友達は、自分の良い面だけみせて付き合えるものではない。全部含めて友達。
友情が何たるかを再確認できた本だった。
Posted by ブクログ
面倒くさい主人公と、カッコ良いけど、ダサい早田にイライラしたけど、
まあ、ラストにほっこり。
これ、ネタバレ?…一応、そうしとこう。
菊ちゃんにも、むかっとした時あるけど、
あとの登場人物は、好きな人たちばかりで、幸せな寺地はるなワールドだと思った‼️
Posted by ブクログ
⚫化粧をしても、服を替えても、わたしは別人のように美しくはなれなかった。でもいつだっ たか美華さんが言った「自分に自信を持つ」ということは「わたしは美しい」と思えるという 意味ではなかったと気づく。
わたしがわたしのまま世界と対峙する力を持つ、ということなのだ。不躾な他人の視線を、毅然とはね返せるということ。
この一文が心にストン、と落ちた。
日々、「自分を好きになりたい」「自信を持ちたい」と悶々と考え、でも自信持をつ方法すら分からず、他人と自分を比べては自己嫌悪な自分。わたしがわたしのままで歩いていくこと。自分に自信を持って生きていくことってそういうことだよなぁ。
万智子や了さん達、早田さん。みんな少しずつ格好悪く、弱い。でもそんな格好悪い部分も含めて、とても魅力的な人達だった。
⚫「あんたが自分の思う『正しい生きかた』を 実践するのは勝手やけどな。それを盾に他人を裁はどうなん。ちょっと傲慢なんとちゃう?」
美華さんの言葉がグサグサ刺さる。私には万智子に似ている部分が沢山ある。
自分の中の「正しい」に他人を当てはめては勝手に失望したり期待したり、押し付けようとしたり。日々の自分の言動と行動思い返せば思い当たる節ばかり…
万智子が早田さんの弱い部分の受け止め方を変えたように、私も人に対する受け止め方をもっと柔らかく、フラットなものにしていきたいと思った。
万智子がとてもたくましい女性になりそうな気がしてワクワクするラストだった。
寺地さん作品好きだなあ。