【感想・ネタバレ】読み替えられた日本書紀のレビュー

あらすじ

(目次)
プロローグ 『日本書紀』一三〇〇年紀に向けて

第一章 中世日本紀の世界へ
1.『釈日本紀』と「日本紀の家」
2.『太平記』が伝える「中世日本紀」

第二章 戦乱のなかの『日本書紀』
1.伊勢神宮に伝わった「秘書」
2.応仁・文明の乱と吉田兼倶

第三章 「日本紀講」と平安貴族たち
1.「日本紀講」の現場へ
2.『源氏物語』のなかの「日本紀」

第四章 儒学者・国学者たちの『日本書紀』
1.山崎闇斎・出口延佳・新井白石――儒学系の学者たちはどう読んだか
2.本居宣長・平田篤胤・鈴木重胤――国学者たちが読む『日本書紀』

第五章 『日本書紀』の近・現代史
1.維新変革のなかの『日本書紀』
2.近代学問は『日本書紀』をどう読んだのか

第六章 天武天皇・舎人親王・太安万侶――『日本書紀』成立の現場へ
1.『古事記』『日本書紀』、ふたつの神話世界
2.「日本紀講」に埋め込まれた神話

あとがき

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Posted by ブクログ

古事記偽書説(正確には序文が後世の作で、本文は多氏の家伝、権威付のために天武天皇の意向を偽作したとする)の章はいかにも空中戦で苦しい。文献史学だけで、“弘仁私記序"を深読みすればこう解釈できる、と言われてもさいですかとしか思えない。日本書紀だから「ある書に日く」を真似てるのだとしたら書き方が悪質だが…
中世日本紀の話だけにしときゃいいのにと思いますね

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2021年01月03日

Posted by ブクログ

学生時代、日本史が得意とはいえなかった身なので、読み進めるためには、かなり居直った状態にならないとつらいものがあった。読み進めていく間ずっと『習ったはずなんだけどなー見たことある名前なんだけどなー』とか思いながら読んでいた。
いわゆる『日本書紀』の解説本ではなく、古代、中世、近代、現代とどのように『日本書紀』というものが読まれていたのか、解釈を受けて後世に伝わったかという視点で話が進む。正史扱いをされている『日本書紀』が、さまざまな背景を背負いながら、どのように解釈され政治的に利用されてきたかということも赤裸々に書いてあるので、多分困惑する読者も多いのではないかと思った。実際のところ私は大いに困惑した。けれども、ある意味納得していたりもする。正史ではない娯楽でしかない漫画や小説ですら、さまざまな『配慮』という理由で描かれ方に変化が生じる。当時はおそらく、改ざんのつもりはなかったのだろうけれども、結果的に『配慮』が積み重なり、改ざんとなってしまうことも生じるのだろうと思う。それを理解した上でいまある古典を理解しなければ、見誤ることは多いに違いない。
とても勉強になった本だった。

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2025年03月08日

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