【感想・ネタバレ】まだ温かい鍋を抱いておやすみのレビュー

あらすじ

「遠くへ行きませんか」「行くー!行きましょうぞ!」スポーツ用品販売会社に勤める素子は、同じく保育園に通う子供を持つ珠理を誘って、日帰り温泉旅行に出かけることに。ずらりと食卓に並ぶのは、薬味をたっぷり添えた鰹のたたき、きのこと鮭の茶椀蒸し、栗のポタージュスープ。季節の味を堪能するうち、素子は家族を優先して「自分が食べたいもの」を忘れていたこと、母親の好物を知らないまま亡くしてしまったことに思いを巡らせ……(「ポタージュスープの海を越えて」)彼女が大好きな枝豆パンは、“初恋の彼”との思い出の品。病に倒れた父の友人が、かつて作ってくれた鶏とカブのシチュー。――“あのひと口”の記憶が紡ぐ6つの物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

私とよく似た人がたくさん出てきた気がする。てことはどの人も普通の平凡な人たちなんだろう。どっか満たされない部分とか、どうしても埋められない隙間を、なんとかしようとする食事。食べることは生きることだってことなんだろうな。ポタージュスープの話は「夢オチかよ!」なんて全く思わなかったばかりか、なんだこの話すごいって読み終えてしばらくゾワゾワしてた。不思議で温かくて、この人の作品好きかも。

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2024年01月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

P35
「嫌われることが一番こわかったけど、今は、自分の事を自分で決められなくなることの方がずっと怖い。本当にそう、思います。」

P81
「それでも俺は、これを、かなしい食べ物だって思う。だからいつか灯がどん底だけを信じるんでなく、他の、もっと幸せなものに確かさを感じて、このパンを食わずにやっていける日がくればいいって願うよ。」

透くん、ナイスやん。

P124
「夜泣きした下の子を抱っこで寝かせてたら、ヤキモチ焼いた上の子がぐずって起きて、それから二人とも全然寝ないんだけどなんだろうこの地獄」

クスッと笑ってしまった。あるある!そんな地獄。

P176
「正しいとか、誤解とか、そういうのに関係なく、私は幸の安心と納得を優先したいんです。」
夜子の行動がかっこいい。

P217
万田が残した鍋の音だ

あぁ。帯の通り、〝極上の食べものがたり〟だった。

以前にも読んだ気がするがあまり深い感情移入はなく、さらっと読んでしまった気がする。これは読む年代で違うかも。
40代になった今、沁みて沁みてじんわり泣けてくる。自分の人生をを振り返り自分の今の立ち位置を確かめる。いいタイミングで読んだと思う。
誰かを失った時、心がぽっかり空いたとき、また読み返したい本だった。

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2024年01月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

食事をキーにした6つの短編集。特に「シュークリームタワーで待ち合わせ」と「大きな鍋の歌」がよかった。夜子が何となく自分に似てる(笑)夜子が幸のために食事をふるまっていくのはすごく良かった。
特に後半の2編に食と生のつながりを強く感じて心に響いた。
普段自分は別に料理が好きでもないし、人にふるまうよりふるまわれる方が好き。でもスキルのない人でも容易に、あたたかく優しさを伝える事ができるものに料理や食があるんだなと温かい気持ちになった。

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2024年05月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

それぞれの登場人物の、食べ物に関しての思いが書かれているお話だけど、全体的にふわっとしててよく分からなかった。「鳥」はあまりにも空想的だし、枝豆パンは家庭で何が起きたのか、どうして従兄弟に恋愛感情をもったのか(彼氏の目線で初恋の男と断定されただけで、真実が本人から明かされるわけでもなく)、もう少し解説がほしい。4話目と5話目は、少し重めの話ではあるけれど、好きかも。生きること=食べることで死とは反対の行為で、別の立場に置かれているけどそれぞれ死と向き合っている人たちから、生きることは何かと考えさせられた

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2024年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

懐かしい思い出、ほろ苦い思い出。
色々な思いが詰まった食べ物にまつわる短編。

不思議な雰囲気のお客さんは鳥料理を食べない。
波風立てずに全てをやり過ごす彼女に抱いた感情。

つらいときに好きだった人が作ってくれたパン。
複雑な思いでそれを作る彼と、もうそれを食べなくても大丈夫になるまでの彼女。

病気の夫を支えることへの不安から、会社の年下の人と不倫してしまったけれど、そのとき食べた罪悪感たっぷりのミックスピザに勇気をもらうまで。

子育ての息抜きに友達と小旅行で、誰かが作った食べ物を食べて温泉に入って、また日常に戻っていくまで。

幼い息子を亡くして気力を失った友達に、毎日食事を作って食べさせて、なんとか生きる気力を繋いだ日々。

病気で入院中の父の友人が、かつて作ってくれたシチューの思い出。

最初のひと匙のはばたきだけ妙にファンタジーだったような?
かなしい食べ物、好きだった人が作ってくれていた食べ物を今の恋人に作らせるって、なんだか薄気味悪いなと思ってしまった。。。ごめん。
毎日食事を作る身としては、誰かが作ってくれた料理を食べる喜び、とても共感。

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2024年07月20日

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