あらすじ
プログラマの開発資産はソースコードでしょう。けれど、ユーザ企業に大切なのはデータ(情報資源)の方です。この真理は、クラウド移行、ビッグデータ、IoT、AI導入等により重要度を増しています。企業がデータセントリックの視点に立ち返るべきは、むしろこれからでしょう。本書の著者が「伝説の情シス部長」、「日本を代表するITアーキテクト」と呼ばれる理由もそこにあります。
■「本書を推薦します。」
・山岸耕二氏(株式会社メソドロジック代表取締役社長)
・細川 努氏(株式会社アーキテクタス代表取締役社長)
・渡辺幸三氏(有限会社ディービーコンセプト代表)
※本書の内容は、株式会社アイ・ティ・イノベーションのホームページに掲載されている計100回の連載「現場を極めたITアーキテクトが語る」のコンテンツを全面再編集し、著者自身による大幅な加筆・修正を加えて1冊にまとめたものです。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
現行のIT環境を取り巻くバズワードにとらわれることなく、本質的にシステムを構築する上で何が大事かということを「データ」という観点から述べている。
ここまで的確だとある種自明になっていることなのだろうが、それが価値を持つのは「実行するのが難しいから」だと思っている。
スピードがどんどん早くなる中、会社組織やシステムもどんどん複雑になり、相反していく中で開発を行っていくのは非常に難易度が高い。そしてコストや品質、納期も当然ある。
そうした妥協を続けた結果の産物が現状の環境であり、天才が解決するGAFAとかと違い、日系は地道にやっていくしかない、ということを語っているように感じる。
I/F標準は特にその表面の議論に閉じてしまうことが多く、いわゆるStep論で後回しにされそのまま消えてなくなってしまう。。。
Posted by ブクログ
国内外問わず、既存企業にとってDXは死活問題である。そして2025年の崖と言われるように、従来の企業内システムが足かせとなることは目に見えている。コンサルタントは、バイモーダルやSOR/SOEのように分けて、新規投資を進めようとするが、既存システムがカバーする業務プロセスやデータを無視して、新しいことだけやっても事業価値に繋がらない。既存システムをDXに適応するよう、変革しなければならない。そしてこの変革は経営的観点から、短期的なROIも考慮してビックバン的に一度に行うのではなく、価値を出しながら少しずつ行う必要がある。このトランスフォームをどうやって実現するか?
本書の答えは、エンタープライズアーキテクチャ、特にデータハブによる疎結合型のシステムである。筆者は協和発酵キリンの情報システム部長として、データハブを構築し、その手法はIT協会のITマネジメント賞として評価された。データハブでは、ゴールデンレコードすなわち会社の正式データとして、マスタとトランザクションを一元管理し、全てのシステムはデータハブとデータ連携を行う。データハブでは、顧客と得意先などの意味を一般化して、さまざまな業務で活用できる構造にする。トランザクションも一般化して、タイムスタンプと取引コードにより汎用性を持たせる。
なるほど確かにこの方法は、大切なデータを自社システムの中心に据え、クラウドを含めさまざまな周辺システムを上手く活用できるアーキテクチャであり、非常に参考になる。しかし、多くのベンダーが提案するデータ一元化やデータ仮想化、データレイクなどとは異なる考え方で、両立も不可能ではないものの、構築のアプローチが違うため、ベンダー依存の強い企業には難しいだろう。
データを自社のものに、まずはここからである。