あらすじ
【2020年本屋大賞翻訳小説部門第一位受賞作!】“感情”がわからない少年・ユンジェ。ばあちゃんは、僕を「かわいい怪物」と呼んだ――韓国で30万部突破!「書店員が選ぶ今年の本」(2017)に選ばれた感動のベストセラー小説、ついに上陸! 扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳のユンジェは、目の前で家族が通り魔に襲われたときも、無表情で見つめているだけだった。そんな彼の前に、もう一人の“怪物”が現れて……。「わが子が期待とは全く違う姿に成長したとしても、変わることなく愛情を注げるか」――出産時に芽生えた著者自身の問いをもとに誕生した、喪失と再生、そして成長の物語。
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Posted by ブクログ
感情を持たないユンジェともう一人の男の子の物語。どちらも違う方面で怪物と呼ばれ、みんなから変な目で見られている。そんなふたりがどのように交わっていくかが描かれています。
ユンジェが感情が無い分、無駄なことが削ぎ落とされているのでとても読みやすい(あとがきでも著者が言ってます)
感情がないユンジェが、感情がある人がなぜその感情を元に行動を起こさないのか?と疑問を呈するのが印象的でした。
サイコパスと呼ばれる人が多い中で、感情がないからといって感情がある人に比べて冷酷であると考えるのは安易。
感情があるのに他人事のように見ているだけだったり、思ったことを言わない伝えない動かないその方が問題ではないのか。
Posted by ブクログ
非常に面白い作品でした。
主人公の暗い展開から、ゴニが登場して、ゴニによる胸糞悪い展開が続いたが、2人の関係性の変化が非常に興味深かった。感情は言語化できるものが限られていると思っていますが、感情による社会形成は大きなものであるからこそ、難しいのだと感じた。
個人的には、バッドエンドのまま持っていっても良かったのかなと思いました。(否定しているわけではありません!)
話題のヤングアダルト……ということで読むのを後回しにしていたが読み出すと止まらず、遅読な私には珍しくあっという間に読了。感情を理解出来ないという主人公の語り口が淡々としており、不必要な描写がなく、結果的にかなり読みやすく仕上がっている。
いやあ……海外文学を読んでいると度々遭遇する理不尽な暴力に、誰も彼もがぶち当たって、そのたびに涙が溢れて止まらなかった。主人公は愛が理解出来ないというが、母や祖母の愛でもってよほど人間らしく育っていると思う。
偶々愛情と疎遠になってしまったゴニが周囲の人々によって怪物になろうとするのはどうにも痛々しく、悲しい。よくある事なんだけど、本来はとても素直な子供が環境に歪まされるのは、やっぱり辛い。
しかし同時に、大人になった自分はこういう子供達に向き合う事ができるだろうか?と考えさせられた。綺麗事じゃない。たぶん難しいだろう。共感ってのは人と違うものを避けるためにも使うから。
共感とはなんだ、助けない人々、遠巻きに見ている人々の気持ちとは、と考える主人公の言葉があまりに真っ直ぐで、読み終わってもまだ泣ける。
取り敢えずヤングアダルトらしいすっきりした終わりで私は救われた……。本当に良かった……。
Posted by ブクログ
物語の終盤で「感情を取り戻すかもしれない」示唆が出てくる構成は、少しきれいすぎるし、
物語として“回収”されすぎているようにも感じる。
でも、それを予感として提示するだけで、
完全に説明しきらないところは、この作品の良心だとも思った。
語り口が一貫して淡々としているのも良かった。
泣かせようとしないし、
感情移入を強要しない。
この本を読む前私は
「共感って意味あるのかな」という疑問を持っていた。
人はそれぞれ違う世界を生きていて、
不幸に見える人が不幸とは限らないし、
無口な人にも、豊かな内面世界がある。
それを知ってしまうと、
手を取り合って生きること、分かり合うこと、
共感し合うことが本当に必要なのか分からなくなる。
共感は、救いにもなるけど、時にはただの“安心材料”や一時的な麻酔に過ぎないのかもしれない。
『アーモンド』は、
ただ、共感がなくても、人は誰かのために行動できる
という事実を静かに差し出してくる。
感情を持ち、愛を語り、怒り、恐れる、
“普通の人間たち”の方が、
残酷で、無自覚で、他人を傷つける。
一方で主人公の行動は、
恐怖がないからこそできた行動ではあるけれど、
外側から見れば「愛」に見える。
でもそこで問いが生まれる。
それは本当に愛なのか?
恐怖や損得や感情が伴わない行為を、
私たちは愛と呼んでいいのか?
だから読み終わったあと、
「じゃあ愛って何?」となってしまった。
本を読むことで知的好奇心が刺激されて
色々な分野に興味が湧く日々です、楽しい。
Posted by ブクログ
誰かに愛され、そして愛した。「愛」っていいなと実感した本
内容は、感情が生まれつき乏しい少年ユンジェの話。良かった所としては感情が豊かな問題児ゴニとの対比がとてもよかった。
1度、刺されて「感情がないユンジェ」は死んだけど目を覚ました時は「感情のあるユンジェ」に生まれ変わったのかなと読んでて思った。
あと個人的な話だけどこの後に「ライ麦畑でつかまえて」を読む予定だったから話にでてきて「え!」となった。少し楽しみが増えた笑
Posted by ブクログ
感情が分からない&表現できない少年がいかに生きていくか…。ユンジェの周辺、若干物騒過ぎませんか?!と思ったけれど、極端に不安を煽ってくるわけでもなく、それらも淡々として伝わってきました。
『僕の頭の中のアーモンドは、どこかが壊れているみたいなのだ。刺激が与えられても赤信号がうまく灯らない。だから僕は、周りの人たちがどうして笑うのか、泣くのかよく分からない。喜びも悲しみも、愛も恐怖も、僕にはほとんど感じられないのだ。感情という単語も、僕にはただ実感の伴わない文字の組み合わせに過ぎない。』
韓国文学を読んだのは初めてでしたが、日本語訳が素晴らしいものあって、読みやすかったです。
2025.4
Posted by ブクログ
おもしろくて、中盤くらいから一気に読みました。韓国とのカントリーギャップもあるし、読みにくいかと思ったけれど、全然そんなこともありません。感情の表現ができないユンジェと、親と生き別れて不良となったゴニ。クリスマスの日に母と祖母が暴漢に襲われ、母は植物状態、祖母は亡くなります。そこから、ゴニに出会うわけですが、ゴニがユンジェを変えようと、ユンジェがゴニを救おうとするやり取りに目が離せませんでした。人は遠い不幸は他人事で、近い不幸も恐怖により何もできない。ならば、感情なんていらない。良い読書ができました。