あらすじ
ちまたを騒がせるヒアリ、夏の風物詩スズメバチとアシナガバチ、刺されたら最も痛いサシハリアリ……お馴染みの面々から、外国の恐ろしいハチ・アリまで実際に刺されたシュミット博士。
その痛みを毒液や生態と関連させるというユニークな手法で、刺されると一番痛い昆虫、痛みの原因となる物質、ハチ・アリ類の防衛戦略と社会性の発達……素朴なギモンから深遠な進化の歴史まで、ハチとアリの知られざる一面を明かしていきます。
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Posted by ブクログ
長かったけどおもしろかった。
体のどこを刺されたら痛いかの実験で、腕だったり、舌だったり、局部だったり想像するだけで痛い。
ハチやアリの種類で刺された時にどのくらい痛いかの番付表が最後についている。ワインやウイスキーのような評価(コメント)でユーモアが効いてて良き。
Posted by ブクログ
蟻と蜂が刺針をどのような目的で発達させてきたかを、その生態、社会生活を営むのか、単独性なのか、餌との関係なのか、捕食者との関係などに触れながら記述していく。
社会性の高い種ほど、その失うモノ(蜜や幼虫など)が大きいため、外敵に対する刺針とその毒を発達させ、単独性の昆虫は餌を麻痺させる目的で発達させているようだ。特にオオベッコウバチがタランチュラを麻痺させ、巣に運び、卵を産み付ける。孵った幼虫がタランチュラの血や筋肉、脂肪、消化器系などを食べられ、最後まで動いていた心臓を食べられて死ぬという。この部分を読んだ時は、タランチュラが少しだけ愛おしく感じた。
他にもヒアリが拡大した理由に人間とその殺虫剤が関わっていたり、ミツバチの毒が発達したのも捕食者としての類人猿との競争の結果であったりする。
筆者本人が身を以て蜂、蟻に刺され、それを数値化した部分が大きくピックアップされる。しかし、この本の最大の面白さは、昆虫を愛し、向き合い、その刺針を発展させてきた適応に驚嘆する筆者の姿勢だと思う。