あらすじ
ベテランケースワーカーの山川が殺された。新人職員の牧野聡美は彼のあとを継ぎ、生活保護受給世帯を訪問し支援を行うことに。仕事熱心で人望も厚い山川だったが、訪問先のアパートが燃え、焼け跡から撲殺死体で発見されていた。聡美は、受給者を訪ねるうちに山川がヤクザと不適切な関係を持っていた可能性に気付くが……生活保護の闇に迫る、渾身の社会派ミステリー!
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Posted by ブクログ
後半の畳み掛けが凄かった。
心のどこかで山川さんや小野寺さんを信じる気持ちがあったから、この展開にはホッとした。正義感や世間体の優先順位について改めて考えさせられ、悪事は自分だけでなく周りをも巻き込み、苦しめることを再認識した。
Posted by ブクログ
最後が急にハードボイルドになって、驚いたけれど、社会派ミステリーで面白かった。
山川さんが悪者でなくてよかった。
小野寺さんと若林刑事が、素敵な感じに書かれているあたりは、女性作家らしいなーと思いつつ。
Posted by ブクログ
社会保障制度の一つ、生活保護をめぐる問題にフォーカスした社会派ミステリー。
一人の同僚の死をきっかけに、その人物と関わりのあった生活保護受給者を当たっていく。素人探偵的な部分もありながらも、そもそもが彼らの職務の一環でもあるので、無理矢理感がないところが巧み。そこで見えてくる不正受給問題や、裏で暗躍する暴力団。
終盤に向かうに連れて手に汗握るサスペンスな展開で、一気読みしてしまう。
刑事も含めて、それぞれの職務に対する思いも熱く、聡美の信念だけでなく美央や小野寺の諦念もよくわかる気がする。
内通者が誰なのか、ということが少しずつ絞られていくところにじわじわくる怖さがある。
Posted by ブクログ
柚月裕子氏の作品だったので、いつものようにリアリティある実話っぽいストーリーかと思って読み始めたが……
生活保護の不正受給、ヤクザが絡むという展開。生活保護に関する情報や、ケースワーカーの仕事の大変さはあまり知られていないこともあり、興味深かった。
が、臨時職員の主人公がケースワーカーとしてどうなの?と思ってしまうし、警察も関係者とはいえ、内部事情を臨時職員にだけそんなに話していいの?とか、臨時職員の主人公が事件を追うのも無理があるような……という、なんだか違和感が残っていまいち楽しめないまま。
犯人もありがちな方で。
山川さんを疑うような伏線だったので仕方ないが、疑ってごめんなさい。山川さん。