あらすじ
『両京十五日』の著者が描く、三国志の裏側で暗躍するスパイの物語
三国時代の中国。魏・呉・蜀の三国統一の戦いが苛烈を極める中、蜀の間諜の陳恭は、偶然にも蜀へ潜入した魏の間諜の存在を知る。蜀の新兵器の機密を盗むために送り込まれたのか? 一方、陳恭から連絡を受けた間諜対策を行う荀?は、機密を守るために戦うが……
感情タグBEST3
ミステリ好き、三国志好きは是非
同じ作家の「両京十五日」が面白かったので、期待してましたが最高でした!
今回は「三国志」の時代、蜀と魏の連弩の設計図を巡っての密偵同士の駆け引きから、中盤の友好国・呉での諜報戦、スパイ・燭龍の正体を巡る駆け引きと最後まで飽きさせない展開、そして驚愕の真相……!と最高の読書体験でした。
密偵・諜報機関の人物が主役ですが、三国志の英雄達も登場し、ファンも楽しめる作品です。
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三国志✕スパイ小説✕馬伯庸
はいもう面白いー
はいもう★5ー
という期待に違わぬ面白さでした
まーさんやるなー
そもそも『三国志』が大好きなんでね
ずるいわ〜『三国志』にスパイ小説ねじ込むてずるいわ〜
史実と史実の間にちょうどよくフィクションという名の妄想をねじ込む度合いがかなーり絶妙
ずるいわ〜
でもって諸葛孔明先生ですよ
舞台は劉備亡き後の諸葛孔明の北伐のあたりなんだけど、魏延と楊儀がめちゃくそ仲悪いとことか、李厳が平民に落とされた事件とかマニア必涎のエピソードに絡めて蜀漢と魏の諜報戦が展開
でもって諸葛先生が超かっこよくてずるい
わい大好きな姜維もしゅっとしててずるい
一番好きな費禕は出てなくてずるい
ちぃ〜と粗はあったけど、ぜんぜん許せる範囲でした
次は何を舞台に書いてくれるんか楽しみ
Posted by ブクログ
両京十五日ですっかり気に入ってしまった馬伯庸の新作で、三国志の後期の史実を背景に、蜀と魏のスパイ大作戦が繰り広げられる。ただしアクション要素は少なく、自国に潜入したスパイを知的に探すミステリ的展開が主で、最後の首謀者判明に至るまでとても面白く、一気に通読できる娯楽作品となっている。多彩な登場人物の構図と中国の土地・風土の把握が導入のネックになるけど、最近よく入れられているハヤカワの人物表の栞(でかいけど)が大変役に立つ。好みとしては両京の方だけど、本作も良く、とてもおすすめ。どんどん翻訳が進むことを願う。
Posted by ブクログ
★5 三国志の魏と蜀の境界線、漢中郡の隴西における間諜たちの戦いの記録 #風起隴西 #三国密偵伝
■あらすじ
中国は三国時代が舞台。蜀の間諜である陳恭は、情報を盗むために魏に潜入していた。彼は魏の反諜機関の追手を掻い潜り、さらに魏にも間諜がいることを知る。
魏は先の戦で蜀の兵器連弩に軍隊を壊滅させられており、連弩の設計図の略奪が懸念されていたのだ。陳恭から情報を得た荀詡は、機密を守るために奔走する…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 三国志のスパイ小説、もうこの設定だけで優勝ですよね~
私と三国志の出会いは横山光輝のマンガ、大学生の頃でした。それまで時代ものなんて全く興味なかったのですが、友人に勧めらて手に取ってみると、まぁ面白いのなんのって。全60巻を立て続けに読んだ記憶があります。
そんな三国志の魏と蜀の境界線、漢中郡の隴西における間諜たちの戦いの記録です。
本作は主に二人の目線で物語が進行、ひとりは魏に潜入中の蜀のスパイ陳恭(ちんきょう)。もうひとりは蜀の反諜機関に従事する荀詡(じゅんく)。
どちらも知略に富んだ人物であるんですが、常に差し迫る敵に追われ、上官からは難題を課せられ、ずっーーとスリリングな展開にヒヤヒヤしっぱなしですよ。また書きっぷりがエンタメなんすよねー、ほんと上手でぐいぐい読んじゃう。
潜入中の陳恭が大変なのは理解できるのですが、むしろ反諜機関の荀詡のほうがめっちゃ大変なんです。魏のスパイを見つけるべくギリギリの攻防をするんですけど、もうこれハリウッド映画ですね。手に汗握るとはこのこと!
さらに後半には燭龍なる宿敵が現れ、蜀がえらいことになっていくのです。個人的には、この後半のストーリーが大好きでして、ぜひじっくりと読んでみて下さい。魏のスパイから自国を守るため、いわゆる防諜するべく荀詡が奔走するんです。
地味に地味に情報を積み上げて、少しずつ謎に近づいていくんですが、このプロットがぶ厚すぎんのよね。胃の底にガツンと来る読み応えがたまらない。もちろん終盤にかけては海外ドラマみたいにパワフルで、まさしく一気読みでした。
三国志ファンはもちろん、スパイものや海外ドラマが好きな方にもおすすめですね。また映像化もされてるようで、こちらもチェックしたいと思います!
■ぜっさん推しポイント
酒場の娘、柳瑩(りゅうえい)のくだりがエモくって好きですね~、高堂秉(こうどうへい)との会話が初々しいんですよ。ヒリヒリする物語の中で唯一ほっこりするシーン、特に本作は女子の活躍が少ないので際立ちますね。
人間を信じるか疑うかの狭間で生きているスパイ、同僚や仲間同士の人間ドラマも深く描かれます。現代社会でも人間関係は大切ではありますが、人を信じることの重要性と意味合いをよく理解しないといけないと思いました。
Posted by ブクログ
三国志の裏側を描くスパイ小説がル・カレ風らしい。しかも作者は「両金十五日」の方!
というのでワクワクして手に取りました。
スパイがスーパーマン的な働きをしてエンタメに寄るので、作者のあとがきにもありしたが、スパイとしてはフォーサイスの方に近い(フォーサイスも大好きです)しかし悲哀はル・カレ風か。
劉備玄徳亡き後の諸葛亮の治める時代で、三国志が好きな人にはたまらないですが、魏と蜀がピンとこない人にはわかりにくいかも。
Posted by ブクログ
著者の言では「歴史可能性小説」。史実を曲げず、実在の人物と事件の合間に、架空の人物と架空の事件を配置する。矛盾は全くなく、読ませる。
舞台はほぼ蜀の漢中、時は229年初め、北伐第3次から231年春北伐第4次までの出来事、魏のスパイと蜀のの反スパイ組織との戦いを描く。主人公は蜀の反スパイ組織の現場トップ。上司の上司が諸葛亮になる。細部の描写が凄まじいが、基本的に創作らしい。しかしこれだけの組織とその運営がさもありなんとおもわせる。ただ、半分以上頭脳戦で、変化に乏しく、滅茶苦茶に面白いというほどではない。
全500ページで200ページずつの2部構成。間に「間奏」100ページが入る。主人公が呉の武漢に左遷され、呉のスパイと直接戦う。この部分は変化が激しく面白い。前作(中国での出版順は違う)の『両京十五日』を思わせる。