あらすじ
中央競馬会に脅迫状が届いた。「10月2日、中山第10レースの1番の馬を勝たせよ。この要求を受け入れなかった場合には……」最初に2億円のサラブレッドが、治療法のない伝貧(馬伝染性貧血)の犠牲になった。密命を帯びた中央競馬会保安課員・八坂心太郎が北海道へ飛ぶ。『焦茶色のパステル』に続いて刊行された「競馬三部作」の二作目。そうとはいえ、トリックもネタもまったく別なのが素晴らしいところ。もちろん競馬を一切知らない読者もOKというのは三作品とも共通する。1983年刊行。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
岡嶋二人による、初期の競馬三部作の一作。
中央競馬会に、要求に従わなければ「伝染性貧血症」のウィルスを馬に接種するという脅迫状が届く。要求は八百長レース。妻の父で競馬会の理事でもある江戸川から委託されて隠密理に調査を始めた八坂がたどり着く真実とは。
デビュー作「焦げ茶色のパステル」もそうだが、新人作家の作品とは思えない完成度の高いミステリで、複雑に絡み合った様々な登場人物のいろんな思惑が、終盤に見事に解きほぐされて行く様子は一種のカタルシスを読者に与える。30年前の作品ゆえに、現在とは若干の状況の違いがあるだろうが、知識がなくてもちゃんと理解でき、会話主体で人の感情を表現し、最後まできっちり読ませる、岡嶋二人ならではの特徴はすでに本作にも現れている。
Posted by ブクログ
レースで不正をしろとの脅迫状。要求を拒めば治療法のない伝貧を馬に感染させる。最初に2億円のサラブレッドが犠牲になり、更に別の馬も…。密命を帯びた八坂は北海道へ飛ぶ。7年前にも伝貧が確認されある医師が故意に感染させたと疑われ、姿を消していた。
久々の岡嶋二人。競馬はあまり詳しくないけど、関係なく面白く読める。脅迫状から色々な事件が繋がり、怪しい容疑者たちと魅力的。一気に読んでしまった。
Posted by ブクログ
競馬馬が故意に感染症に感染させられていく事件を追う話。
岡嶋二人なので内容はソツないんだけど。
事件を追いかけるうちに浮かび上がる7年前の事件、こういう「実は○年前の事件が」っていう展開が個人的に好きじゃない。読者からするとなんかアンフェアだから。
あと、主人公の非の打ち所のない有能さ、なのに見合い写真で見ただけの女と偶然顔を会わせたら超親しげに近づいていく感じも、好ましくなかった。
主人公が警察でもないのに関係者に事情聴取して、結構情報を引き出せるのも、なんだかな~、と思ってしまった。ま、まだ個人情報にうるさくない時代だからね。