あらすじ
人生は自分次第だなんて、大嘘である。
私たちは何もコントロールしていないが、あらゆることに影響を与えている。
カオス理論や進化生物学、歴史、哲学など、多様な知見を縦横無尽に渉猟し、
世界の成り立ちや人生について考えさせる、壮大かつ感動的な書。
あなたの人生は偶然が支配し、この世界は成り行きの産物である。
成功や失敗も、進化も歴史も、小さな偶然の積み重ねに左右されている。
なのに、なぜ私たちはそこに理由や目的、秩序があると信じてしまうのか?
このような世界を生きることに、どんな意味があるのだろうか?
あなたのすべての行動は、たとえそれがどんなに些細なものであっても、
常に世界に影響を与え続けている。
世界はカオス的であり、人生は偶然によってつくられるからこそ、豊かで価値があるのだ。
『フィナンシャル・タイムズ』紙や『ニュー・サイエンティスト』誌、
ジョナサン・ゴットシャル(『ストーリーが世界を滅ぼす』著者)、
ショーン・キャロル(『量子力学の奥深くに隠されているもの』著者)など、
各紙誌や識者が絶賛する、人生の指針となる「偶然礼賛」の書。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
小説が好きなのは、プロットがしっかりしていて、予期せぬことご起きても、それは伏線があり、回収されただかだと思うと、スッキリしたり、愕然としたりする。
それに対して、現実は筋書きはないし、本当に予期せぬことが起きる。想定したようにならないことが、いくつもの偶然によってカオスになっていく…文章で書くと混沌しか描けないが、だからこその彩を感じ、この本を読む前と後では世界が違って見える。
正直、全くわからないところもあり、読むのに時間がかかったが、これは何度でも捲り返したい。
Posted by ブクログ
社会に出てから、XだからYであると行った一次関数的な要因と結果の関係性が過度に強調されすぎていることに違和感を感じていた。
単純明快で理解しやすい構図が好きではない。そこまで世の中は単純化できないのに人間が理解しやすいように整理されすぎている自己啓発本に対する嫌悪感もこの違和感に起因していたと思う
だからといってあまりにも決定論すぎる考えもいかがなものかと思い自分が抱いているこのモヤモヤの解決に一歩近づけたらと思って手に取った。
冒頭はあらゆる事象から「ランダム性」をとき、私たちがコントロールできると信じている事柄が本来はどれだけコントロールができないことであるかということを論じていた。
ここまで読んで決定論的な考えに着地さられるのかと思いきや、そうではない着地で驚いた。私自身冒頭を読んでやはり決定論的な考えの方が正しいのではないかという気持ちになりかけた。しかし決定論的な考えが行き着く先には人種差別や性差別などもともと持っている能力やポテンシャルを過度に評価する思考に近づくという点で危険な思考だというリスクが述べられていたし、決定論的な面は少なくともあるがここで自分のランダム性というものへの過小評価について気付かされた
そもそもの決定論的なものの中にあるランダム性、そして未来に起こりうる外部のランダム性によりいくらでも世界は変化する。この点において世界は決定論的ではないのだ
この着地が本著のよかった点であると思っている
ネガティブな運への捉え方ではなくポジティブ無方への捉え方で着地した
世の中はコントロールできないという点ではネガティブに思えるが、ランダムだから面白い、ランダム性に対して価値が高いのが探索であり、探索をすることこそ人生の面白みであるという着地
意外な結論ではあったものの納得もしたし、読後感はすごくよかった
長かったけど是非読んでみてほしい
Posted by ブクログ
科学書……というより思想書かな。
最近読んだ「数理モデルはなぜ現実世界を語れないのか」あたりでも似たような内容が書かれており、最近の社会思想に対するカウンターなのかな、と。
究極的に言ってしまうと、ベルクソンが語るように必然と偶然は神の視点でしか分からなくなってしまう。この二つは「同じ条件、同じ時間で私たちは違う選択が出来る」か否かで別れてしまうからだ。(そしてそれは検証できることではない)
ただ、何かボタンを掛け違えることで、人の生死は変わってしまうことは十分ありうるし、それは(カオス的なため)私たちがコントロールできることではない。
出来ることがあるとすれば、この世界は不確実であり複雑であることを前提に生きるしかないのだけど、認知システム上それは負荷がかかるからなぁ……という難しさ。
思想的にはドンピシャで、僕も全く同じことを考えているけど、それを実社会システムに落とし込むとなると難しいよなぁ、というのを実感した一冊でした。
作者的には生命礼賛に近いんだろうね。奈須きのこに言わせれば「この星はあらゆる生き物を使って1つの夢を見ているのだから」ってことなんだろうけど。
Posted by ブクログ
はじめに
本書を読み終えたとき、私はまず「偶然」を単なる例外ではなく、世界の基本構造として捉え直すことになるだろう。努力や意思決定を否定する本ではない。むしろ、私たちが自分の人生を「自分で完全に選んでいる」と思い込みやすいことへの、静かだが強い異議申し立てとして読んだはずだ。
認知の偏り
特に印象に残るのは、人間の脳が世界を正確に写し取るのではなく、少ないエネルギーで素早く判断するために、差分や異常を拾うようにできているという視点だ。これは認知の歪みであると同時に、生存のための合理性でもある。私たちは世界を「正しく理解する」より先に、「すぐ動けるように理解する」ようにできているのだろう。
複雑な世界
本書が描く世界は、単純な因果で整理できるようでいて、実際には無数の小さな要因が絡み合い、予想外の結果を生んでいく。だからこそ、成功も失敗も、個人の能力だけで語ることには無理がある。私はここで、自己責任論の薄さと、物事を一直線に解釈したがる思考の危うさを強く感じるだろう。
自由意志への視線
それでも本書は、私たちを無力だと言いたいのではない。むしろ、自分が完全には支配していない世界の中で、それでも選び、働きかけ、影響を残していく存在として人間を捉え直している。自由意志とは、全能の支配権ではなく、不確実性の中で応答し続ける力なのだと、私は受け取ったはずだ。
読後の実感
読み終えたあとに残るのは、世界への畏れと、少しの解放感だろう。すべてを説明しきれないことは不安でもあるが、同時に、人生が固定された設計図ではないことの慰めでもある。偶然を敵にせず、複雑さを前提に生きる。その姿勢こそが、本書のいちばん実践的なメッセージだと思う。