あらすじ
ヴェロニカ・マクリーディは八十五歳の気むずかしいおばあちゃん。スコットランドの大きな屋敷にひとりで暮らし、お茶をしたり動物番組を見たりしながら、自分の遺産をどこへやろうかと考えている。ある日、南極でおこなわれている資金不足のアデリーペンギン研究を知った彼女は、遺産をゆずる相手としてペンギンがふさわしいかを見極めるべく、はるか南の大陸へと一世一代の旅に出た──。世界16か国以上で翻訳刊行、明日を生きる希望に満ちた傑作ペンギン文学!
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Posted by ブクログ
この小説を読むきっかけとなったのは、作者の名前が自分的にカッコイイから手に取って読んでみた、ただそれだけでなんの前情報とかもない状態で読みました。
主人公は高齢のおばあさんで、その孫もこの物語では重要な人物として出てきて、主人公と孫の群像劇みたいな感じで物語が進んでいきます。
タイトルの「ペンギンにさよならをいう方法」の意味が、この本を読み終えるとわかってきました。あと、この主人公は86歳で南極へ一人で行くというなんという行動力の強さだろうかと思いまして、自分もこの主人公を見習いたいと思いました。
面白い作品でした。
Posted by ブクログ
85歳の気難しい老女ヴェロニカの過去と現在が本人と孫の視点から綴られる。
ペンギンに魅入られ有無を言わさず南極行きを決行したヴェロニカ。皮肉屋で人の言葉の裏を読み頑固もの。なのに憎めない!
愛を奪われ深く傷ついた彼女がその後ただただ孤独に生きてきた何十年という年月。
死の淵で、自分の人生はなんの意味もなさなかったという思いに至ることはどれほど虚しいことだろう。
そんな彼女のまさに光となったペンギンの赤ちゃんのピップ。彼女とピップの対話のシーンには涙が止まらなかった。同じく孤独に生きてきた孫のパトリックとの間に芽生えた絆にも救われた。どんなものも愛に勝るものはない。
Posted by ブクログ
信じられるものが物質的なものしかなかったのだろう。ヴェロニカの心にはハムレットという物語があり、紅茶や陶器があった。彼女は十代前半で、戦争によって親を奪われ、恋人を奪われ、さらには愛する我が子さえ奪われた。愛情を注ぐ相手が一人もいなくなり、のちに結婚した相手でさえ、別の女ばかり目をやって彼女を愛さなかった。彼女は、愛される経験が人より少なく愛したものを奪われることが多かったために、愛することに対して積極的にはなれなかった。それでも、自分の死期を悟ったとき奪われた子供の子供、つまりパトリックの存在に気づき、探し出して遥々会いに行った。家族というものは、見返りを求めずに愛を注ぐ存在だと普遍的に考えられている。彼女は孫から何か愛情が求められる恐怖と戦いながらパトリックに会いに行った。そして、嫌う理由を探して突き放すことにした。彼女の心は愛するより拒絶したほうが楽だった。そんな彼女が南極でテリーという女性と出会い、昔話を語り合ううちに、すべての出来事には何かしらの事情があるのではないかと考えるようになった。そして、自分を追って南極に来た孫と共にペンギンを観察する中で、互いに愛情を確かめ合うことができた。ペンギンを通して、二人は本当の家族になれたのだ。偏屈なおばあちゃんがペンギンに出会って、まるで童心を取り戻したかのように目を輝かせ、うきうきと胸を弾ませる場面が印象的だった。もちろん、孫もペンギンが好きで血のつながりを感じさせる要素だった。ペンギンに心を開いたからこそ、同じように心を開いた者同士で、二人の琴線が触れ合ったのだと思う。心を通わせて話すことで、人はお互いに分かり合える。
Posted by ブクログ
いくつになっても夢を忘れない。
今まで過ごしてきた時間は、輝きに溢れるものではなかったかもしれない。それでも、ヴェロニカは生きていく。そして何かを成すことに、年齢は関係ないと教えてくれる。
頑固なヴェロニカ。けれど愛らしいペンギンたちを前にして優しく賢きおばあちゃまへと変化していく。ペンギンがヴェロニカに与えたものは、かけがえのないものだろう。
そしてぎこちなかったパトリックとの関係性も、徐々に祖母と孫そのものになっていく。
ヴェロニカが、パトリックが南極に行かなければ得ることのできなかった関係性ではないだろうか。
そしてテリーのブログが最高に面白い!
ペンギンの可愛さが伝わってくる。
もしもSNSで見かけたらすぐフォローしてしまいそうでした。実際にあればいいのに…。
Posted by ブクログ
天涯孤独な遺産富豪のおばあさんが死後の遺産の行き場を考えていた時に、面白くもないTV番組の中で唯一興味のあるドキュメンタリーでペンギンが紹介された。そのペンギンの愛くるしさに一目ぼれするも絶滅の危惧を抱えており、その調査隊が奮闘するも資金が足りないと知り、それに投資しようと考えた。
小説としては平々凡々な展開だがここからが面白い。
自分には息子がいた。わけあって養子に出した息子が。その息子がどうしているかを調査したら息子の子供、いわゆる孫が見つかった。その孫に会ってみるとどうしようもない孫で、でもその孫にもいろいろな家庭の事情を抱えていた。
こうなってくるとペンギンに投資するのか、孫に遺産相続するのかって面白い展開になってくる。で、タイトルは”ペンギンにさよならをいう方法”。これは?って思っているとおばあさんが単身で南極の調査基地に乗り込むというのだ。まさに本の表紙絵の恰好で!。どう見てもファンタジーなところが物語の醍醐味。さあ、おばあさん、基地局の調査員とのいざこざと同軸でまた孫との折り合い、そして愛すべきペンギンとの遭遇。これらをどうまとめ上げるのか!?
海外小説のこういう発想が本当に好き。だから間間に挟みたくなるのよねー