あらすじ
ニュートンやライプニッツによって創造された微分積分学。それは近代西欧数学の象徴であり、今日の科学技術社会の基礎である。その学問はいったいどのような思想的・社会的前提の下に成立したのか? 古代ギリシャの公理論・解析的発見法、アルキメデスの無限小幾何学、アラビアのアルジャブル、ヴィエトとデカルトの記号代数学、無限小代数解析の形成をたどり、さらに近代西欧社会と東アジアにおけるその受容までの悠久の歴史を包括的に論じ数学的知識の本質に迫る。東京大学大学院数理科学研究科の講義のハイライトを、一般読者向けに簡明にまとめ直して成った、数学史の重厚さを垣間見せる力作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
私自身数学が専攻ではないので、字面を追ってめくるという行為になるところも少なくなかった。
ただ、数学はニュートンやライプニッツが登場するまでは、アラビア地域が古代ギリシャ幾何学を継承しており、アラビア地域が先進地域であったこと。そして代数学はインドより生まれたこと。今我々が使用している所謂算用数字(0,1,2,3・・・)はインドが源流であること、など興味深く読むことができた。
またそれが12世紀頃に西方に移動し、それがイタリアやドイツで開花したこと、など科学の源流は欧州というよりむしろアラビアよりもたらされたことが興味深い。
また積分も、幾何学によって解釈が可能であること。中学で習う「底辺×高さ÷2=三角形の面積」も、積分で解釈できること(y=axをx→0で積分する)。ここから二次関数の積分も演繹的に証明できること、など。
教養としての数学としては難しいかもしれないが、なるほど確かにと思わせる所も多い。