あらすじ
夫も仕事も失い、生きる気力をなくした美紀。最後の旅のつもりで訪れた鎌倉の片隅で、台湾茶カフェ「鎌倉茶藝館」を見つけ、魅入られ、働き始める。お茶や着物、古都の穏やかな日常に触れ、明るさを取り戻す美紀。そんな彼女に、年齢も性格も違う二人の男性が好意を持ち始めた。今の私に必要なのは、安らぎ? それとも、灼けるような想い? ――苦みを知るから、決められない。名手が描く、大人の恋。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
複雑な家族間、夫婦間と恋愛模様の中に鎌倉の美しい風景やお茶の香り、味わいが凛と混ざり合う、五感の表現が上手く上品な作品でした。
美紀、紫釉、マダムの言葉回しはスっと芯があるような感じで心地よく聞こえ、反面直哉の母、玲奈の言葉は子供のように素直で気持ちを混乱させ、直哉はとにかく情熱的でセリフを読む楽しさもありました。
ところどころ入ってくる修羅場、恋愛の三角関係はエンタメ要素が強めでしたがそれほどくどくはなくそれもそれで楽しめました。
美紀の決断がまたお茶のように彼女の香り、味わいを変えていく。
物語も同じように序盤は甘く新鮮な香りを感じていましたが終盤は深みのあるしっとりとした香りに変わったように感じました。
Posted by ブクログ
自然がたくさんの鎌倉も行きたいし香り豊かなお茶も楽しみたくなる。最後の、誰かわからない目線はなんだろ?茶藝館は、そういう場所になったよ、って事かな。
なぜか、美紀に子供ができていなくてホッとしたし、直哉と別れを選んでホッとした。直哉の母の気持ちになってしまったのか、小説の中だとはいえあまりの歳の差は男女のどちらが上でも下でもなんかソワソワさせられるからかな。
Posted by ブクログ
結末がもう少し面白みのある展開であれば、もうちょっと点数が上がっていただろう。
都会や家族関係に運んだりした高齢の女性が鎌倉に移り住んで茶芸館の手伝いをするという話。私も鎌倉は好きで1人で行ったりもするが、この本を読んでより一層将来的には住みたいなと思った。鎌倉は海が近く自然が溢れていて、とてものどかな場所である。そして電車で都会にもすぐ出れるし、駅の近くにはいろんなお店があるし、また海沿いにあるハンバーガー屋さんとかバーとか、その鎌倉特有のお店というのがとても魅力的だ。
この本を読んでいて、お茶の素晴らしさを非常に感じた。お茶というとコンビニで売っているペットボトルのお茶位しか飲まなかったが、かつてはほうじ茶とかをわざわざお茶屋さんから取り寄せて飲んでいたことを思い出し、この本を読んでから、日常に少しずつちゃんと茶葉から出したお茶を飲む習慣を入れるようになった。そうするとやはり落ち着きたいときに落ち着けるし、仕事で集中したいときに集中できるようになった気がする。
ただ、ストーリー的には、この本は非常に面白かった。学生時代に好きだった相手男性の息子と高齢になってから関係性を持つ、そして社会間の同性代の人とも関係を築きたくなる、その恋愛の感じがらめは、先が読めなくて、非常に面白かった。
この本を読むと、老後にこのような楽しみ方があるのだなぁと、そしてまぁ自分も50歳60歳位で都心を離れて生活したいなぁと思いました。
Posted by ブクログ
【あらすじ】
相生(あいおい)美紀は16年前の32歳の時に夫竹内賢一を亡くし、3ヶ月前に着物と和装小物を作っていた勤務先が倒産し無職になる。
人生最後の旅になるかもしれないと全てを断捨離し、初めての恋人、伊藤智也(同じ大学の経済学部で3歳年上)との思い出の地である鎌倉に足を運ぶ。彼はアメリカに留学し、遠距離恋愛を続けていたが、「ずっと好きでいるけれど、忘れて欲しい」と言われて別れていた。その後異業種交流会で出会った竹内と結婚したが、大阪への転勤で単身赴任生活になり、しばらくして風呂場で倒れて亡くなってしまう。竹内と親しくしていた姪の玲奈とは遺産相続で仲が悪く、竹内の性癖も知ってショックを受ける。
鎌倉を訪れた先の浄智寺近くの「鎌倉茶藝館」で、美紀はオーナーの林淑恵(マダム)と孫の高橋紫釉しゆうと出会い、そこで働き始める。
伊藤智也の息子、篠崎直哉は父親の死後(夜釣りでの自殺)父親の日記に書かれていた愛するM=相生美紀に会いにきて、何度かあって交流をもつなかで引かれてしまう。
高橋紫釉と篠崎直哉に交際を申し込まれる美紀は直哉を選び恋人同士になるが、元カレの息子だと知り距離をとる。
美紀は仕事の仲間、茶飲み友達として紫釉と直哉と交流をもち続ける。
【感想】
鎌倉、お茶、着物、どれかに興味があって大人の恋愛小説が好きな人にはささる本だと思う。
Posted by ブクログ
【目次】霜降の青竹/冬至の山茶花/麋角解(サワシカツノオル)/春分の桜/虹始見(ニジハジメテアラワル)/芒種の紫陽花/菖蒲華(アヤメハナサク)/大暑の夏水仙/大雨時行(タイウトキドキフル)/秋分の曼珠沙華/桃始笑(モモハジメテサク)
お茶の世界も奥が深い。
更年期世代の美紀は偶然訪れた鎌倉の茶藝館で人生をやり直す力をもらう。
茶の魅力を知り懸命に働いていたら、元彼の息子が正体を隠して現れたり、カフェのマダムの孫に認められたりと、私生活も忙しくなる。
ちょっと生々しいところがあって苦手だが、決断できないのもわかる。紫釉がだんだん魅力的にみえてくる。
Posted by ブクログ
昔の恋人が忘れられない、死んだ夫は幼い子が好きだったのかもしれない、付き合った男は昔の恋人の子供、付き合っている相手がいるけどオーナーも気になる………。昼ドラ並みに満載な内容なのに、ドロドロにならずどこか涼しげな物語。
それは鎌倉や、茶藝館という場所で起きている出来事だからなのか。それともマダム筆頭に、茶藝館に関わる人々の健やかな様なのか。
どこか瑞々しくて美しい物語だと感じました。
夫を亡くした美紀は孤独を感じる中、昔の恋人との思い出の地に赴き、そこからマダムや紫釉、夏乃子たちに出会い蛹が羽化するように変化していく美紀。変化していく姿を読んでいて、私も彼女に惚れそうになってしまいました。茶藝館で働いてから前向きに、でもときどき翳らせるような雰囲気をもつ美紀に惹かれない人はいないのではないでしょうか…。あざといけれど、それを自然にしてしまう。みなそんな美紀が気になってしまうのでしょう。
個人的には美紀と紫釉に結ばれてほしかったです。着物を着た美しいであろう2人が、仲睦まじく過ごしていて欲しい……。この物語の何十年後かに期待してしまいます。
またいろんな種類のお茶がでてきてとても気になりました。鎌倉茶藝館、本当にあったら行ってみたかったです。味の違いがわかるかはなんとも言えませんが…。
茶藝館は実際にある建物をイメージされたりしているのでしょうか?わたしは鎌倉で洋館というと、鎌倉文学館を思い出してしまいました。
Posted by ブクログ
鎌倉、台湾茶、アラフィフ、スカしていそうで、もうつまらない確定かな?でも伊吹さんだし。と思い読み進めました。
最近のアラフィフの女性は綺麗な人多くなりました。だから30歳前後の若造と恋愛するのも驚きは少ないです。
縁があったにしても茶藝館をマダムから引き継ぐなんて。出来過ぎですね。葛藤を読みたかった。それとマダムからのお茶の手ほどきのシーンが少なかったので、ちょっと違和感はありました。老健でお茶の手ほどきがたくさんできるとは想像できないです。
お茶をたてて頂けるお店で上等な着物が着れて写真が撮れるなんて昨今ならビジネスモデルとして成り立つんじゃないかと思いました。