あらすじ
長年ひきこもっていた19歳の僚太と44歳の大知。双方の家族が縋ったのは、新宿にある自立支援センター。強引に自宅から引き出された二人は、ほかの三人とともに、元警察官が営む熊本の研修施設で囚人のような生活を強いられる。施設長は巨体の大女だ。悪魔のような彼女に監視され、辛い日々が続く中、監獄のような扱いに抗い五人は施設長を殺めてしまう。必死にもがき、社会に怯えるように生きてきた彼らの終わりが始まる――。
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Posted by ブクログ
とても面白かった。
悲しい最後にならず、明るい未来を予感させる終わり方も良かった。
ハラハラして見ていられない感じで、読んでて息苦しさが続いた。
こういう悪どい業者があること、恥ずかしながら今回初めて知った。
Posted by ブクログ
すぐ読み終わった。
この本を読み始めた時、数年前に見ていたyoutubeを思い出し、調べたら、ひきこもり支援を行う会社の社長が実際に逮捕されていた。そういった社会情勢を反映したような話。
ひきこもりする側も、そうでない人も紙一重であること。りょーちんがひきこもり側の弱者と、管理側をいじめる強者の両側面を見せ始めた時、なんとなく納得してしまった。環境や状況によって、人はいくらでも変化し、今まで異なる側面、ひいては対極になることもある。
読んでいると、ついつい施設側の人間が悪いように感じるが、実際はひきこもり側にも問題があり、実情はもっと複雑になりそうだなと読みながら思った。
YouTubeで見ていた時は、人ごとというか、失礼だがエンタメごととして見ていたが、親になってからこの本を読むと、親として自分だったら向き合えるだろうか、と恐怖や不安を感じた。
Posted by ブクログ
ひきこもりや8050問題、悪徳な民間自立支援業者など、現代社会が抱える問題を描いた作品。
監獄のような研修施設で、同じような境遇の人たちが出会い、極限状態の生活の中で友情を育み、擬似家族のような存在になり再生へと向かっていく。
重いテーマではあるが、エンタメ要素もあり、成長物語として楽しめるので読みやすかった。
社会問題について考えさせられながらも、読後感は良かった。
Posted by ブクログ
ひきこもりという社会問題を題材に、本人たちの苦悩だけでなく、どうにか救いたいと願う家族の葛藤や、弱者の気持ちにつけ込む悪質な支援業者の闇まで描いた物語。
自立支援施設での過酷な生活をきっかけに、事態が思いもよらない方向へ転がっていく展開に引き込まれた。
立場も年齢も異なる五人が極限状態の中で結びついていく姿も印象的。
テンポのよいストーリーに加え、視点が変わることで見えてくるそれぞれの事情や心情も興味深い。
ひきこもりは本人の問題なのか、家族の問題なのか、それとも社会全体の問題なのか。
単純な正解を出せないからこそ、他人事ではない現実を突きつけられる。
重いテーマを扱いながらも、先の読めない展開で最後まで一気に読ませる、エンタメ性と社会性を兼ね備えた一冊。
Posted by ブクログ
引きこもりの長期化と、「引き出し屋」と呼ばれる自立支援センターの闇を描いた社会派エンターテインメント小説。
自立支援という美名のもとに当事者を力ずくで連れ去る「引き出し屋」の実態。ニュースの文字面だけでは決して伝わらないその生々しい恐怖に、息を呑む。
本作は、当事者の若者と中年ひきこもりの母親という二つの視点から、同じ施設での物語が語られる構成だ。双方に深く感情移入させられる一方で、物語は「施設長殺害の隠蔽」を巡る息詰まるクライムサスペンスへと変貌。善意が悪意へと反転し、事態が泥沼化していく展開には暗澹たる気持ちにさせられる。
しかし、その泥沼の中で描かれるのは、悪に手を染めて初めて「自分の意志」を持ち、人間性を取り戻していくという皮肉で切ない逆説のドラマでもある。
ひきこもりという根深い問題への安易な解決策は提示されない。それでも、二転三転する伏線回収の果てに訪れるエピローグは、張り詰めた心にほっとする救いをもたらし、思わず涙が滲む。