あらすじ
資本=ネーション=国家という結合体に覆われた現在の世界からは、それを超えるための理念も想像力も失われてしまった。資本制、ネーション、国家をそれぞれ3つの基礎的な交換様式から解明し、その結合体から抜け出す方法を「世界共和国」への道という形で探ってゆく。21世紀の世界を変える大胆な社会構想。
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Posted by ブクログ
「トランスクリティーク」と、「世界史の構造」の概念を分かりやすくまとめられた一冊。
ネーション→国家→資本と生まれ、それが互いに連関し合っている状態。資本主義がどのように生まれて発達していったかを、前半にて解説されています。そして資本主義に発生する問題より(不平等的なものかと私は感じました)脱出するためにアソシエーションという運動(社会主義など)が発生。
その発生したものの代表として、マルクス(社会主義)とカント(国際連合)を出し、どちらも問題を起こしたし、起こすだろうし、正しく導くための考察を最後に問題提起されています。
現代史というものを、もっと真剣に見る必要を感じ、目を覚まされた本でした。
Posted by ブクログ
「アソシエーショニズムは、商品交換の原理が存在するような都市的空間で、国家や共同体の拘束を斥けるとともに、共同体にあった互酬性を高次元で取りかえそうとする運動です。それは先にのべたように、自由の互酬性(相互性)を実現することです。つまり、カント的にいえば、「他者を手段としてのみならず同時に目的として扱う」ような社会を実現することです。」う〜ん。新書の内容だけじゃ、論点がいまいち分からないなぁ〜。
Posted by ブクログ
【「未来の国家」1971年 by チョムスキー】p4
A. 国家社会主義(共産主義)ex. ソ連
B. 福祉国家資本主義(社会民主主義)ケインズ主義的、福祉国家的
C. リベラリズム(新自由主義)アダム・スミス以来の経済的自由主義 cf. ハイエク
D. リバタリアン社会主義(アソシエーショニズム)
【史的唯物論】p18
マルクス主義の歴史観。歴史の発展の原動力は、社会的生産における物質的生産力とそれに照応する生産関係とからなる社会の経済的構造にあるとする立場。その上に政治・法律・宗教・哲学・芸術などの制度や社会的意識形態が上部構造として形成され、やがてその生産関係は生産力の発展にとって桎梏(しっこく)(束縛するもの)となり、新しい、より高度の生産関係に変わるとされる。唯物史観。→弁証法的唯物論(コトバンクより)
【近代世界システム by ウォーラーステイン】p108
世界経済の下に形成される主権国家と資本主義的経済という、政治―経済的なシステム
【消費者としてのプロレタリアート】p138
労働者階級の個人的消費は、資本家にとって不可欠の生産手段である労働力自身を生産し、再生産するものである。労働者は、その個人的消費を自分自身のためにするのであって、資本家のためにするものでないということは、問題にならない。Cf. 自己再生的(オートポイエーシス)
【剰余価値】p142
商人資本が空間的に価値体系の差異から剰余価値を得るのに対して、産業資本は、技術革新や新商品開発をを通じて、価値体系を時間的に差異化することによって、剰余価値を得る。
【ボロメオの環】p175
私は最初に、いわゆるネーション=ステートとは、資本=ネーション=国家であるとのべました。それは、いわば、市民社会=市場経済(感性)と国家(悟性)がネーション(想像力)によって結ばれているということです。これらはいわば、ボロメオの環をなします。つまり、どれか一つをとると、壊れてしまうような環です。
【アソシエーショニズム】p179
商品交換の原理が存在するような都市的空間で、国家や共同体の拘束を斥けるとともに、共同体にあった互酬性を高次元で取りかえそうとする運動。
【人類が直面する三つの課題】p224
①戦争
②環境破壊
③経済的格差