あらすじ
妻の親友の家に招かれた僕。バーベキューを楽しんでいると急に離婚裁判が始まり……怖すぎるのに笑えてくる〈ブラック綿矢りさ〉全開! 心に潜む「明るすぎる闇」に迫る全4作収録。解説=ふかわりょう
悪いのは不倫した「僕」だってもちろんわかってます。でも……。胸の奥でざわつく本音がスパークする表題作「嫌いなら呼ぶなよ」。プチ整形を明かしたら職場で執拗にいじられた「私」。吹っ切れて一発逆転を狙ったら、まさかの大成功?(「眼帯のミニーマウス」)。いっそ開き直って人生のリミッターごと外せ! 心に潜む「明るすぎる闇」に迫る全4作収録。パンクな毒が炸裂する、綿矢りさの真骨頂。
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Posted by ブクログ
個人的には「眼帯のミニーマウス」の痛快さが1番好きでした。
自分の好きなこと、やりたい事は突き通す。でも「この人だから弄ってもいい」とナイーブな話題をずっと擦られると、嫌になってネガティブになる、という部分に人間らしさと現実味を感じました。
オチはどうなるんだと思い読み進めましたが、「そうきたか!」と言いたくなるような展開で良かったです。
「神田タ」は、昨今よく見るオタクのガチ恋と母親面の悪いところどりで、「"ファンチ"と呼ばれる人達は、こういう思考で全く悪びれもせずに、推しを所有物のように扱い、自分の思い通りに動かそうと躍起になるんだな」と思いました。
ここまで解像度の高い思考はどうしたら思いつくのでしょうか…。
自身が10年以上ネットの波に居て、「推し」という言葉ができる前からネット上で活動している誰かを応援していたからこそ、本当に生々しく嫌いなタイプのオタク像でした。これを表現できる綿矢さんは本当にすごい。
「嫌いなら呼ぶなよ」は、1個も思考が理解できない不倫男側の目線で書かれており、「自分は悪くない、環境が悪い、どうにか言い訳して逃げれば許されるだろう」という自分勝手な他責思考と周りを軽んじる視点に本当にイラッとしました。
きっと不倫をする人はこういうことを考えているから悪びれもしないんだろうな。
最後もスカッとする終わりではなく、ただただ言い訳を聞いている気持ちになり後味が悪かったため、-★1にさせていただきました。
全体的にスカッとするお話というよりも、世の中の汚い部分を凄く鮮明に丁寧に、そして生々しく痛快に描写されており、綿矢さんの表現力と言語化能力と洞察力には感服しています。
Posted by ブクログ
特に最後の「老は害で若も輩」が刺さった。
「こういう人たちはなぜ悪いことばかり鮮明におぼえていて、してもらった良いこととか恩はすぐに忘れるのだろう」
私も似たようなことをしていて、BADな気分だけが鮮明に残っていて、それをしてきた人を毛嫌いし突き放してしまう節があったので、確かになとは思ったけれど、自分の気持ちは変わらないので関係を修復しようという気持ちにはならなかった。けれど、してもらったイイコトを忘れてしまうのはよくないね。
綿矢りささんの作品は初めて読んだが、とにかくパンチが効いていて読んでいて清々しくなりました。
Posted by ブクログ
綿矢りささんの本はこれが初めてで、1話目の「眼帯のミニーマウス」の強烈な文章に驚き、2話目の「神田夕」はこの短編集の中で1番好きな話でネットで誹謗中傷してる人達ってこういう心情なのかなと生々しさを感じ、自分にはない感覚を持つ人間の人生の一部を覗いた気分になりました。
3話目の「嫌いなら呼ぶなよ」はどう考えても悪いのは主人公なのに個人的にはハムハムの方が嫌な奴に思えてしまう自分に驚き、4話目の「老は害で若も輩」では内田に同情せずにはいられずに、同じような経験をした事のある自分にとっては読みながらずっと内田と共に怒りがふつふつと湧きだす思いでした。
いい意味でかなり衝撃的な短編集で、他の作品も読んでみようと思いました。