【感想・ネタバレ】嫌いなら呼ぶなよのレビュー

あらすじ

妻の親友の家に招かれた僕。バーベキューを楽しんでいると急に離婚裁判が始まり……怖すぎるのに笑えてくる〈ブラック綿矢りさ〉全開! 心に潜む「明るすぎる闇」に迫る全4作収録。解説=ふかわりょう

悪いのは不倫した「僕」だってもちろんわかってます。でも……。胸の奥でざわつく本音がスパークする表題作「嫌いなら呼ぶなよ」。プチ整形を明かしたら職場で執拗にいじられた「私」。吹っ切れて一発逆転を狙ったら、まさかの大成功?(「眼帯のミニーマウス」)。いっそ開き直って人生のリミッターごと外せ! 心に潜む「明るすぎる闇」に迫る全4作収録。パンクな毒が炸裂する、綿矢りさの真骨頂。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 コロナ禍以降の社会的空気を色濃く映し出した、四編から成る短編集。整形の告白、推しへの過度な愛着、不倫、老害/若害といった題材はいずれも現代的だが、読後に残ったのは、単なる時事性というよりも、人間の内面に潜む本音そのものだったように思う。
 登場人物の多くは、率直に言って人格的に好ましいとは言い難い。倫理的にも感情的にも、共感が難しい場面は少なくない。それでもなお、不思議と完全には突き放すことができなかった。「理解できてしまう」感情が、読者である自分の内側に引っかかり続けたからだと思う。
 とりわけ表題作「嫌いなら呼ぶなよ」では、その感覚がより強く意識された。不倫関係にある当事者に非があることは明らかだ。ただ、それを「正義」として集団的に断罪する側も、少し距離を置いて眺めてみると、同じくらい醜く、どこか滑稽にも映った。本当に嫌悪しているのであれば、関係を断てばいいはずなのに、あえて呼び出してしまう。その行動に、人間の卑小でいやらしい心理がはっきりと表れているように感じた。
 綿矢りさの文章は、本作においても相変わらず鋭く、中毒性がある。穏やかな笑顔のまま、内面の闇を丹念に煮詰めて差し出しているかのような印象を受けた(あくまで想像ではあるが)。読んでいるあいだは奇妙な爽快感があり、読み終えたあとには、じわじわとした居心地の悪さが残る。その余韻も含めて、個人的には強く印象に残る一冊だった。

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2026年04月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日常の戦いを描いた短編集
主人公も周りの人達も含め個性強いキャラが多い

自分の好きを貫きつつも目立ちたがり屋で承認欲求が強い女の子(眼帯のミニーマウス)
職場では大人しい子を演じているが推しに注目されたいが故にアンチコメントをしまくる女の子(神田タ)
浮気がバレて奥さんとその友達に詰められるナルシスト男(嫌いなら呼ぶなよ)
年上の女性作家と女性ライターの間に挟まれる若手男性編集者(老は害でも若も輩)

正直「嫌いなら呼ぶなよ」は登場人物全員が苦手で
自分もハムハム宅に閉じ込められているような気分で読んでいて胸糞悪かった(笑)

強いて言えば「眼帯のミニーマウス」が一番共感はしやすかったかなぁ
顔面に包帯を巻いて出社して周りの人をドン引きさせる行動はスカッとした
けど主人公は今後これを超える程の承認欲求を得るのは難しいだろうな

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2026年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

眼帯のミニーマウス

同僚の根掘り葉掘りがリアルすぎて鳥肌。
悪意がない顔で踏み込んでくるのを、耐えろと言われるのが現代なんだと思った。

勝手にキャラを作られて、そこにハマれないと浮く。
主人公が抜け出した方法に「その手があったか」と思わされたけど、
本気で対抗した途端、周りが割れ物扱いになる感じがいちばん気持ち悪い。
これが現実。

神田夕

現代のSNS時代のリアルそのもの。

推し活は流行っているけど、度を越えると
日常の自分とネット上の自分の境界線が壊れる。
仕事ではうまくやれているのに、
YouTubeのコメントでは平気で辛辣になり、アンチになる。
その良し悪しがわからなくなっていく感じが本当に怖い。

結局、何事も距離感。
それを失うのがいちばん危ない。

嫌いなら呼ぶなよ

不倫した男性をみんなで攻める空気に、
悪いことをした人間なら正義のナイフで心を壊していいのか?とも思った。
夫婦の問題でもあるはずなのに。

でもこの作品でいちばん怖いのは、責められる側じゃなくシタ夫。
自分の話なのにどこか他人事で、白黒をつけず、
当たり障りのない言葉を並べて冷静でいるところが一番ずるい。

何人もの女性と不倫して、結局何も背負わない。
そして現代は、
そういう白黒つけない男に惑わされ、狂わされる女性があまりに多いと感じた。

「老は害で若は輩」、正直いちばんスカッとした。
何歳でも老害になり得る、確かになぁと妙に納得。

これ本当の話?と思うくらいリアルで面白かったし、
大人同士のメールの言い合いが生々しい。
敬語の煽りほど恐ろしいものはない。

全作通して、
眼帯のミニーマウスと老は害で若は輩が特に刺さった。

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2025年12月29日

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