あらすじ
妻の親友の家に招かれた僕。バーベキューを楽しんでいると急に離婚裁判が始まり……怖すぎるのに笑えてくる〈ブラック綿矢りさ〉全開! 心に潜む「明るすぎる闇」に迫る全4作収録。解説=ふかわりょう
悪いのは不倫した「僕」だってもちろんわかってます。でも……。胸の奥でざわつく本音がスパークする表題作「嫌いなら呼ぶなよ」。プチ整形を明かしたら職場で執拗にいじられた「私」。吹っ切れて一発逆転を狙ったら、まさかの大成功?(「眼帯のミニーマウス」)。いっそ開き直って人生のリミッターごと外せ! 心に潜む「明るすぎる闇」に迫る全4作収録。パンクな毒が炸裂する、綿矢りさの真骨頂。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
僕は忘れてない。ずっと働きづめで疲れていた君にこの僕が提供できるのは、結婚してもいつまでも恋人同士みたいな濃密な空気感なのだと。
なぜこれがわかっていて不倫ができるのか。この気持ちを持って、行動に移してくれた人にどんだけの信頼をおいているのか。本当に怖くなった。彼女を愛しているという気持ちがありながら、あくまでも被害者意識で、仕方がなかったという気持ちで不倫ができるのか、全てにおいてそうなれるのがすごい
Posted by ブクログ
アメトークの読書芸人で加納が紹介してたので気になって購入。
蹴りたい背中も恥ずかしながら読んだことがなく、初の綿矢さんでした。
コロナ禍に執筆された短編ばかりで女性の嫌〜な部分とかありのままに描き殴られていて良かった^_^スカッとするし気持ちいい。
嫌いなら呼ぶなよの不倫男は根性が腐ってたけど最終的にどの道を歩むのか(本気で反省して改め直すのか、嘘の仮面を被り続けるのか)気になった。
Posted by ブクログ
久々の綿矢りさ先生作品!
コロナ禍の人々をテーマにした4つの短編集。
どのお話もクセつよな人たちが登場するのですが、全体的にそれぞれの人物の細かい感情描写が神がかっています。
とは言え、実はざっと一読した時点では、なんだかどれもあと一歩の所で刺さらないなぁと思ってしまいました。
でも、なんで刺さらないのかな?と考えながらパラパラと読み直してみた時に、私気づきました。
認めたくないものの、(敢えて言葉を選ばずに言えば)性悪登場人物たちの気持ちが何故か少しだけ分かってしまうからだーーーーーー!!!
ギリギリの所で100%共感できていないのは、自分の中に残っている理性がまだ機能してくれているからであって、その理性をいつか失った時には私も(性悪)の仲間入りを果たすことであろう。と、心の奥底で感じてしまうから、刺さってるんだけど刺さってない(ふりをする)という謎のムーブを呼び起こしたんだと思います。。。
4つのお話の中でお気に入りは、「老(ロウ)は害(ガイ)でも若(ジャク)も輩(ヤカラ)」。
まず何より、タイトルが秀逸すぎる。
老害老害と言うけれど(実際老害はいるけれども)、若い人も大概だよ?!という中年層の心の小さな叫びを見事に表現して下さってます。
仕事場では自分も老害にはなるまいと心がけているものの、実際のところバランスがめちゃくちゃ難しい。
後輩ちゃんに気になることがあったとして、きっとあれこれ教えると、老害とは行かないまでもうざがられれるのは目に見えている。とは言え、ずっと放置したらしたで、「若(ジャク)も輩(ヤカラ)」になってしまうという無限ループ。。。
中々考えさせられる話でした。
が、この炎上しがちなテーマをポップに描いて下さってるので重くなりすぎずに読めます。
流石に綿谷先生にはなれないけれども(才能なし)、状況次第で私はシャトル蘭にも内田にもなり得そうなので笑、ここの所仕事に対してだるっだるだった自分を戒めるには非常によい作品でした!