あらすじ
現在も読者に、そして後進の書き手に多大な影響を与え続ける作家・田辺聖子。彼女の少女時代は、戦争の時代だった。女学校で先輩に憧れ、物語の世界に遊び、空想を膨らませ創作する、その生活に忍び寄る戦争の影。自らの作家としての原点となる日々と反戦の思いをみずみずしく描く傑作エッセイを復刊。
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Posted by ブクログ
粗筋の最初の一文通り、軍国少女で文学少女の話だった。
まさか女子ながら玉砕を覚悟していようとは。
これが当時の女子たちの代表的な姿かと言われると、彼女が作中でも「変わり者」と評されていたところを鑑みるに、極端な例かもしれない。
彼女の友達にも極論に走る子、冷静に見ている子、様々だったので。
ともあれ、戦時中を生きた少女の日常として読んだ。
驚いたのは作中でも実際の文章ごと紹介された小説の数々。
ツッコミどころはあれど、あの内容を10代の少女が書いたのかと思うと脅威を覚えるほど。
ただ玉砕を覚悟していたはずの少女が、空襲を経験し、終戦を迎える頃には何事に対しても「ほんまかいな」と思うようになり、最終的には「生きたい」とまで思えるようになった変化にも驚かされた。
それもまた10代の少女にとって戦争の影響が大きかった証左なのかもしれない。