あらすじ
三十年前と同じ通り名の強盗が出没。女剣士・美涼は、養父である旗本の若隠居・本多隼人正に、なぜ配下の目付を使わないのかと詰め寄る。隼人正は、許婚を殺し獄門になったはずの盗賊がまた現れたことに、更に美涼の前に現れた男に不審を抱き、元凶がかつて自分を翻弄した将軍家の息女・佳姫ではないかと疑う。三十年前の決着をつけるべく、隼人正と美涼の豪剣が舞う。
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Posted by ブクログ
前巻より、美涼と隼人正の仲が、ちょっと進展する…いや、それより隼人正の心の闇の源であった、許嫁を殺害した人物との決着がこのお話で着きます。かつて隼人正が、いかに深く許嫁の美里を愛していたか、凄絶な剣技や美貌だけでなく、こころのありようの男前さもうかがい知ることが出来るお話です。
敵は、本来、敵にならないはずの、権力を欲しいままにする者。ひたひたと、無辜のひとの命を奪う魔性です。
存外に優しい隼人正の素顔が魅力的で、決着がついた時にはホッとします。美涼の一途さ、健気さは、作品に清涼感を与え、読後感を清潔感のあるものにしているのが、際立っています。なんだかんだで進展してほしいような、このままで密かに思いを育てて欲しいような、もどかしさが甘酸っぱい、美涼と隼人正。次の巻が楽しみです。