【感想・ネタバレ】三浦綾子 電子全集 天北原野(上)のレビュー

あらすじ

運命や自然に翻弄される人間の愛とエゴイズムを描く長編小説。

貴乃と孝介は結婚を誓い合った仲だったが、貴乃に恋慕する完治の策略によって、孝介一家は村から追いやられ、貴乃は強引に完治の妻にさせられてしまう。それから10年。樺太に渡り、金持ちになった孝介が貴乃と完治の前に現れ、完治の妹のあき子を嫁にほしいと告げる……。運命や自然に翻弄される純愛を通し、十字架を背負った人間たちのドラマを描く長編小説。

1977年(昭和52年)にテレビドラマ化され話題を呼んだ。

「三浦綾子電子全集」付録として、1977年のTVドラマ化に際し毎日新聞に載せたコメントを収録!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

いつもながらに北海道という、土地を舞台にした一組の男女の悲しくて切ない、胸えぐられるような二十年の出来事。
結婚するはずだった孝介と貴乃。だが、完治のたくらみによって二人は引き裂かれ、完治と結婚した貴乃や樺太に移り住んだ孝介はただただ苦しみの中で悶え、それでも耐えながら生きていくことになる。
北海道の厳しい自然、戦争の足音、欲に目がくらんで悪を働いてしまう者たち。そんなドラマの中で物語は、すきま風のように純朴な幸せを切り裂いて行く。
そして、一人の人間が犯した罪を、また別の誰かが背負って、苦しむ。その連鎖に、決して終わりはない。なのに、罪を犯した者は、深く考えることもなく笑って人生を謳歌する矛盾。
罪人っていうのは、犯した罪にさえ気づかないものなのかもしれない。

読み終えても、悲しさはなくならなかった。
最初から最後まで、悲しみに覆われたそんな小説。

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2013年09月25日

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