【感想・ネタバレ】生きがいの見つけ方 生きる手ごたえをつかむ脳科学のレビュー

あらすじ

『生きがいの見つけ方』は、「自由意志は幻想であるかもしれない」という脳科学の視点を出発点に、人はそれでもどうすれば生きがいを感じながら生きられるのかを考える一冊です。著者は、私たちの行動や選択が環境や脳の状態に強く影響されているとしながらも、そこに悲観するのではなく、むしろ「行動」こそが生きがいを生む鍵であると語ります。本書で特に印象的なのは、「やる気があるから行動するのではなく、やる気がなくてもまず行動することが大切だ」という提案です。たとえば、朝なんとなくランニングに出たとき、走っている最中に目の前を一匹の蝶がふわりと舞う。それを見て「生きている」という実感がふいに湧き上がる。そうした一瞬が、生きがいの原点なのだと著者は述べます。大きな目標や崇高な目的がなくても、小さな行動の中にこそ生きている瞬間が宿るのです。行動主義的なアプローチを通じて、著者は「習慣が人格をつくる」とも語ります。毎日少しでも何かをやり続けること。それがやがて意味や価値を生み、生きがいへとつながっていく。本書は、やる気や自由意志に頼らずとも、日々の行動の中で人生の意味を見出すことができるという力強いメッセージを届けてくれます。どこか虚しさを感じている人にこそ読んでほしい、生きる手応えを取り戻すための一冊です。

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Posted by ブクログ

新書では最高レベルの内容でした。養老孟司先生のテイストも相当入っていましたが、茂木氏の捉え方もユニークで、沢山付箋が付きました!勉強になりました。

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2025年08月28日

Posted by ブクログ

「かい・甲斐」というのは、努力や苦労が報われ、それへの成果が出たとか報酬を得たという意味で、「努力した甲斐があった」とか「苦労した甲斐があった」のように使われる言葉だ。

つまり頑張って生きているのだから、何か見返りがあるべきだという思考が“生きがい“という言葉に潜んでいないか。だとすれば、生きること自体が報酬であるという思考に辿り着けない、日本人をネガティブな気分にさせてしまうバグのようなワードの一つかも知れない。語義矛盾だ。

爽やかな朝の光や匂いを感じ、家族も健康で何不自由ないという一日のはじまりは「生きがい」なんて考えなくても、ただただ幸福である。

本書でも引かれるが「生きがい」を説明する際によく引用されるのが、オイラーの図のモデルであり、「好きなこと」「得意なこと」「社会の役に立つこと」「対価を得られること」の交差点に「生きがい」があると。生きること自体を幸せに思うのではなく、その労力を役立て、尚且つ対価が必要だという論理だ。随分と資本主義的価値観に組み込まれた概念だという気がする。

上記は私の言いがかりのような発想だが、しかし、そうした世俗的な人生観から視野を広げようというのが本書。茂木さん自身が世俗のアイコンみたいに見えなくもないが、私は嫌いではない。

ー 現代物理学の有力な理論では、今観測できる一三八億光年の広がりを持つ宇宙は、無数にある宇宙のひとつにすぎないとされている。私たちが「この宇宙」と呼んでいるものは、もっと広大な「宇宙の海」に浮かぶひとつの「泡」みたいなもので、そんな泡宇宙の数は無限にあるのだという。そして、それぞれの宇宙には、それぞれ異なる空間次元の数や、素粒子の種類があり、それぞれの物理法則があるらしい。「この宇宙」だって、電子の質量がほんの少し違っていたら、生命なんて存在できなかった。これを、ひとつの宇宙(Uni-verse)に対するたくさんの宇宙(Multi-verse)という意味で、「マルチバース理論」と呼ぶ。「この宇宙はうまく出来すぎている」。

この宇宙はうまく出来すぎている。私やあなたにとって生きることが困難であり、何か見返りの一つでも欲しくなる日々だとしても、生物は世代交代しながら循環し、秩序は形成され保たれる。人類の知性では解釈できないほど、やはり、この宇宙はうまく出来すぎている。

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2025年10月24日

Posted by ブクログ

読み終えて間が開いてからの感想。本著が世界でロングベストセラーになっているという評判らしい。

そもそも「生きがい」を見つけたくなるのは、なぜだろうか?自分の人生に意味付けをしたくなるのとあまり変わらないと思うのだが、存在価値が対価として欲しいからだろうか。

私の指針のひとつになっている言葉として”たまたまザイール、またコンゴ”という本から引用するが、

「いや、ここだけではない。じつは世界中どこだってそうなのだと思う。世界は偶然と突然でできている。アフリカだろうとアジアだろうと、世界のどこだろうと、人は偶然この世に生まれ、突然、死んでいく。生きるためにいちばん必要なのは、それらのどうしようもない偶然を否定したり、ねじ伏せたりする力ではなく、どのような偶然とも折り合いをつけていく力だ。」

とある。本著の内容と感想としては的を射ていないのだが、それ故に「生きがい」は求めないようにしている。ただそれだけ。

内容はいつもながら?、平易で読みやすく面白いので、読まれてみても良いかもしれない。

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2025年12月27日

Posted by ブクログ

生きがいを見つけたくて読む

外の世界に目を向け、行動を熱中できるものを見つけることでそれが生きがいへとつながる。日常における行動や思考は大半が無意識であり、それを「耕す」ことが大事とあったが、耕すという表現は秀逸だなと感じた。「耕された無意識」は、日々起こる新しいことを受け入れ、それが日々のその時々の楽しさを生む

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2025年09月15日

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