あらすじ
五感、第六感どころではない。私たち人間は12もの〈超感覚〉を持つ。
――21世紀の進化版「センス・オブ・ワンダー」が遂に誕生!
★フィナンシャル・タイムズ紙&ニュー・サイエンティスト誌〈年間ベストブック2冠達成!〉
★世界と日本のトップ科学者たちから称賛の声が続々!
「われわれの想像を遥かに超える、不思議で奇妙な世界が描かれてる」
――リチャード・ドーキンス氏(『利己的な遺伝子』著者)絶賛
「人間の五感以外にこれほど多くの驚くべき感覚があることを、本書は意外な動物たちの不思議な感覚を通して教えてくれる」
――山極壽一氏(霊長類学者 / 京大元総長)推薦
ドーキンスの愛弟子(オックスフォード大学院卒・動物学専攻)が動物と人間の感覚にまつわる最先端の科学的研究を一挙紹介する本書。
私たち人間が秘める、動物たちに負けない不思議な〈超感覚〉とは?
【内なる嗅覚】
一兆種類のにおいを区別「私たちの内なる犬」を目覚めさせよ
【超味覚】
”泳ぐ舌”と呼ばれるアマゾン川の怪魚と”超味覚”を持つ人間
【色世界】
色の嵐を生きるvsモノクロームを生きる
【触覚と脳内画像生成】
全盲の画家が存在する理由
【耳は「視力」を持つ】
闇の狩人フクロウの「聴力図」とヘレン・ケラー
【時間感覚】
完全な闇のなか、時間が分からないまま生きられるか
【フェロモン】
動物の自由意志を揺らす。夜の巨大クジャク蛾と人間の興奮
【方向感覚】
人間も渡り鳥になれる。豪州の先住民は地球の磁気を感知か
【非・幽体離脱】
”地球外”知的生命体・タコと人間の身体感覚 ほか
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
人間にはさまざまな感覚があることは私としてはどちらでもいいが、さまざまな動物の感覚を(その特徴を)知ることができたのがよかった。その研究のストーリーも適量含まれていて読み応えもある。
Posted by ブクログ
人間が周囲の環境や、自身の体の状態を把握するために駆使する様々な「感覚」について、それを12種類に分類し、それぞれの感覚で人間以上のパフォーマンスを持つ動物との比較を通じて、その「感覚」について深堀する1冊。取り挙げる感覚は「視覚(色と明暗)」、「聴覚」、「触覚」、「味覚」、「嗅覚」のいわゆる五感以外に、「平衡感覚」、「時間感覚」、「方向感覚」、「身体感覚」が登場します。
特に面白かったのは後者の4つです。人間が立って歩いているとき、常に「平衡感覚」が作用して倒れないように体を制御しているわけですが、それを私たちは無意識に行っています。だから散歩のとき、「歩く」ことではなく、周囲の景色に意識を向けることができます。
渡り鳥は地球規模での移動を難なくこなしますが、どうやって方向と自分の位置を把握しているのか。それに近い感覚が私たち人間にも備わっていることが本書で紹介されています。
「自分の指で自分の鼻を触る」という、ごく当たり前の動きが、実は自分の体の態勢と、自分の体の部位の位置関係を巧妙に把握して達成できているということを知ると、”意識せずに”できている動きが、いかに多いかを再認識させられました。
そして、これらの感覚を全て司っているのが人間の脳です。本書には様々な感覚器官が登場します。目、耳、鼻や皮膚の神経など多くの感覚器官が周囲の環境の情報を取り込むために備わっているのですが、最終的にはそれらの情報は神経を通じて脳に到達します。だからこそ”目で見ているのではなく、脳で見ている”と言われるわけですが、感覚について深堀するほど、人間の脳の働きの凄さを実感させらられる1冊でもあります。
具体的な動物の例を挙げて人間の感覚の凄さを分かりやすく解説しており、難解な解剖学的な説明も適度に抑えられていて、訳も読みやすく、ストレスなく読み通すことができました。
Posted by ブクログ
この本で、人間の感覚の不思議さや無意識の働きに驚かされました。ナマズやタコ、コウモリなどの動物と比べると、視覚や味覚、平衡感覚、自己受容感覚などがいかに精密に連携して日常を支えているかがよくわかります。
特に、一番実感のない自己受容感覚、腕や足などが常に意識を向けていないと思うように動かないとなると…その過酷さは想像を絶すると思います。
無意識で体をコントロールしていることのありがたさを実感できました。
Posted by ブクログ
評判通り、ためになり面白い。
あえて難を言うならば、説明用の挿絵を入れて欲しかったことか。
先に読んだ”動物のひみつ”は全て著者自身の研究結果であるが、本書は様々な学者の研究を著者がまとめたものである。
数行下は覚書、ネタバレご注意。
ものが三原色、赤、緑、青で見れているのは人間と霊長類ぐらい。
デメギニスの見た目にはびっくりした。こんな魚が現実にいるのね。
エスレフ アーマガン、トルコの盲目の画家。
セオドアルーズベルトは探検家でもあった!
フェロモン、人間の方向感覚(人間が地磁気を感知してるか)はいまだに謎
自分の体が自分のものであるという感覚。要は目を瞑っていても鼻の位置がわかるなど。これも一つの感覚で、当たり前すぎて感覚として長らくとらえられていなかった。自己受容体。
タコの足はそれぞれが自立して勝手に動いたり、本体が指令して動いたりしてるようだけど。とても妙でわけがわからない感覚だ!
Posted by ブクログ
面白い。人間がいかにマルチであるかわかる。
特に臭い、フェロモンについては面白い。
母乳を飲む時が人間にとって一番の危機。だから母乳に反応する。
Posted by ブクログ
科学的な知見と「センス・オブ・ワンダー」が融合した一冊。動物の卓越した感覚から人間の感覚能力の素晴らしさへと解説が進み、読みやすく書かれている。色覚、暗所視、聴覚、触覚、痛覚、味覚、嗅覚、フェロモン、平衡感覚、時間感覚、方向感覚、身体感覚について各章で説明している。フェロモン、平衡感覚、時間感覚、方向感覚、身体感覚については意識に上らないが重要な働きをしている。また嗅覚なども想像以上に人間には能力があるなど、認識を新たにする内容も多い。邦題の「12の感覚がある」にはちょっと違和感がある。「はじめに」の中でも「人間には「五感」「第六感」どころか「三十三感」ある」と述べており、現代でも12とは言っていない。
【原題】
Sentient : What Animals Reveal About Our Senses
【目次】
はじめに 目を、耳を、皮膚を、舌を、鼻を開こう
第1章 モンハナシャコと人間の色世界
第2章 ヒナデメニギスと人間の暗所視
第3章 カラフトフクロウと人間の聴覚
第4章 ホシバナモグラと人間の触覚
第5章 ナミチスイコウモリと人間の快感と痛み
第6章 ピライーバと人間の味覚
第7章 ブラッドハウンドと人間の嗅覚
第8章 オオクジャクヤママユと人間のフェロモン
第9章 チーターと人間の平衡感覚
第10章 ゴミグモと人間の時間感覚
第11章 オオソリハシシギと人間の方向感覚
第12章 マダコと人間の身体感覚
あとがき カモノハシのパラドックス
Posted by ブクログ
読み始めて真っ先に思い浮かべたのは漫画「テラフォーマーズ」
特殊能力と思える動物たちの感覚がじつは人間にもあるという話し(かな)
本自体のボリュームも多くてさらには専門的な話しも多いですが、動物がどんな感覚(センサー)を持っていてどんな環世界に生きているのかの部分は分かりやすいので、難しいところは流し読みでも充分に知的好奇心を満足させてくれる本でした。
皆さんにもオススメです!
Posted by ブクログ
1ページ1ページが衝撃的すぎて、読み終えるのに時間がかかった。スゴイ生物12選+実は人間もそれぞれの生物と同じ機能を持っているよ、という本。
特に、脳の指示無しで腕を動かせるタコが一番想像を超えてきた。
しかしながら、想像は超えられないのが真実。
本書で紹介されていた台詞「その人の視点からものを考えない限り、他人を本当に理解することはできない…その人の中に入り込み、歩き回ってみるまでは」
その通りで、本人にならないと本当の理解はできないだろうし、理解しているつもりでも、目の前には自分(人間)が「想像した他人(生物)」がいるだけで、本当の他人(生物)が何かすら分からないのだろう。
Posted by ブクログ
学生の時、人間には5つの感覚(視覚・嗅覚・聴覚・触覚・味覚)があると教わった。
第6感としてテレパシーのような不思議な能力も話題になってきた。
だから、12の感覚って何?というのが最初に抱く興味。
内耳は音を感じる以外に平衡感覚を感じているし、筋肉は自分の身体が何処にあるかを知らせる役割も持っている。
他にも正義感、罪悪感、喪失感など、いろいろな感覚を定義することはできる。
ただ「感覚とは何か」が定義されていないので、感覚の数を数えることに科学的意味はない。
本書の原書のタイトルにも12という数値は入っていない。
時間感覚や方向感覚といったテーマで12章に分けて書かれているので「12の感覚」としただけと推測される。
書かれていることは興味深く、知らなかったことが沢山出てくるので面白い。
だが、文字だけで400ページぎっしり書かれた本なので、じっくり読むにはしんどい。
盲目の生物は沢山いる、嗅覚の乏しい生物も多くいる。
しかし聴覚のない生物は見つからないと聞くと「おー、そうなんだ」と思ってしまう。
まあ、終始こんな感じで読み進めた。
イヌやゾウの嗅覚は凄いと聞くが、人間だって動物の中では割と嗅覚が良い部類らしい。
そして、嗅覚も2つの鼻孔で匂い発生源の立体的な位置を判断している。
目や耳と同じで鼻も2つの情報を比較している。
視覚、聴覚、嗅覚など、それぞれの感覚の受容体の種類と量が必要だが、情報の違いを区別して認識する脳機能も重要だ。
どちらも欠如しているものがあればそれは認識されない。
ウサイン・ボルトは100mを9.58秒で走った。チータは100mを5.95秒で走る。
チータは加速・減速の身体能力が凄いが、その能力は直進時も方向転換時も変わらない。
これは平衡感覚がとても優れており、身体バランスの調整能力が凄いことを示している。
走る時には頭の上下動もなく、そのため獲物を捕らえる視点も動かない。
人は走るのは遅いが二足歩行をするために平衡感覚は優れているそうだ。
方向感覚といえば渡り鳥。
全く特徴のない海の上を進行方向を間違えずに飛び続けられるのはなぜ?
昔、人が海を航海するときは空(星や太陽)を見て進路を決めていた。
渡り鳥もそうだろうという仮説もあったが、調査が進み、雲って空が見えなくても正しい方向に飛び続けることがわかった。
そこで、磁場を感じ取る磁覚を持っているのでは?という説が有力になっている。
磁気感覚は人が持っていないこともあり、感覚器官がまだ特定されていない。
鳥の優れた視力を考慮して、目で磁場を見ている?という仮説も生まれている。
今鳥たちの方向感覚の狂いを観測することが増えてきているそうだ。
原因は人で、人間が人工的に電磁波を創り出して地球規模で利用しているからだ。
最後の12章の「マダコと人間の身体感覚」はとても面白かった。
私は、人間の科学技術はまだまだで、アリと同サイズで同等機能のロボットが作れないじゃないかと良く思う。
これはアリの小さなサイズがロボット化を困難にしている要因だ。
だがサイズ的には大きくても、タコのロボットを作るのはもっと難しそうだ。
タコには骨格がなく、その動きは複雑極まり、自由自在に体型も変えられる。
タコ型ロボットのイメージは、ターミネータに出てくる自由に形を変えられる液体金属ロボット。
今の科学では骨格の無いロボットを作るのは無理っぽい。
タコは人間の3歳児並の知能があると言われ、知能レベルはイヌやネコに近くイルカより賢いとされている。
鏡に映る自分を認識したり、道具を使ったり、ビンの蓋を回して開けて中身を手に入れたりする。
タコとヒトを無理矢理比べようとしているが、タコの持つ能力はまだまだ分からない事が多いんだなと思った。
Posted by ブクログ
「特別な人」について書かれている。
例えば痛みを感じない人。いつも熱さを感じている人。この本のもうひとつのテーマは、普通でない感覚があったりなかったりしている人達について知ることができる。そして、理解のない社会に対しての問題提起でもある。
動物についてなら、驚いたり興味を持ったりしてこうして本を手に取る。それだけではなく、そこから人間、人に対しての理解が進むこともできるこの本は良書だといえる。まさに何かを感じる感覚からそう思い、感想を書き記す行動しているのではないか。
Posted by ブクログ
動物たちの能力を調べ、それを人間に落とし込んでいくところが面白かった。
たとえば1話目だ。
強烈なパンチで知られるモンハナシャコは、実は目もすごかった。昆虫なんかにみられる複眼で、かつ多くの色を知覚する。
彼らは人間よりも豊かな色に囲まれた世界を生きている。
でもちょっと待って。人間でも通常より多くの色が見える人もいて、そういう人たちがたくさん住む島がある。
この本はナショジオで番組にして欲しい(自分が知らないだけですでになっていたらごめんなさい)
Posted by ブクログ
読み応えたっぷりだった。
人間の感覚のまだ掘り下げられていないものがある。
特に第9章の平衡感覚の話が興味深かった。
神経可塑性の可能性を感じた一冊。