【感想・ネタバレ】世界は進化に満ちているのレビュー

あらすじ

進化という現象は,なにも壮大で時間がかかるとは限らない.きわめて短期間で,しかも私たちのすぐそばで起こっていることもある.気鋭の進化学者が自身のエピソードやさまざまな事例を紹介しながら,軽快に,そして楽しく,進化学の世界に誘う.さあ,あなたも,進化論の魅力にどっぷり浸かってみませんか?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

面白い本に出会えた。テーマがタイムリーで、ストーリー仕立ても上手。~1これを読めば進化が分かる!(変異・自然選択・遺伝)2進化は時としてあっという間に起こる(世代交代のサイクルが短いものは変化をつかみやすい)3都市で起こる進化(ヒートアイランド・騒音・夜間光)4外来種ももちろん進化する(ブタクサとブタクサハムシとオオブタクサの研究はアレルギー症状を悪化させ著者に研究続行を断念させる)5保全の現場で起こる進化(動物園・植物園・水族館は人間が選択圧となる進化を引き起こす)6これからの進化を予測する(温暖化・春の早期到来・富栄養化・海水湖水の酸性化・感染症・宇宙を初体験するのは人だけでなく植物や細菌も)~1985年生まれで千葉大准教授とは優秀なんだね

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

進化とは、集団の遺伝子頻度が世代を経るに従って変化していること。自然選択は必須ではない。ほんの少しでも有利であれば、500世代くらいを経るとそちらだけになる。
変異、自然選択、遺伝、の3つの要素があれば適応進化は起きる。
交配できない集団になると別の種となる。ダーウィンの種の起源は、自然選択によって新しい生物種が生まれるメカニズムを書いた。
世代時間が短ければ素早く進化が起きる。
ゴキブリは、甘い餌を苦いと感じる自然選択が起きている。
オオツノヒツジは、人間が大きなツノを狩猟したため、ツノが小型化している。小さな個体が有利になった。
象牙を取ったため象牙がなくなった。牙なし個体が増えた。牙なし個体のオスは染色体異変のためオス胎児の死亡が増えた。
魚は大きな物を取るため、小型で成熟して繁殖するようになった。タイセイヨウタラなど。20年間で、タラの成熟年数は6年から5年2短縮した。アトランティックサーモンも成熟化が早まって小型でも生殖する。禁漁で個体数が増えても、進化的に変化した性質は戻らない。水生生物は、検証が難しい。
植物は採集されると小型化する。色が見えにくい灰色や茶色に変化する種もある。

都市生態系=都市でどのような進化が起きているか。都市の特徴は不浸透面が多いこと。不浸透面は熱容量が高い。土の冷却効果がなく、冷暖房などで人為的な熱が多い。ヒートアイランド現象。カタバミの色素が高温日では緑よりも赤のほうが高い光合成活性を示すことから、都市部では自然選択が行われた。
夜間の人工光でガが人工光に吸い寄せられない性質が有利になった。

騒音に対する鳥の鳴き声の変化は進化ではない。騒音で鳴き声遺伝的に変化したのか、はわからない。
動けない植物は食べられないように毒を作る。毒を作るにはエネルギーが必要。捕食者がいなくなると毒が弱くなる。都市部の植物は弱毒化している。
点滴がいない環境では防御物質が不要になって、そのほうが有利になる。競争力増大仮説。外来植物はこのような進化で侵略的になっている。
コオロギは寄生バエによって、死ぬ。カウアイ島ではコウロギの30%が寄生されていた。その後、コウロギの鳴き声が聞こえなくなった。羽が変化して音が出なくなっていた。進化によって絶滅を免れた例。別々の進化で、独立して進化しする=収斂進化。
オオヒキガエルの毒とヘビの口の大きさの変化。ヘビが小顔化して小さなオオヒキガエルしか食べられなくなった。
外来種の駆除に役に立つ。
DDT以降の殺虫剤の登場で、抵抗性個体が出現した。
ワナによる駆除はだんだん無効になる。学習によるワナと、罠を避ける性格をもつ個体が増えるため。

隕石衝突を上回るスピードで絶滅している。6度目の大量絶滅中。
大きな集団では、偶然が進化に作用する効果は小さい。集団が小さいと偶然が進化を及ぼす。絶滅危惧種は集団が小さくなってしまった種のこと。絶滅危惧種の保存では、偶然による進化が大きな意味を持つ。
海水温の上昇で、体長が大きいペンギンが有利となる。しかし環境の変動によって、寒冷化する年もあるため進化には至らなかった。

地球温暖化では2100年には日本でも40度を超える日々が日常になる。
温暖化によってイモムシが成長して加速して成虫になってしまい、シジュウガラのひなを育てるイモムシが不足している。
すべての生物が気候変動に対して適応進化できるわけではない。
都市のヒートアイランド現象は、温暖化を先取りした環境。
海が酸性化している。二酸化炭素が溶け込んで海水のPH値が低下する。プランクトンの環境進化はどうなっているかはわからない。サンゴに影響を与えている。ハワイのサンゴには酸性化環境に対する変異があり遺伝している。
植物プランクトンが増殖すると透明度が低下する。熱帯魚は後尾相手から選ばれるために派手になるという選択圧が働いたもの。透明度が低下すると派手な色彩のコストを使う意味が経るため、地味になる。
マイクロプラスチックを餌とする細菌はすでに見つかっている。
人間の皮膚は自然選択によって生まれた性格。
デンプンを消化する酵素、乳糖を分解する酵素、など。
稲作の地域では下戸遺伝子が有利になった。強い自然選択があると進化が早い。
感染症に対応する。ペストに対する耐性を強化させた。新型コロナは、ペストの流行に比べると選択圧は弱い。
宇宙ステーションの微生物は世代時間が短いため、すでに宇宙空間に適応している可能性がある。
小集団が遺伝すると近交弱勢によって悪い影響が増える。
宇宙空間で長い間生活していると、交配できない位変化していることが考えられる。新しい種の誕生。

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2025年09月24日

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