【感想・ネタバレ】世界は進化に満ちているのレビュー

あらすじ

進化という現象は,なにも壮大で時間がかかるとは限らない.きわめて短期間で,しかも私たちのすぐそばで起こっていることもある.気鋭の進化学者が自身のエピソードやさまざまな事例を紹介しながら,軽快に,そして楽しく,進化学の世界に誘う.さあ,あなたも,進化論の魅力にどっぷり浸かってみませんか?

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Posted by ブクログ

進化について身近な例で平易に解説している名著。進化は悠久の時間の中でゆっくりと生物が変化していくイメージだが、実は進化は驚くほど速く身近な場所で起こっているおり、そうした「身近な進化」の例を挙げている。工業化で黒くなった蛾(オオシモフリエダシャク)、狩猟により角が小さくなった大型動物(オオツノヒツジ)や牙がなくなったモザンビークのアフリカゾウのメス、漁業によって小さくなった魚、採集のしすぎで岩肌色になった蘭の花。
また、都市で起こる進化として、ヒートアイランド(カタバミ)、不夜の町(蛾)、騒音(虫や鳥)、捕食者からの解放、競争の少なさなど様々な環境変化が引き起こす進化を描いている。
外来種の進化、保全の現場(動物園・植物園・水族館、環境保護区)で起こる進化についても各1章を割いて実例を挙げている。
最終章では、これからの進化として、温暖化、海洋酸性化、富栄養化、マイクロプラスチックの影響やヒトの進化について考察している。
全体として非常に示唆に富む内容となっている。
【目次】
まえがき
1 これを読めば進化がわかる!
2 進化は時としてあっという間に起こる
3 都市で起こる進化
4 外来種ももちろん進化する
5 保全の現場で起こる進化
6 これからの進化を予測する
エピローグ
文献

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2025年10月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白い本に出会えた。テーマがタイムリーで、ストーリー仕立ても上手。~1これを読めば進化が分かる!(変異・自然選択・遺伝)2進化は時としてあっという間に起こる(世代交代のサイクルが短いものは変化をつかみやすい)3都市で起こる進化(ヒートアイランド・騒音・夜間光)4外来種ももちろん進化する(ブタクサとブタクサハムシとオオブタクサの研究はアレルギー症状を悪化させ著者に研究続行を断念させる)5保全の現場で起こる進化(動物園・植物園・水族館は人間が選択圧となる進化を引き起こす)6これからの進化を予測する(温暖化・春の早期到来・富栄養化・海水湖水の酸性化・感染症・宇宙を初体験するのは人だけでなく植物や細菌も)~1985年生まれで千葉大准教授とは優秀なんだね

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

進化とは、集団の遺伝子頻度が世代を経るに従って変化していること。自然選択は必須ではない。ほんの少しでも有利であれば、500世代くらいを経るとそちらだけになる。
変異、自然選択、遺伝、の3つの要素があれば適応進化は起きる。
交配できない集団になると別の種となる。ダーウィンの種の起源は、自然選択によって新しい生物種が生まれるメカニズムを書いた。
世代時間が短ければ素早く進化が起きる。
ゴキブリは、甘い餌を苦いと感じる自然選択が起きている。
オオツノヒツジは、人間が大きなツノを狩猟したため、ツノが小型化している。小さな個体が有利になった。
象牙を取ったため象牙がなくなった。牙なし個体が増えた。牙なし個体のオスは染色体異変のためオス胎児の死亡が増えた。
魚は大きな物を取るため、小型で成熟して繁殖するようになった。タイセイヨウタラなど。20年間で、タラの成熟年数は6年から5年2短縮した。アトランティックサーモンも成熟化が早まって小型でも生殖する。禁漁で個体数が増えても、進化的に変化した性質は戻らない。水生生物は、検証が難しい。
植物は採集されると小型化する。色が見えにくい灰色や茶色に変化する種もある。

都市生態系=都市でどのような進化が起きているか。都市の特徴は不浸透面が多いこと。不浸透面は熱容量が高い。土の冷却効果がなく、冷暖房などで人為的な熱が多い。ヒートアイランド現象。カタバミの色素が高温日では緑よりも赤のほうが高い光合成活性を示すことから、都市部では自然選択が行われた。
夜間の人工光でガが人工光に吸い寄せられない性質が有利になった。

騒音に対する鳥の鳴き声の変化は進化ではない。騒音で鳴き声遺伝的に変化したのか、はわからない。
動けない植物は食べられないように毒を作る。毒を作るにはエネルギーが必要。捕食者がいなくなると毒が弱くなる。都市部の植物は弱毒化している。
点滴がいない環境では防御物質が不要になって、そのほうが有利になる。競争力増大仮説。外来植物はこのような進化で侵略的になっている。
コオロギは寄生バエによって、死ぬ。カウアイ島ではコウロギの30%が寄生されていた。その後、コウロギの鳴き声が聞こえなくなった。羽が変化して音が出なくなっていた。進化によって絶滅を免れた例。別々の進化で、独立して進化しする=収斂進化。
オオヒキガエルの毒とヘビの口の大きさの変化。ヘビが小顔化して小さなオオヒキガエルしか食べられなくなった。
外来種の駆除に役に立つ。
DDT以降の殺虫剤の登場で、抵抗性個体が出現した。
ワナによる駆除はだんだん無効になる。学習によるワナと、罠を避ける性格をもつ個体が増えるため。

隕石衝突を上回るスピードで絶滅している。6度目の大量絶滅中。
大きな集団では、偶然が進化に作用する効果は小さい。集団が小さいと偶然が進化を及ぼす。絶滅危惧種は集団が小さくなってしまった種のこと。絶滅危惧種の保存では、偶然による進化が大きな意味を持つ。
海水温の上昇で、体長が大きいペンギンが有利となる。しかし環境の変動によって、寒冷化する年もあるため進化には至らなかった。

地球温暖化では2100年には日本でも40度を超える日々が日常になる。
温暖化によってイモムシが成長して加速して成虫になってしまい、シジュウガラのひなを育てるイモムシが不足している。
すべての生物が気候変動に対して適応進化できるわけではない。
都市のヒートアイランド現象は、温暖化を先取りした環境。
海が酸性化している。二酸化炭素が溶け込んで海水のPH値が低下する。プランクトンの環境進化はどうなっているかはわからない。サンゴに影響を与えている。ハワイのサンゴには酸性化環境に対する変異があり遺伝している。
植物プランクトンが増殖すると透明度が低下する。熱帯魚は後尾相手から選ばれるために派手になるという選択圧が働いたもの。透明度が低下すると派手な色彩のコストを使う意味が経るため、地味になる。
マイクロプラスチックを餌とする細菌はすでに見つかっている。
人間の皮膚は自然選択によって生まれた性格。
デンプンを消化する酵素、乳糖を分解する酵素、など。
稲作の地域では下戸遺伝子が有利になった。強い自然選択があると進化が早い。
感染症に対応する。ペストに対する耐性を強化させた。新型コロナは、ペストの流行に比べると選択圧は弱い。
宇宙ステーションの微生物は世代時間が短いため、すでに宇宙空間に適応している可能性がある。
小集団が遺伝すると近交弱勢によって悪い影響が増える。
宇宙空間で長い間生活していると、交配できない位変化していることが考えられる。新しい種の誕生。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

youtubeで進化生物学の動画を見てて、タイミングよくX上で見かけて購入した書籍である。
進化生物学の基本的な考え方と、それが身近な環境でも起きていることを、
具体的な研究事例を基に解説しており、非常に面白く読むことが出来た。
また、外来種に対する進化の影響について研究されており、外来種の問題に関して単に警鐘を鳴らすだけでなく、
進化の観点からどのような観点で対策をすべきかを解説しており勉強になった。
また、著者の研究テーマのブタクサを研究するときのフィールドワークの内容や、
ブタクサとブタクサハムシの関係性を確かめる部分は楽しく読むことも出来た。

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

進化について、現在起きている現象なども示しながらの解説

進化の原理、進化的反応の意外性・多様性について勉強になる。著者がSF好きなためか、とてもわかりやすく楽しく読める。

進化は、変異・自然選択・遺伝によって起こる過程
変異は元から多様性があったり、突然獲得することも
並行進化、収斂進化
学習は遺伝によって伝わる進化と別もの

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2025年08月08日

Posted by ブクログ

もう一度読むと、もっともっと面白く感じるのかもしれません。
漁業の影響を受ける生物では、一般的に、大型の個体が選択的に捕獲されます。
漁業による進化が考えられる現象として、
・タラが小型の状態でより早く成熟し繁殖するようになった
・サケでは、遺伝子レベルで早熟タイプの割合が増加中
……ってことが紹介されていて、ビビりました。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

誤って理解したり拗らせてしまいやすい進化について、最新のサイエンスの立場からわかりやすく解説した新書です。
著者によれば、進化とは「生物のある性質が遺伝の影響を受けていて、集団の中でその性質を持っている個体の数が時間とともに変化すること」とされています。
想像しているより早く進化が起こることや、自然選択の話として、狩猟圧、漁業が魚に与える影響などの例が興味深かったです。

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2025年08月10日

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