あらすじ
柳原さん、開高さんらが描いたアンクルトリスに込められた「人間らしさ」こそが、どんな時代にあっても人間が忘れてはならない、欠かすことのできない本質である
(サントリーHD会長 佐治信忠〈特別寄稿〉「人間らしくやりたいナ」より)
アンクルトリスのモデルはいない、しかし、強いて探すとすれば、それは私自身のような気がする。私の思っていた事、私のするくせ、私の見たものがアンクルトリスのストーリーの中に、動きの中に、背景の中に出ていたかもしれない。きっとそのうちに私もアンクルトリスみたいにハゲ頭になるだろう、私のモデルはアンクルトリスなのです。
(巻末エッセイ 柳原良平「私はアンクルトリス」より)
「人間」らしくやりたいナ――昭和三三年、柳原良平、開高健、山口瞳、そして酒井睦雄が生み出したアンクルトリス。サントリーの前身・寿屋宣伝部で、数多くの伝説的広告を作り上げた熱く賑やかな日々を描く。多彩な人物のエピソードから広告論、イラストレーション論まで。イラスト37点収録。
〈特別寄稿〉佐治信忠〈巻末エッセイ〉山口瞳
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Posted by ブクログ
サントリー宣伝部。後に作家の開高健、山口瞳とイラストレーターの柳原良平の3人が揃っていた奇跡。
アンクルトリス誕生秘話から、寿屋からサントリーへ、顔の見えるつながりから大企業になるまでの古き良き時代が描かれている。
趣味の船に関する交遊と広告に関する個人的な意見(卓見)など。
アンクルトリスは昭和30年代のCMキャラクターだが、本書が昭和51年旺文社文庫で出版された際にも再度登場していたようである。
そして現在のハイボールブーム。
今回中公文庫で再販された背景であろう。
山口瞳、開高健とは違った視点からのサントリー宣伝部という意味でも、当時の熱気と中小企業ならではの風通しの良さなど、楽しめる作品でした。