あらすじ
「殺人者の息子」という宿命を背負い、検事への夢を断たれ弁護士となった川上。かつての父同様に、頑ななまでに死刑判決のみを望む被告の弁護を手伝うことになり、二十年ぶりに故郷へ。被害者と加害者、双方の息子。決して交わらなかった二つの人生が、因縁の街で新たな局面を迎える――。「汐灘サーガ」三部作最終章。
著者インタビュー収録。
【目次】
第四部 接近(承前)
第五部 強まる疑念
第六部 過去からの手紙
第七部 接触、そして
巻末付録 堂場瞬一インタビュー
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Posted by ブクログ
「汐灘サーガ」三部作最終章。
上巻に続き、弁護士川上は汐灘での手伝いに入った事件で動いていたが、真野もまた汐灘で少女を探しているということが気に掛かり、何故なのか誰なのか?知り合いの刑事に尋ねていた。
被害者と加害者、双方の息子がいつどのような場面で顔を合わすことになるのだろうかと気を揉みながら2人の行動を目で追うことになる。
因縁のある汐灘で、嫌な思いをしながら何度も少女を探すのを諦めようとする真野だったが、店に戻れば常連の警察官である石田に途中で諦めるなと言われ、汐灘のかつては刑事だった安西までもが動いてくれるのを見るとやはり動かないではいられなかった。
やっと手がかりが掴めたと確信したとき、川上も別方向で動いていて、同時に2人は顔を合わせることに…。
なんとも手に汗握る局面での事故に肝を冷やすが、少女が誰なのかわかったことは、良かっただけでは済まされない20年だったように思う。
川上と真野が対面して話すことで、何かが変わり2人のなかで色のなかった世界から彩りのある世界へと移ったのではないかと感じた。
汐灘の全てが描かれた、とても濃い過去と現代の事件だった。
刑事たちの密やかな応援もあって救われたのではないかと思う。(かつて、いろいろな小説でお目にかかった刑事もちらほら登場するのも嬉しくもありとても満足できた)