【感想・ネタバレ】出版・新聞 絶望未来のレビュー

あらすじ

サドンデスか? 緩慢な死か?
紙メディアの「最後の死」が近づいている!
デジタル化・オンライン化が進展するなかで、日本では出版・新聞という紙媒体(プリントメディア)は、毎年1000億円の市場縮小を続け、2009・2010年に売上2兆円を割り込んだ後も、緩慢な死に向かって落ち込みは止まらない。
デジタル化・オンライン化へとビジネスモデルの転換をはかっている米英では、主要新聞は紙への注力をやめ、自社サイトで課金モデルを運営している。出版社も電子書籍、電子雑誌の時代に入り大手の売上の3割をオンラインコンテンツが占めるに至っている。
一方で日本では、新聞の課金モデルははじまったばかりで、電子出版も話題を呼ぶわりには市場として未熟である。世界のプリントメディア・電子書籍市場で何が起こっているのかを見通すとともに、日本で電子書籍が普及しない7つの理由を示したプリントメディアの未来像。Kindle&iPadminiの襲来で出版・新聞業界はどうなるのか? ヒット作『出版大崩壊』(文春新書)の著者が、最新データから、新時代のデジタルメディアを大胆に探る。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 本が売れない、新聞の発行部数が下がっていると言われている。しかし、電子書籍市場を見ても、必ずしも伸びているわけではない。その最大の理由は、著者が指摘しているように、日本と違ってアメリカには書店が街にあるとは限らないことだ。ニューヨークのような大都市なら本屋はあるが、地方都市行くと本屋と呼べるところは、大学がないかぎりなかなかお目にかからない。そういう状況で電子書籍を読む選択肢が出てくれば、書籍や雑誌が読みたい人たちにとっては、ありがたい存在なので手が伸びる。

 反対に、日本では、地方都市でも、よほどのことがない限り書店があり、数日遅れでも最新本が手に入る状況にある。それならば、洋書や洋雑誌を読む人でもない限り、電子書籍に手が伸びない。

 新聞の売れ行きが下がっている原因としては、インターネットのニュースを無料で読めば済むと思う人が増えていることだ。それに、新聞社も企業であり、営利を追求している面はあるので、何らかの偏りがあり、たとえば世論調査で調査の仕方に怪しいところがあるなど新聞に対する信頼あるいは、新聞信仰が薄れているのも原因と考えられる。

 新聞社の側も、何とか収益を上げようとしている。たとえば、日本経済新聞は、課金制をとっている。参考にしているのが、あの経済紙Financial Times とWall Street Journalだ。両社ともに世界を代表する経済紙で、課金制にしても他では手に入らない情報を売り物にしているだけになかなか読者が減らない。

 しかし、日系の場合、よく言われるのが、紙の新聞と電子版の共存を図るためにデジタル版単独では月4,000円、デジタル版と併用の場合新聞購読料金プラス1000円という値段設定にしている。著書によると、2010年に始めた課金制度が、2年後には、20万人の有料読者獲得とある。日経の場合、企業や企業の商品、サービスを取り上げた記事を書いて会社員を中心とした読者がいる点で他の新聞とは違う特徴がある。しかし、その日経にしても、いつまで紙の媒体とデジタル版の両面作戦で行けるのかはわからない。あのウォールストリート・ジャーナルの日本版は、月1980円だけに、よほど読みたくなるような記事が載っていないと、読者が消えていく可能性は避けられない。

 最後は、有料でも無料でもコンテンツ次第だ。せっかく読むからには何か興味がもてるコンテンツを読みたいもの。脳をビビビと刺激するような面白いものを提供してもらいたいものだ。

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2012年12月11日

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