あらすじ
「将来の夢」を思い出せない全ての大人達へ
「才能を持った人間なんて、実はたくさんいる。でも、天才は違う。天才は、才能を見つけた連中が、一方的にそう名づけるんだ」
デビュー10年。爆発的に売れることはないけれど、きちんと締め切りを守り、編集者に無理難題を押し付けずに着実に仕事をこなす作家・星原イチタカ。一方、同期デビューの釘宮志津馬は偏屈で横暴であることを自覚しながらも、大人気作家であることから周囲に丁重に扱われることに対し憤りを感じている。イチタカの才能を軽んじる向きもある中、釘宮だけが彼の「天才」性を”観測”していた。
藤井聡太七冠の記録を塗り替え、史上最年少でプロ入りした中学生棋士、タピオカミルクティーの味もマカロンの味も知らない、かつての「氷上の妖精」、気がつかぬままに抜群の歌声を持ち、オーディションを駆け上がる天才中学生……。
描かれるのは5人の天才たち。彼らと、彼らを観測し続けた人々の姿が紡がれる連作短編集。
【目次】
星の盤側
妖精の引き際
エスペランサの子供たち
カケルの蹄音
星原の観測者
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
天才とは。才能とは何か?
〜あなたも天才たちの観測者になりませんか?〜
額賀先生のデビュー10周年作品
どのストーリーも好きだった!!
特に、『星原の観測者』の話がお気に入り!
ほんと、じーんと沁みた。
釘宮の星原に対する思いを話すところに、感動して涙が止まらなかった!
私は、天才たちを普段から見ている観測者の1人。
普段は、"天才たちの才能の美しさとその苦悩"がよくわかる1冊だった。
1度カメラマン多々良の写真を見てみたいなぁと思った。
夢には際限がない。でも、才能には終わりが…とのことなので、夢は大なり小なりずっと持ち続けたいと思った!
Posted by ブクログ
額賀澪10周年に刊行された、様々なジャンルの天才たちを描いた短編集。各作品に出てくるカメラマン多々良や共通のキーワードが出てくるものの、基本的には独立した短編5編を収録。
天才の萌芽から全盛期を過ぎた天才まで、ジャンルだけでなくタイミングも様々。旬が合ったり好不調が合ったり、より化け物的才能の出現があったり、天才といえども…いや才能があるからこそ…はるか上のステージで凡人と同じように葛藤しあがき続ける彼らの姿。
どの作品にも勇気づけられ、励まされるが、特に最後の「星の観測者」はグっとくる。人格的にはサイテーの天才作家が早逝の友を悼むシーンがもうなんとも言えなくて…。額賀澪自身が作家だけに、やっぱり一番気持ちを入れ込めるんだろうなぁと。
Posted by ブクログ
読み終わった今の感情は、切ない。
才能を持っていても、天才とは言われなかった、言われなくなった人物が強く印象に残ったからだと思います。
天才かそうでないかは、運があるかないか、ただそれだけの違いなのかなと思った。やるせないような気がする。だから、切ない。
1番好きだったのは「カケルの蹄音」
ズットカケルは、他の競走馬と比較し、決して強くはなかったけど、「怪我をしなかった。だから八十戦も走った。」という描写が、心に深く残りました。
何かを続けられるって、本当にすごいことだと、ずっとうっすら思っていて、カケルの蹄音を読んで改めて、本当にすごいことだと思った。
継続できるかって、自分自身の意思の強固さを評価される印象が強いが、他にも自分自身の身体的・精神的ポテンシャル、個人的または世間的な環境も多いに影響してくる。
色々な変化がある中で、続けたくてもできないことが多い中で、続けられる、ってすごい幸運。
結果に重きを置いている人だっているし、それも全然間違っていないし、大切だと思うけれど、私は結果以上に過程を評したいと思う。
やっぱり額賀澪さんの作品は大好きだ〜
ハッピーな気持ちで終わらず、切ない気持ちが残るけど、それが非常に強く印象に残る。
Posted by ブクログ
将棋、フィギュアスケート、歌、競走馬、作家などの様々な分野の天才や元天才たちと、彼らを観測し続けた人々を描いた連作短編集。天才だけでなく、観測者によって光と影も伝わってくる。好きなだけでは才能に直結しないし、実力以外の運に振り回されることもあり、その中で競い合って勝ち続けたものだけが天才と呼ばれる。自分とは別次元の存在だと思ってしまうが、どんな天才も苦悩しながら、ここぞという大舞台で最高のパフォーマンスを発揮して歴史に名を残すからこそ、天才に惹きつけられる。所々で登場人物のその後が見えて、微笑ましかった。