あらすじ
あの家のわらしは、膨れで死ぬぞ。
――P集落に暮らす姉を訪ねた「私」が、土地神《べら》を祀る小さな社に毎日お参りをする姉の様子がおかしいことに気づく「べらの社」。山から集落におりてくる”人ならざるもの”を描いた「うず山の猿」「がんべの兄弟」。尊い《まる》の声を聞くためだけに、幼い子供が山の社にひとり閉じ込められる奇妙な因習「まるの童子」。さらに「密室の獣」「天神がえり」「拡散にいたる病」を加えた7編からなる連作短編集。
話題の伏線回収ホラー『撮ってはいけない家』著者の最新作。
今、振り向いてはいけない。
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Posted by ブクログ
7話からなる短編集…
なんだけど、最初の4話は1枚のフロッピーディスクに入っているという設定で、短編の間にフロッピーディスクの画像が扉絵として置かれてました。各フロッピーにはタイトルと年代とかが記されてもいる、工夫された装丁(残り3話は、それぞれ1枚ずつのフロッピーディスクに納められている)
この装丁がお話の展開にどう生きてくるんだろって思いながら読み進めてました。
このフロッピー達は、最終的に、矢樹純さんの手元に集まったということなのかな?
ここからは勝手な想像。。
6話目までのお話をフロッピーにまとめたのって、榊さん(佐藤梨穂さんの父)なのかな。年配の方だから、あえてのフロッピー…だと解釈してます。
だとしたら、最終話は誰がまとめたんだろ…そこが分からない。あと、最終話はフロッピーじゃなくても良かったような気がする。令和7年にフロッピー使うのって、逆に大変そうな…
とか、重箱の隅をつついてしまってすみません(笑)
各話の佐藤さん同士の関連付けや、家屋の様子から登場人物の関連付けをしてみたり、「まる」が何かとか…
自分なりにあーだこーだこねくり回してみたり。
出版までにあった騒動を逆手に取ったような展開も目にして、さすが作家さんだなぁって感心したり。
ワンちゃんや小さい子が犠牲になる場面もあったんだけど、普段ならマイナスに捉えるそういう場面も目をつぶろ〜って思える、それくらい楽しめました。
再読したいです。
それで今思ってることと、再読後に考えたことの照らし合わせをしてみたい。
Posted by ブクログ
ホラー小説はそれほど読む方ではないが、近年比較的よく見るようになった気がする。
『このホラーがすごい』とかも出るようになったし、雨穴さんや背筋さんなどの活躍で世間への浸透度が増しているような気がする。
ということで、普段読まないジャンルだけれど気になった作品。
全体としては一つの長編という訳ではなく、それぞれ別の視点、背景を据えた幾編かの物語を編んだ形になる。
青森県のP集落、亀の刺青の男。
この2つが全編をゆるーく繋ぎ止める感じが何とも不気味で薄気味悪い。
各編それぞれにもえぐさや怖さはあるのだけれど、それよりもやはり裏でうっすら糸引く何かの方がぞくぞくする。
文字面では同じ場所、同じ人物を指しているようだが決定的な言及はないし、若干これ同一のものでいいのか?と思うような時代の経過やそれに伴う描写のねじれがあって正体が掴みきれないところが何とも言えない。
真相は闇の中、とすら言ってくれない匂わせ終焉に、読み終えて残るもやもや感にこれも一種のリドルストーリーかという感慨。
演出としてのえぐさは好きじゃなかったけど、なんか変なの読んだなぁと残るこの読後感は嫌いじゃない。
Posted by ブクログ
前半はそれぞれP集落にまつわる不思議な話。
それぞれ独立しているのかと思いきや、亀の入れ墨の川辺さんが中心人物。人柄も結構すきだった。
お話は『がんべの兄弟』『密室の獣』『天神がえり』が好きでした。
『うず山の猿』はかなり気持ち悪くて、情景を想像するほど吐き気がしてしまう。けど、別に悪い奴ではない……のかな?
酒を飲まなくてよくなるのと、酒を幾ら飲んでも酔わなくなるのはどっちがいいんだ……?と考えてしまった。
『密室の獣』では、川辺さんが川辺さんになった頃の事も分かったけど、外から来た流れ者の川辺さんがなんでその土地の「がんべ」になるんだろう?
『P集落の話』の各話の中でも、がんべに対する意識が登場人物によって異なっているような感じがする。
川辺さんは「人との関係が希薄だから可哀想ってならない」って感じなのに、『まるの童子』の中だと人間から定期的にお供え貰ってる上位存在だし、『密室の獣』の川辺さんが川辺さんのご先祖なら、最早P集落出身でもない……?(りんご畑は近くにあるみたいだけど)
結局よく分からない(良い意味でも悪い意味でも)もやもやは残ってしまった……。
けど、『撮ってはいけない家』と続けて読んだからか、こっち(『或る集落の⚫︎』)のほうが好きだった!
感情移入出来ないひと(『まるの童子』の夫とか)もいたけど、短編で読みやすいのもあるし、川辺さんが懐っこくて可愛いのがよかったのかもしれない。
とりあえず川辺さんが幸せに暮らしているところだけはノンフィクションであってほしい。
Posted by ブクログ
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