あらすじ
どうかあなたに、希望の光がさしますように。
「太ったら、食べちゃダメなの」。幼いころに聞いた母の言葉をずっと忘れられないでいる早織。
早織は小学校6年生ごろから体重が増えはじめ、体型を何よりも重視する母は彼女の食事量を厳しく制限した。お菓子はダメ、お代わりはダメ。でも、もっと食べたい、もっと痩せたい。
早織は食べて吐くを繰り返すようになり、吐くための食料を手に入れるため、食べ物を万引きするようになってしまう。結婚をして夫と娘と仲良く暮らしながらも、彼女は万引きをやめられないでいた。
そんなある日、早織は妹からの電話を受ける。それはずっと避けていた母の命が、もう長くないと告げるものだった――。
母の呪縛。痩せたいという願い。間違いだとは分かっているのに、今日も彼女は正解を選べない。
既刊続々実写ドラマ化、『殺した夫が帰ってきました』『塀の中の美容室』で大注目の著者が描く新境地の傑作小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
読みながら息が詰まって息苦しく感じたし思わず呼吸を浅くしてしまうほど苦しかった
食べることは幸せなはずなのに彼女に取っては苦しいこととセットになってしまってる
彼女は周りに助けてもらい病気に向き合い母親とのことも内省を始める
そんなことが彼女を助けまた他の人を助けるという良いループに入って私も息がしやすかった
Posted by ブクログ
摂食障害と窃盗症。平穏な共働きの夫娘との生活の陰にあった女性の症状、やがて明るみに出て二度目の裁判で実刑判決に至りその生活も大きく変容して…出所して病院に繋がり、一筋中では行かない中でも懸命に一歩一歩を歩んでいく。かつての自分によく似た女子高生との出会いと、彼女との関わりによる自らの修復。通底する自分の母への複雑な心情とその修復。そして最後は、一度離婚と受刑で断絶した娘との関係性を修復していく。これらを克明に描いている。大変読み応えがあって、読後感はあたたかくて、とてもよかった。
Posted by ブクログ
2025/07/04予約1
拒食から過食、嘔吐までは想像できたが万引き、窃盗症まで。心の緩みが万引きに繋がる、など聞くが窃盗症という病気がある事を知らなかった。自分でコントロールできず、買い物に一人で行かないが解決法だなんて。どうせ吐くものを買うのはもったいない、という歪んだ認知に至る人生、辛かっただろうな。表紙の素敵なお皿はそんな意味があったのか。
ラストは救いが見えた。彼女にしかできない支援の仕方、辛い過去も内包して同じ人々を助ける、なかなかできることではない。
読んでよかった。
Posted by ブクログ
なんで、この方はここまでリアルに心の葛藤が言語化できるんだろう…
こういう、自分ではわかってるのに、どうしようもできない現実にぶつかったことがあるのだろうか。
真面目なのになぜ、、、ではなく、真面目だからこそ、こうなってしまうことがあるんだ
適度に人前でもだらしなくできなり、ダメな部分を見せられたり、そういうのができれば違ったのに
みんなの前の自分と、1人きりの自分の、その差が大きすぎて,頭おかしくなるときがある
こんな汚くて気持ち悪くて最低な人間なのに、よくみんなの前では普通のいい人間ぶれるなって、
でもそこも壊れてしまったらわたしは一体どこに明るい自分を置けばいいのか分からなくなるし
頭でわかってるのに、
自分のことを信じられないことを,自分が1番わかってる情けなさ
心と身体がバラバラで切り離されてる感じ
すごくリアルだった
でも、私は病院でどんな治療をしたのか、
「治そう」と踏み出してそこからどんな葛藤を繰り返したのか
そこも知りたかった
Posted by ブクログ
自分も拒食からの過食、そして過食嘔吐を経験したからわかるなーって読んでた。幸い盗んだりとかはなく短期間で終わったけど、今でも太るのは怖いし、嘔吐もゼロではない。「治る」とかはなくて、うまく付き合って生きていかなきゃいけないもの。時々その事実に苦しくなるけど、しょうがないよね、それが自分だし。
Posted by ブクログ
主人公がずっと一人で抱え込んでいた苦しみ。真面目で優しいが故に誰かのせいにする訳でなく、自分を責める。物語の中で誰かに頼ってと何度も思いました。人はひとりでは生きていけないし、相手の本当の思いを知ることが大事だなと思いました。
Posted by ブクログ
法に触れることではないけれど、衝動的に止まらない、きづいたらやってしまう。それがすごくわかって、苦しくなった。
読後感は不思議と悪くなく、良かったと思う。
Posted by ブクログ
題材
・摂食障害×窃盗症
テーマ
・人は表面だけでは判断できない
誰が何をする話なのか
・主人公が病気を抱えつつも再起する話
最も伝えたかったこと
・題材について
何が新しいのか
=題材
キャッチコピーは何か
『わたしもあなたもこの物語と無縁ではいられない』
その他(心に残ったことなど)
・もう盗まないでくれと祈りながらページを捲り、また盗んで実刑判決、とても辛かった
・トイレで吐いて詰まらないのかが終始気になった、詰まりを直すような描写はなかったと思う
・ラストはやや尻すぼみに感じた、実のところ、佐藤正午の熟柿と重なる部分があり、比べてしまった
Posted by ブクログ
ヒリヒリするような焦燥感で一気読み。摂食障害に窃盗症の早織は自らの衝動が抑えきれずに万引きと過食嘔吐を繰り返してしまい、家庭を壊してしまう。刑務所に入って出た後にもこれらの症状に苦しみ、読んでるこっちはヒリヒリ、ヒヤヒヤが止まらなかった。依存症ってこんなに苦しいんだ…ただ、早織が立ち直れたラストは本当に救いがあったなー。周りに寄り添ってくれる人がいるって素敵なことだなと強く思う。
Posted by ブクログ
窃盗症と摂食障害を繰り返していた主人公。
逮捕、離婚、子供から嫌われても、辞めることができなかった。病気と向き合う中、自分の過去を繰り返しているような高校生まりのに出会う。過去と向き合い、もがきながらも毎日盗らないと苦悩する主人公に、頑張れと願いたくなる。
Posted by ブクログ
自分に窃盗や過食嘔吐の経験はないが、何かを辞めたいのに辞められないという気持ちはすごく身に覚えがある。主人公が万引きや過食嘔吐を繰り返す度に共感し、苦しくなりながら読んだ。(本書の場合は母に、父にも)自分を大事にしてもらったという実感がないから、自分を大事にする方法がわからないというのが理由の一つとしてあるのかな…。自分の立場と重ねてしまう場面が多くあった。ラストは救いがあって良かった。娘視点で考えると急に電話してくる母親に腹が立つだろうし、現実世界だったら絶縁して終わりが妥当だと思うが、小説の中くらい救いがあっていい。総じてとても良かった。
Posted by ブクログ
好き。私の好きな本。本の装丁からすき、水色と白と青に綺麗な食器にケーキの食べカス。全て好き。しかも題材が過食嘔吐。もうこれだけで刺さる。早織にとって母は母ではなくて尊敬とか畏怖とか憧れの対象でしかなかったんだなって思った台詞が何個かあった(付箋貼ろうと思ったけど今度でいいやと思って貼らなかった^^;)極度の救われなさがあると逆にそれに憧れてしまうという謎。過食嘔吐で苦しんでる人沢山いるんだろうね、少しだね当事者になりたいと思う(ガチ当事者に殴られそうだけど)。この本の作者の桜井美奈さんが''殺した夫が帰ってきました''の作者だと知って横転。私漫画読んだけどつまんなくて途中でやめたんだよね、、、小説なら面白いのかな?とにかくこの本は苦しい時にまたよみたい。お気に入りの1冊に追加!
Posted by ブクログ
母親の言動によって摂食障害になった女の人の話
母親が亡くなり、自分と同じような女子高生と出会ったことにより 自分を見つめ直すことができた
旦那さんほんとにいい人
最後はハッピーエンドでよかった
Posted by ブクログ
2025.11.21
万引きを繰り返してしまう窃盗症と生きるのがつらくて過食嘔吐してしまう摂食障害の人はこういう気持ちなのか。
食べるということは生きることで、生きる行為が辛いものになっているってしんどい。
依存症の人は完治というものはなくて、毎日毎日今日はしなかった、という繰り返しなんだそう。
Posted by ブクログ
過食嘔吐と窃盗症に悩まされる女性の話。
依存症の怖さと、ジリジリと家族や人生が壊れていく怖さをひしひしと書かれており、胸の苦しさを感じながら読み進めていった。
それでも世話をかける妹、離婚をするも気にかけてくれている元夫、絶縁同然の娘、大切な人が苦労をしている時に誰になり得るだろうか。
もっと依存症の怖さを重々しく描写したところも見たいと思った。
最後のエピローグ、娘と孫と一緒に誕生日ケーキと大好きなカップでパーティ、心がじーんとなったわ…
Posted by ブクログ
過食嘔吐に窃盗症を併発する女性の長い長い物語。
結論。意志では治らないから医者に行きましょう。
やりたいわけではないのにいつの間にか身体が動いてしまう。胃に物を詰め込み、吐く時だけは何も考えず、自由になれる気がする。幼い頃に植え付けられた歪んだ感情は、ずっと残って自分を蝕み続ける。
今の辛さから逃れる為の依存行為が、自分を死にたくさせるほどの後悔と苦しみを生む。恐ろしい悲しいスパイラル。
まあ物語ですから最後は美しいですが、本当にずるずると人は堕ちていく可能性があります。注意しましょう。
Posted by ブクログ
誰かの言葉とか、ちょっとした行動がきっかけで病気になったり今後の人生が変わったりしてしまう恐ろしさ。
自分自身を受け入れること、優しくすることは難しいけど向き合っていくしかないんだよね。