あらすじ
これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです――(「序」より) そこでは森と人が言葉を交わし、烏は軍隊を組織し、雪童子と雪狼が飛び回り、柏の林が唄い、でんしんばしらは踊り出す。暖かさと懐かしさ、そして神秘に満ちた、イーハトーヴからの透きとおった贈り物――。賢治の生前に刊行された唯一の童話集。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
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Posted by ブクログ
この年齢になって、やっと宮沢賢治が沁みる。
面白かった。
「狼森と笊森、盗森」が特によくて、
人と森(自然)が対話するのが、なんとも尊く感じられた。
「序文」も素敵。
解説も面白かった。知らないことたくさん。
宮沢賢治、改めて素晴らしい。
というか、好き。
Posted by ブクログ
2月の読書会の課題図書。
昔々、絵本で読んだ覚えのある作品。寓話だ。
大人になっての解像度で読むと、教訓めいた寓話の他に、当時の経済主義、拝金主義、あるいは無節操な西洋礼賛、自然の軽視、さらには自意識の無さ、迎合の批判など、いろんな風刺が読み取れる。
が、それをどこまで作者が意識して文章に落とし込んでいたかは、やや疑問だが、策を弄そうともせず、感覚や感性で、この作品を生み出したのだとしたら、そこに宮沢賢治の真骨頂が見いだせるのかもしれない。
表面上は、表記の揺れや、中途半端な知識による記述かと思わせる個所もあり、編集や校正の入っていない、いかにも自費出版の作品だと思えなくもないが、読書会の討論を通し、実は、拙い表現すらも宮沢賢治の計算があったのかもしれないと思わされた。それを、計算と思って書いてない、純粋な魂による所作としたら、尚、賢治恐るべしなのだが。
今回読んでみて、改めて怪談の類だと読めた。なかなかのホラーである。どこまでも続く洋館の廊下などは、なんなら映画『シャイニング』を彷彿させる。映像に落とし込むなら、あのシンメトリーの画角を使って、表現したくなる。
扉を開けても開けても、繰り返される廊下の映像は、恐怖を煽る舞台装置として完璧だ。
文中に出てくる色に注目する読み方も読書会での気づきであった。白→水色→黄→赤→黒と、まだ三色の信号機が日本にはない時代に(導入は1930年代だ)、青→黄→赤と、危険度を表現した賢治の感性にも脱帽。
表現の揺れや(鉄砲打ち→猟師)、死んだはずの犬の蘇生など、序盤と終盤、それは別のものではなかったか? と、よりホラーな読みもあると披露してみたが、どうだろうか。
いろんな読解ができるのが古典の素晴らしさだ。
今月の読書会の学びも実に実のあるものだった。
※ 角川文庫にて読んだが、新潮文庫版や児童向けの本など、いくつもVer.がある(読書会参加者がそれぞれ持っていた)。 中でも、この角川文庫版は、初版の作品ラインナップに加え、当時のイラストなどが採用されているほか、後半には実弟による記述、年表なども付録されており、なかなか史料価値も高いと思った。
Posted by ブクログ
メルヘン・ファンタジー。幻想世界。心象風景…
いい意味の戸惑いを感じたのは、児童文学ゆえか。頭が固くなっているのかなあ。
やはりタイトルにもなっている「注文の多い料理店」が強く印象に残っています。
方法というのはおそらく想像するよりも沢山あるのだろうなあ…
Posted by ブクログ
今改めて読み直してみると、宮沢賢治が持っていたイマジネーションの大きさに驚かされます。
空想、架空、幻想、そんな言葉で表現することが申し訳ないような、
自然の懐に抱かれて人は生きていることを実感させられます。
表題作「注文の多い料理店」はあまりにも有名な作品ですが、
子どもの頃漠然と読んだ教科書の中の物語としてではない面白さが満載です。
例えば言葉の使い方。「すぐに食べられます。」なんて、自分が食べる側なのか、
逆の誰かに食べられてしまう側なのか、どっちの意味にも受けとれる言葉を、
小学生でも分かるように使っているところが、テクニックとして面白いです。
これ、簡単なようでかなり高度なワザなはず。
そして何気にミステリーだし。(笑) 会話が成立しているのに、相手の姿は1度も登場しません。
相手はナニモノ・・・。これ、よくよく考えると結構怖いかも。
全体的に自然を擬人化したお話が多いですね。賢治が自然とともに生きようとした証なのかも。
「月夜のでんしんばしら」もユニークな作品でした。月夜に鉄道線路沿いの電信柱が行進するお話。
彼ら電信柱の大将である”電気総長”さんが、最後に明かりの消えた汽車にもぐりこんで明かりを灯し、
小さな子どもに喜びを与える終わり方から、やさしさが伝わってきました。
落ち着いたらまた花巻の「賢治村」に行きたいです。
★★★☆