あらすじ
櫛森秀一は湘南の高校に通う17歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との3人暮らし。その平和な家庭に、母が10年前に別れた男、曾根が現れた。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとする。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意した。自らの手で曾根を葬り去ることを……。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。
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Posted by ブクログ
犯人視点+緻密な心理描写で没入感が凄くて、なんかもう、疲れましたーーー!(笑)
いや、それだけ作品に引き込まれたということで、作者さん凄いのですが!!!
義父がいる家の中の緊張感、犯行を練るシーン、実行するシーン、事情聴取時の焦燥や実行後の苦悩……。
本を読んでいるだけなのに気が張り、頭も気持ちもへとへとに疲れていたのですが、早く(わたしも)見届けて楽になりたい…の一心で、夢中になって読み切りました。
決して許されることではないけど、誰にも頼ることが出来ない中、一人で家族を守るしかなかったことは、やりきれなく切なかったです。
最後、巻き込まれた運ちゃんへの同情が勝ってしまい、没入感があっさり引いてしまったので☆4ですが、巻き込まないやり方だったら☆5付けてました(笑)
お前、あれだけ、抱えた苦悩を、見ず知らずの人に背負わすな…!! と思ってしまったのだけが少し残念。
※追記 (5/11)
と、思ったんですが、あれから考えて解釈が変わり、主人公のプライドが高く視野も狭い、利己的で幼稚な面を、ラストでああゆう形で表したのかな、と。
家庭にいくら事情があろうと、家族の為と言ってもそれは建前であり、殺人は自己中的なもので計画的に実行したことに対しては同情の余地はないのである、ことの表現かと感じ直したので、一つの表現の形か、とすっきりしました。
きっと運ちゃんは法定速度で走ってて、自転車が突然方向転換したことを周りの車が証明してくれる…ことを信じて。それでも心に傷は負うだろうけど……。
この家族に『あなたたちを守る為にやったんです』と事件のことを話しても『そんなことは望んでなかった、もっと気持ちを話してほしかった』と返ってくる気がしますね、独りよがりな面も忘れてはいけない。
Posted by ブクログ
1/3ほど読んだところで、突き動かされるように、秀一と同じ風を浴びて雨に打たれ134号線を踏み締めたくなって、湘南へ急行。
雨の朝、学生と共に藤沢から江ノ電に乗り込む。小糠雨の中、極楽寺の切通しを歩く。鎌倉を散策する。晴天の134号線をサーファ横目に歩き、鎌倉学園前駅で江ノ電に手を振る。車窓から鵠沼を眺め、ハートトゥハートや秀一の家の辺りがどこかを想像する。
山月記やこころなどの高校の教科書に載っていた作品と秀一の気持ちがリンクするところも憎い演出で郷愁に駆られた。
徹頭徹尾、秀一の気持ちが痛いほどよくわかる。人は殺してないけど、デジャヴくらいよくわかる。
自転車と人馬一体となったような感覚、若さゆえの全能感、憂鬱さ、嘘が真実のようにスルスルと出てくる様、家族を心から心配していても大人同様に扱い頼ってもらえないもどかしさ、過去のどの時点に戻ってやり直せばいいのかと無為な夢想を繰返して現実逃避をしないと保てない精神状態、笑ってても心の片隅に重くのしかかる影…そういった歳を経て振り返ると青春の1ページとも思えた感情たちが実感を伴って溢れてくるようだった。
印象的だったのは、
李徴が、おれの中の人間の心は獣としての習慣の中にすっかり埋もれて消えてしまうだろう。と言っているのと、石岡の殺害を躊躇いなく思い浮かべてしまう自分に驚きながらも早々に決断をする様や、ロードレーサーと人馬一体となって疾走する感覚と李徴が虎に変わって力が漲り力強く駆ける様の対比、大門の瞋りの炎は自分自身を焼き尽くすから瞋りを持たないという考え、恋人と過ごす蕩けるような甘い快感の中にもどす黒い暗雲が残る感覚…あげだしたらキリがないくらい、心に残ったシーンが多かった。
「こころ」は、私も秀一同様に、殺したわけでもないのに気に病みすぎと思っていた口だったが、改めて読むと先生の気持ちがわかる気がした。長く会ってなかった友人の自死を知り、自分に出来たことがなかったのかとひどく落ち込んだ。それが、自分の悪意が引き金だとしたら、直接手を下していなくとも、やはり相当に辛いだろうと読みながら考えていた。改めて、こころを読み直すきっかけをもらえたことにも感謝している。
倒叙推理小説として、というよりは、青春小説として読んだ。今まで知らなかったことを後悔し、出逢えたことを感謝した一冊
Posted by ブクログ
犯人目線で物語が語られるいわゆる倒叙ミステリー。
秀一が義父の殺害を決めてから実行、そしてその後に至るまで、彼が終始苛まれていた孤独感や恐怖心が痛いほど伝わってくるような、すさまじい心理描写に圧倒された。
人が人を殺すことがどういうことか、その重さや怖さ、生々しさがダイレクトに感じられる圧倒的な文章だった。
最初から最期まで、「家族のため」だった秀一の行動を正しくなかったと簡単に片付けることはできない。切なくて、やりきれないけれど、本当に素晴らしかったし読んで良かったと思える作品だった。
Posted by ブクログ
ラストの自殺が現実だったら心を痛めたけど、小説だから、綺麗に終わった!って感じた。誰も傷つけないためには自殺しか道がなかった。解説を読んで私も同じこと感じたって嬉しくなった。
ただ、主人公の考え方がまだ若いね。高校生だねって感じ。
Posted by ブクログ
加害者の視点からストーリーが進んでいくため、犯罪が明るみに出ないか、ハラハラしながら読み進められた。自分勝手な犯罪ではなく、ごく普通の高校生が家族のためを思っての犯罪であり、特にラストは胸が痛んだ。ミステリーのルールとして犯罪は暴かれるものであり、しかし加害者の家族に苦しみを味わわせないためにも、最善のラストなのかもしれなかった。怒りの炎はいつか自分自身を焼き尽くす、という言葉が心に沁みた。
Posted by ブクログ
痛かった。辛かった。青かった。
細かい描写が多くて読むのに時間がかかったけど、それすら主人公の青さと一生懸命さを描いていたのかなと。視野が狭いという言葉は使いたくない、そのときはそれが正解だったと思うから。でも生きていてほしかった。
Posted by ブクログ
倒叙ミステリー面白すぎる!
物語は犯人である主人公目線で進むため、どんどん追い詰められていく様が目を離せず、読んでいて緊迫感が増していく。
家族を守る主人公の姿。殺人を犯して、焦り苦しむ気持ちがひしひしと伝わってきて辛かった。
倒叙ミステリーの真骨頂だと思う。
ラストは本当に切なく悲しすぎる、、、
悲しい選択なんだけど、犯行を知った家族や友人たちの寄り添い、何よりも彼女の最後の言葉には救われたのだと思う。だからこそ主人公は決意したのだろう。意表を突く結末には心が揺さぶられた…
悲しすぎる選択だったけど、主人公の正義を受け入れよう!
きっとみんなの中にも宿る。青の炎
Posted by ブクログ
クズ親父から家族を守るために殺して、それを強請られたからかつての友人も殺して……最後には自分の犯行がバレると家族に迷惑がかかるからと自ら命を断ってしまった。だったら、どうしたらよかったんだよ?!としか言えない終わり方。
主人公:秀一が死ぬ前学校で紀子と言葉を交わすシーン。紀子は秀一への恋心から異変に気付いたり邪魔だとも思ったけど、柊一が殺人を犯したことを知っても嘘の証言をしてくれると言って泣いてくれたいい子だった。けれど、彼女が信じたから秀一が家族を守るために自殺に踏み切ったとも言える。
自殺する日、「お兄ちゃん、お昼には帰ってくるんだよね?」「ああ、昼飯はみんな一緒に食べよう」という妹との会話が最後になった、何気ない会話の悲しいシーン。
父親が諸悪の根源なのに、仲の良い妹も母もかわいそうで……。
クズを殺したのにこんなに報われないのかと、後味の悪く悲しい話だった。どう考えても秀一は悪くないだろ。本当はお前みたいなやつが生きるべきだった。
来世は幸せになれ。ちゃんと報われて幸せになってくれ。
Posted by ブクログ
1日で読破
ノンストップの面白さがあった 最高!
いわゆるミステリーのどんでん返しはなかったが
犯人が主観の作品はあまり読んだことがなかった
古畑任三郎以来かも笑
曾根を殺すまでがピークかな
いつどうやって実行に移すのかを考えながら読むのが楽しかった
高校2年生でこのトリックは凄すぎる
親友だった拓也は殺さないと思ってた
上手く丸め込むのかなーと
この作品、曾根と拓也以外、基本的に良い人ばかりなんだよね。故に、エンディング後のことを考えてしまうと‥遥香には幸せになって貰いたい
ラスト、自殺という形で幕をひいたのは意外だった
家族を守る為という信念から考えれば納得はできたけど
通して読んで思い浮かんだのは、コードギアスのルルーシュ
⚫︎最近、刑事事件をみて思ったこと
衝動的な犯行よりも、計画的な犯行のほうが罪が重い。明確な殺意があるから罪として重くなる。←確かにそうかもしれない
自殺しようとして結果的に赤の他人を数人巻き込んで殺すことと、強盗殺人を犯し衝動的に1人殺すこと。判決は強盗殺人の方が遥かに重い刑となった。被告人の態度も考慮されているが、少し納得いかない部分は確かにある
事実と感情論と刑罰の重さ。直近のことだったので、読みながら少し思うところがあった。
Posted by ブクログ
『黒い家』があまりに怖かったので遠ざけていた作家だが、本作の評判から実はずっと読みたかった。
愛する家族を地獄に突き落とす曾根を警察も誰も守ってくれない。ならば、自分で殺すと決意した秀一。怒りは最も熱い青の炎と化した。
孤独な完全犯罪と孤独な終わり。ただ家族を守りたかった。
Posted by ブクログ
3.5
途中まで紀子うぜぇぇぇぇだったけど、最後はうるっときた。大門...ゲイツ......泣
一番かわいそうなのは友子だなあ。自分の煮え切らない対応が息子を殺人に走らせた上、死なせてしまったのだから。
一児の母としてつらい作品でした。
Posted by ブクログ
高校生の秀一は離婚後も家に居座り続ける曽根から、母と妹を守るために、完全犯罪を企てる。『新世界より』から気になっていた貴志さんの作品。被害者でもあり加害者でもある秀一の不安定な心情が痛々しかった。秀一は家族を守りたい一心で犯行に及んだわけで、曽根は誰がどう見ても必要とされていない人間。紀子との距離感も、結末も、切ない。
Posted by ブクログ
由比ヶ浜にある高校生、秀一が交通事故で亡くなった後に母親が選んだ義父のせいで運命の歯車が壊されてしまう話。でも義父はガンだったり、妹が義父側の連れ子だったりと普通じゃありえないような環境で、本当にこんなことがあるんだろうかという思いと、犯罪者側の視点で描かれた物語に惹かれた。途中の恋の描写や謎のお酒好きが高校生活のイメージしにくさがあったが、尋常じゃない精神状況が思わされて、さすが黒い家の貴志祐介さんだと感じた。