あらすじ
敵対する医師会を解散させ勢力を拡大する医師組織JAMAと後ろ楯大物政治家・佐渡原。両者の思惑どおり安楽死法は制定に向かって邁進した。が、やがて発覚するJAMA内部抗争と代表・新見のスキャンダル。次々に抹殺される、核心に近づく者たち。そして発表された安楽死専用薬ケルビム。すべてを操る“センセイ” の正体とは? 戦慄の真実。
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Posted by ブクログ
安楽死の是非をめぐる問題が主題。作者が医者であることもあって、専門用語がたくさん使われており、現場の臨場感を感じることができてとっても面白い作品だった。
医者にとっての安楽死や安楽死を望む患者側の視点や家族の視点に加えて、官僚や政治家・製薬会社まで巻き込んだ論争を描いているのが良かった。ただ、安楽死推進派がカルト的な要素を含んでいるところとかに少し偏見をかんじた。推進派・否定派の論拠もありきたりなものに加えて、あまり言われていないような論拠もあり勉強にもなった。
ストーリー的には、自ら望んでないにもかかわらず矢面に立たされた医師が主人公というものであり、とっても楽しめた。真面目なのだが、雪恵と不倫してしまうところなど小説的な要素が含まれていてよかった。ただ、最後のほうに主要人物が殺されていくところはまだしも、最後の「センセイ」の正体が製薬会社のやつだったことには少しがっかりした。厳密には「センセイ」と呼ばれる立場の方々じゃないし・・・。最後に思いっきり私益を追及するものが勝ってしまうという結末は、日本社会の今を反映させているものだろうと思ってしまい、上手な結末だった。
Posted by ブクログ
安楽死について考えさせられる。確かにあってもなくても困る。でもいくら考えても答えなんか出てこないのでは。
なかなか新薬も認可されない日本では難しそう。合法化されているオランダなどではケルビムみたいな薬があるのかな。
ちょっと長い。途中でななめ読みしてしまった。。
Posted by ブクログ
上巻はかなり惹き込まれて読んだのですが、下巻は上巻でちりばめられたいろんな要素の畳み方がちょっと雑に感じられてしまい、残念。
まずはJAMA。様々な知謀を巡らせて国内医療の覇権を握ったと思ったら、代表の新見はおかしくなっちゃうし、その後不自然なほどバタバタと人が死んでいくし…
そして阻止連。結局無能な集団のまま消滅。唯一まともだった東氏は新見の手でアッサリと離脱。古林康代もサックリ死亡。
これだけ関係者が不審死してたらだれがどう見ても超怪しんで、わずかでも関係している人たちに捜査の目を向ける思うんだけど。
で、話の黒幕「センセイ」の正体のガッカリ感といったら…正直、何の驚きも無かったし、この程度のヤツが黒幕かーという残念感しかありませんでした。
もっとも最後、各組織がグダグダになるところや、不審死が相次ぐことの影響とかまで考えが至らないのは、「センセイ」があの程度の人だからかなー、と変なところで納得。
ヘビーで関心が強かった題材なだけに、良い出来であってほしいという期待感が大きすぎたのかもしれません。(同著者の「無痛」が個人的にヒットだったのも、その期待感に繋がってたと思います。)