あらすじ
北朝鮮の歴史から消された大阪・鶴橋育ちの少女の愛と死
圧倒的取材力!親族の新証言、晩年の衝撃写真も収録し、高容姫の激動の人生を追うノンフィクション
北朝鮮の最高指導者、金正恩総書記の母である高容姫は、大阪で生まれ、鶴橋のコリアタウンで育った。北朝鮮に「帰国」したあと、その美貌でトップレディの座を射止め、故金正日総書記との間で金正恩をはじめ2男1女を産み、育てた。
だが、北朝鮮では誰でも彼女のことを知っているのに、口にするのはタブー中のタブーだ。
なぜ、高容姫は北朝鮮の歴史から抹殺されてしまったのか?
そんな高容姫について、著者は粘り強い取材で謎を解き明かしてゆく。
日本にいる「金正恩の伯父」に初めてインタビューし、高容姫の複雑な家族関係を直接語ってもらっている。日本で住んでいた家も初めて特定できた。
北朝鮮に「帰国」するために高容姫の乗った船が、新潟港を出発する写真も入手した。容姫がまだ幼い正哲、与正とともに写った貴重なショットもある。
高容姫は晩年、乳がんを患いパリの病院で治療を受けていた。その時の写真も関係者から入手した。晩年の面影は、驚くほど現在の正恩にそっくりだ。これらの写真には、金正恩も無関心ではいられないだろう。
高容姫は日本での生活を懐かしみ、個人的に日本にお忍び旅行にも来ている。子どもたちには日本のことを話し、日本語を教えていた。正恩にとって日本は「千年の宿敵」などではなく「親族が住む隣国」である。その深いつながりは、日朝の今後を考える上で、貴重な接点になる可能性もある。
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Posted by ブクログ
女性史は全般に好きなので面白かった。
韓流に興味がなかったもともあり、韓国朝鮮についても知らないことばかり。
最近、ようやく
韓国朝鮮史に興味がでてきたので、その一環で読む。
著者の願い、「北朝鮮指導者が『自分の母親について素直に語ってほしい。
国民の彼に対する見方も変わるはず』の実現を見守りたい。
近現代史は好きだが、
まだまだ知らないことばかり、もっと知らなくてては!
Posted by ブクログ
高容姫について知りたくて読書。
グーグル日本語入力で「こよんひ」で変換すると、高英姫と高容姫が変換候補が出てくる。
以前は、英と考えられていたが、現在では、本書のタイトルのように容が正しいそうだ。それにしても、日本語入力で変換されることに改めて驚く。
「金正恩の母」として知られる高容姫。大阪生まれの在日コリアンからファーストレディ(そんな概念は存在しないが)まで上り詰めた女性。
本書は、高容姫の人物史、ヒューマンストーリーとなっている。
読み物として引き込ませてくれる。過去の多くの研究資料・文献をベースに著者の粘り強い取材を加え、大阪周辺に残る親族など関係者へ聞き取った証言も明らかにしている点が興味深い。
もう1つ驚いたのは、金正恩氏の血縁者が日本に50人以上はいると推定されること。
どこまでを血縁者に数えてるか、わからないものの、金正恩氏の血縁者ということは、妹の金与正氏、娘のジュエ氏、兄の金正哲氏にとっても血縁者ということになる。
この数年、正恩氏の朝鮮学校や朝鮮総連への言及が増えている背景には、日本の血縁者の存在なども影響しているかと想像を膨らませると面白い。
母親の存在を明らかにできない悔しさやコンプレックスが、金正恩氏の現状に大きな影響を与えているのではないかと著者は考察する。
張成沢の粛清、韓国を敵国として統一路線を放棄、朝鮮学校や朝鮮総連を重視する姿勢、さらには、中国と距離を置きロシアと距離を縮める離中親露路線などなどにも影響しているのだろうか。
第7章の最後で、
日本政府も北朝鮮を危険で異端な国と見るだけではなく、日本との「血のつながり」という新たな視点を持って、さまざまな懸案の解決と、将来の関係正常化へ向けた努力を続けてほしい。(p247)
本書からは日朝関係を考えるうえで、新しいヒントを知ることができる。
あとは、金正恩氏が自身のコンプレックスを乗り越え、克服できた時に大きく変わり、日本にとっては良い方向へ動き出すのではないかと思ったりもした。
読書時間:約1時間25分
Posted by ブクログ
北朝鮮は何故か気になる国で正恩の母という事でよんでみる。謎に包まれたままの生い立ちとは知らず、また日本育ちで幼少期を過ごしていた事、また妻としてではなかったなど分かりやすくかいてあり一気に読み終える。まだまだ知らない北朝鮮のことをもっと知りたくなる終わり方だった。
Posted by ブクログ
この分野に詳しくなかったため金正恩の母が在日コリアンであったことを知らず、面白そうだったので読んでみた。謎が多い高容姫の来歴が、筆者の熱心な取材で少しずつ明らかにされていくのが興味深かった。そして顔が金正恩とそっくり!