【感想・ネタバレ】戦争犯罪と闘う 国際刑事裁判所は屈しないのレビュー

あらすじ

二つの戦争、そして戦後国際秩序の行方は

ロシアによるウクライナ侵攻とイスラエルによるパレスチナへの非人道的な攻撃。目まぐるしく国際情勢が変化するなか、この二つの戦争に向き合い、プーチンとネタニヤフに逮捕状を出した国際刑事裁判所(ICC)。日本人として初めてそのトップに就任した著者は、ほどなくしてプーチンから逆指名手配を受けることにもなった。さらにはトランプ大統領の大統領令による経済制裁の脅威にさらされるなど、世界規模の戦争犯罪に向き合ってきた国際刑事裁判所はいま、存続の危機にある。

第二次世界大戦後にホロコーストに向き合ったニュルンベルク裁判、日本の戦争責任を裁いた東京裁判。二つの軍事法廷裁判にルーツをもち、国際平和秩序を守ろうと奮闘してきた国際刑事裁判所とはいかなる機関か。二つの戦争という異例の事態にどう向き合ったのか。「世界の警察」アメリカが過去のものになりつつある戦後国際秩序の行方とは――。

「世界で起きていることが日本では起きないとは限らない」。「力による支配」がむき出しになりつつある今こそ「法の支配」による安全保障が必要だ。
「ウクライナ戦争の勃発で完全に覚醒した」と語る赤根さんが、その奮闘を通じて未来への責任を語りかける。

※本書電子書籍版は刊行後の国際情勢の変化を鑑み、2025年10月に記述の一部を更新しました。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

国内の検察•司法行政や国際刑事司法の現場を歩んできた著者が、その内部の様子を肩肘張らず語り下ろしている。また国際刑事司法において国際社会や日本政府が取り組むべき事柄について、実務者らしく明快に提示しており、その言葉の端々から熱い思いも伝わってくる。

0
2025年11月06日

Posted by ブクログ

ICCの位置づけ、設立までの経緯、役割、活動内容、課題、日本の役割と課題がよくわかる。

日本は中核犯罪には対処できない。

日本はジェノサイド条約の締約国ではない→これはなぜだろうか。

年表や、締約国リスト、事例一覧もあってとてもわかりやすい。

0
2025年10月18日

Posted by ブクログ

世界を壊し続けるトランプの対局にある人と言っていいICC(国際刑事裁判所)所長赤根智子さんの本である。
ICCとICJの違いなどについてよくわかった。ともに「力の支配」をもって「法の支配」を無力化しようとする輩が好き放題やることに対し、戦争犯罪や紛争を止めるという対抗軸を貫く仕組みである。
トランプは自分に不都合な仕事をする人間に、一筆署名するだけで制裁を課すのが大好きな男だが、彼を心から信頼する者はいまい。
パレスチナを国家として承認する動きが進められているが、そもそも国連でそれを推進する案の作成に参加した我が国は、いざとなれば見事な「手のひら返し」である。アメリカに忖度し、ジェノサイドを推進する側に立つことを恥としない。日本人ってここまで恥知らずだっただろうか。
赤根さんは、日本の法体系に戦争犯罪やジェノサイドを裁く中核的法整備が行われないことを嘆く。
アメリカのポチであるだけで先進国というらしい。

0
2025年09月22日

Posted by ブクログ

世界は一体どうなっていくのかという不安の中、唯一残された最後の希望のよう。感情でも暴力でもなく、客観的に、平等に物事を判断できる、それが法の支配なのだと思った。

0
2025年09月20日

Posted by ブクログ

プーチンとネタニヤフに逮捕状を出した国際刑事裁判所(ICC)のトップが日本人女性とは!
アメリカはICCに加入してないから、プーチントランプ会談は実現した。
加入していれば、入国速逮捕、なのに。

そもそも国際刑事裁判所(ICC)の存在を知ったのはプーチンのおかげ。
そのトップで活躍する赤根さん。
3章で生い立ちを書いているが、名古屋で優秀で、
理系が得意だったが当時は男女雇用機会均等法前で
理系女性の働き口がなく方向転換、
法律で東大に合格し、弁護士資格を取り、検事になり、、、

ものすごい優秀な人なのだ。
東京近郊で受験勉強して中高一貫学校に入り、
受験テクニックで東大に入る偏差値エリートとはレベルが違うのだ。

今は中間層がどんどんやせ細って、特に地方は、
その結果、地方の本当に地頭のいい学生が東京に行けなくなっている。
下宿生活をさせる財力がないのだ。
中間層はやせ細り、かつ自営業もどんどん成り立たなくなり、、、
私が出たエスカレータ校の中学も、50年前は親が自営業、
というのがかなりの割合を占めたが、
今はサラリーマンの子ばかり、という。
それもギリギリの生活なため、合宿などの部活が成立しないと、、、。

どうしても日産社長の6億のあほらしさが思い出されてしまう。
自分で会社を大きくしたわけでもないサラリーマン社長になんでそんなに払うのか。
その分中間層に厚く払えよ、といいたい。
一方自営業者がなりたたなくなるのは世の流れ、というか、
これを止める術がわからない。
個性のある小売店がどんどんなくなり、画一的なショッピングモールばかりになる。。。
土地が高すぎるのも一因だろうな。吉祥寺のハーモニカ横丁もいつまで続くか、。、

話が大きくそれたが、
本当に優秀なひとがこうやって世界平和に貢献している。闘っている。
こういう人物が浮かび上がる仕組みに日本を変えていかなければならない。
これは誰しもが賛成するだろう。

奨学金という名の借金に苦しめられるのはアメリカも日本も共通という。
アメリカの真似なんかしなくていいんだよ。経営者の高給もそうだが。

今回の著者の活躍を読むにつれ、彼女の生い立ちを知るにつれ、
そんなことを考えた。

プロローグ プーチン氏から指名手配を受けた日
1章 二つの戦争犯罪の狭間で 国際刑事裁判所が戦争に対峙する
2章 国際刑事裁判所とは
3章 私はこんなふうに歩いてきた
4章 国際刑事裁判所と日本の未来
エピローグ 日本発の、「法の支配」を守る動きに期待して

0
2025年08月29日

Posted by ブクログ

この裁判所の存在を全然知らなかったので、非常に面白かった。語りおろしなので、言葉も平易で読みやすい。日本が世界をリードできる希少な分野であり、応援したい気持ちになった。

0
2025年10月18日

Posted by ブクログ

プーチンによる国際指名手配のニュースで存在を知るに至ったのですが…きっかけは良くないニュースではありましたが、知ることができて良かったです。

本を読んで、また新たなドナルド・トランプの酷さを知りました。
この本を読むまで、国際刑事裁判所のことは全く知らなかったので、圧力をかけていたことも知らなかったです。色んなことを知らなきゃな、と思うのと、きちんとした正しい情報に触れなくては、と思わされました。
国際刑事裁判所について誤って認識で非難する人のSNSの発信に惑わされないように。一時が万事そういうことなのだと思います。

親族に複数人、この方と母校が同じ人がいます。
面白い学校と聞いていたのでなるほど納得。

0
2025年09月08日

Posted by ブクログ

プーチンに狙われていることがどれだけ恐ろしいか。こういう組織は残り続けなくてはいけないと思わされた内容だった。遠い存在に思えるかもしれないけど、ここ数十年にできたばかり。このような機関が拡大し、残り続けてほしい。

0
2025年08月12日

Posted by ブクログ

ICC(国際刑事裁判所)と著者のことはロシアによるウクライナ侵攻を主導した容疑でプーチン大統領に逮捕状を出したこと、その報復としてロシア政府から指名手配を受けたこと、によって初めて知った気がする。
(戦時中に国家元首への直接的責任追及を行ったのは歴史上極めて重大な事案とのこと)

国際機関と思いきや加盟国(ローマ規程の締約国)は125ヶ国でありアメリカ、中国、ロシア、インドなど経済規模の大きな国は加盟しておらず、アジアに限ってはASEAN諸国のうちカンボジアしか加盟していないということには驚いた。
加盟していないアメリカなどの大国は自らに矛先が向けられることを危惧しているのだろう。
アジアの加盟率が低いのは意外だったが、加盟国が増え、法の支配に基づく世界秩序が構築されることを願いたい。分担金トップの日本には誘致に力をいれてほしいと思う。

パレスチナのガザ地区における戦争犯罪の容疑でイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出したことに反発したアメリカがICCに制裁を発動していたことは寡聞にして知らなかったが、世界各国で力による支配が勢力を増す不安定な情勢の中でも、法による支配に基づき毅然と世界平和を目指し活動するICCと著者を応援したいと思った。

0
2025年08月10日

Posted by ブクログ

<国際司法裁判所>
 (International Court of Justice:ICJ)
 ・国連憲章に準拠
 ・国家紛争を解決することが目的

<国際刑事裁判所>
 (International Criminal Court:ICC)
 ・ローマ規定に準拠
 ・紛争を遂行した権力者個人の処罰が目的
  
著者の赤根さんはICC所長、ネタニヤフやプーチンといった重大犯罪者の逮捕には中々至れていないが、
公的機関として、虐殺を実行した権力者を明確に「犯罪者」として認定し、具体的に刑事責任まで追及した行動を強く支持したい。
下手したら暗殺者を送り込んでくるかもしれないような相手...、本当に勇気ある行動だなあって思った。
いつかは実が結ばれることを祈る次第...!

著者のバイオグラフィーを読むと、進学校→東大→検察官→海外留学....、それにしてもすべてにおいて自分と無縁すぎだ........。

0
2025年11月15日

Posted by ブクログ

国際刑事裁判所の日本人所長。
ロシアプーチン大統領への逮捕状を承認してロシアから指名手配され、イスラエルへの犯罪認定で米国から制裁を科されている。

そもそも、国際司法裁判所との違いって何かと思ってて、国際司法裁判所は国と国との係争だが、国際刑事裁判所は、中核犯罪についての個人の訴追。
東京裁判で日本が事後的に、戦勝国からの意趣返しでやられたあれを、きちんと法に基づいて常設された組織。

だが、執行機関もないだろうし、強制力も乏しいだろうしどうすんだとも疑問だったが、条約締結国による執行に頼っているらしい。

米国もロシアも加盟しておらず、本来逮捕される筈のプーチンがフリーで帰ってきたり実効性に問題がある上に棍棒外交大好きな国からも圧力がかかっている。

いわば存亡の危機。

本の最初で危機を訴え、次の章で仕組みを説明し、その次が編集部による係争事案の説明が数十ページ続き、筆者の経歴の章があって、法の支配を訴える日本の状況と役割について論陣を張って、若者へのエールと、裁判所への応援訴求に再び言及。

状況が状況なんでの緊急出版だと思うが、無駄な部分を除けば1/3くらいの分量に収まるのではないか。ちょっとどうかと思う。

それはそれとして、こういう組織をきちんと守れない国際社会って、やっぱりヤクザの寄り合いだな。読むべき部分は、拝聴すべき内容である。

0
2025年10月29日

「小説」ランキング