【感想・ネタバレ】中華料理と日本人 帝国主義から懐かしの味への100年史のレビュー

あらすじ

肉まん、ジンギスカン、餃子、焼売、ラーメン、麻婆豆腐、ウーロン茶。あの味はなぜ懐かしいのか。
帝国主義の時代に広まり、戦後の日本人の心と体を癒してきた中華料理。
地域や家庭で愛されてきた品々は、誰が、いつ、どうやって日本にもたらし、なぜこれほど普及したのか――。
文化人、実業家、軍人、料理人たちの情熱と葛藤に光をあて、日本の中華料理100年の軌跡を世界史的な視点から描く、食文化の物語。



【目次】
まえがき――中華料理への情熱、そのルーツを探る旅へ
序 章 中華料理に込められた対中・対日感情
1 食の文化帝国主義の始まり
2 日本人と中国人のまなざしの交錯
3 二〇世紀東アジアへの誘い

第1章 肉まん――近代的な食文化としての中華料理
1 肉まんの歴史 32
2 日本食の近代化のなかの肉まん 37
3 アジア主義と帝国主義の文化的な影響 48

第2章 ジンギスカン料理――満洲名物から北海道遺産へ
1 北京から満洲・モンゴル、そして東京へ――帝国の時代
2 中華料理から北海道の郷土料理へ――帝国後の時代

第3章 餃子――満洲の記憶とポスト帝国主義
1 餃子の伝来――近世から日中戦争期まで
2 「引揚者料理」としての餃子――戦後

第4章 ウーロン茶――忘れられた台湾文化
1 ウーロン茶の世界史
2 日本帝国におけるウーロン茶の消費文化
3 日本の国民的飲料になるウーロン茶

第5章 シュウマイ・ラーメン・四川料理――郷土料理の創造とノスタルジア
1 横浜名物になるシュウマイ
2 なぜ札幌でラーメンなのか
3 麻婆豆腐のノスタルジアと担々麵の郷土料理化
4 中華料理の現在までの変化

終 章 世界史のなかの日本中華料理
1 帝国主義は料理をどう変えたのか――二〇世紀前半
2 ノスタルジアはなぜ生まれたのか――二〇世紀後半
3 文化遺産化は何が問題なのか――二一世紀

あとがき
注記一覧 / 参考文献

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Posted by ブクログ

ネタバレ

日本の軍国主義にも深く関わる中華料理のルーツを膨大な文献から簡潔にまとめられており、加害国側としての複雑さを感じつつ興味深く読んだ
(加害側の意見と単純に一括りにするのも難しい)引き揚げ者が抱える満州への思いも共有されていて当時の肌感がより想像しやすかった

個人的にサントリーの烏龍茶の広告が昔から好きだったんだけど、現実問題を直視せず理想の中国を描く点でオリエンタリズムの再演にすぎないという指摘は本当にその通りって感じ...(理想の中国を通じて自分たちの青春時代を思い出しているのもグロテスク)
当時既にあったオリエンタリズム批判を引き受けず、傍観者として理想の中国を描くのは糸井重里的な物語消費を重ねてしまう

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2025年08月09日

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