あらすじ
謎の男が仕掛ける、前代未聞の犯罪劇!
『イッツ・ダ・ボム』で犯罪小説界に新風を吹き込んだ超新星・井上先斗が松本清張賞受賞第一作として世に放つのは、前代未聞の犯罪劇!
「――君は自信が欲しいんだ。
よかろう、与えてやる。
ただし、困難な道のりにはなる」
姫に飛ばれて300万円の借金を抱える元ホストの森有馬。
自信も金もない、しょうもない自分に嫌気が差している。
そんなときに飛び込んできた“うまい話”。
怪しいのはわかっている、それでも。
待ち合わせ場所にいたのは、真っ青なスーツに身を包んだ胡散臭い男だった。
ジンと名乗るその男が有馬に課した「七つの試練」。
こなすたびに数万円の報酬が支払われる。
そして最後の試練を成し遂げたその時、
〈500万円〉と自信が手に入る、らしい。
「必ず、意識をしてほしい。
自分が、いま行っているのは非合法な何かへの助走だと」
果たして有馬は、ジンに課された試練を乗り越え、自信を手に入れることができるのか。
ノワールの新世代が贈る“現代版アラジン”がいま、幕を開ける!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
文体がおしゃれだったり、街の様子をよく観察してうまく言い表していたりする。自分の影と対峙するお話で、最後はうまいことまとまってよかった。多分自主するし、多分彼女は待っててくれるんじゃないか。誘拐の指示を番号でする場面なんて、私がやらされたら覚えられんwww。主人公の名前が、途中で苗字に読めてしまい「あれ?こんな人いたっけ?」と最初から振り返る、というアクシデントもあり 85
Posted by ブクログ
Cool! 今を生きる若者たちの息遣いが耳元で聞こえてくる犯罪小説 #バッドフレンド・ライク・ミー
■あらすじ
ウーバーイーツ配達員の森有馬。彼はイケメンの元ホストであったが、客に逃げられて300万円の借金があった。日頃の嫌気がさしていた彼は、ホスト時代の先輩からジンという男を紹介してもらうことになる。
ジンから請け負う仕事は「七つの試練」をこなすことで報酬がもらるという。最終的には500万円が支払われるというのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
超Coooool、かっちょいい! 若者たちの息遣いが耳元で聞こえてくるような犯罪小説でしたね~
井上先斗先生の作品は『イッツ・ダ・ボム』を拝読してましたが、本作はそれにも増して鬼シブ。若者の今を切り取った書きっぷりには、毎度惹きつけられますね。
本作は高額料金が当たり前のホストクラブや特殊詐欺など、未来のある若者たちがはまってしまう現代の社会問題を描いています。一方で同郷の同級生、茉莉との出会いによって、有馬の価値観が変化していく。社会派の犯罪小説でありながら、淡い青春小説でもあるのです。
まず推したいのは登場人物の掛け合いですね、特に有馬と茉莉がセンス抜群でカッコイイのよ! 二人の会話をずっと読んでいたくなる。犯罪行為と恋愛という相容れないはずの二つが上手に乳化しており、最高の味わいになってるんです。
まだ素直になり切れない二人ですが、友達から恋人になるシーンは必見ですね。茉莉はこれまで誰にも認められなかった有馬の不安から救ってくれるのです… もはやマリア様のようで、セリフひとつひとつに吸い込まれてしまうようでした。
そして本作で描かれる「七つの試練」が象徴的でした、まるでゲームにでてくるミッションのような感覚なんです。犯罪の第一歩目なんですが、半ば悪いことと気が付いているのに止められないという恐ろしさよ。
終盤にはどんな犯罪か描かれるのですが、実際に犯罪が起こってもゲームの中にいるようなんですよね。いつの時代も犯罪なんて関わりたくないけど、ネット社会になってから、より近くに犯罪を感じるようになったよなー。こわい
ラストの展開も堂々としていて好感が持てるし、鋭く潔く終わるところもCoolで最高。犯罪はイカン、しかし若者たちの息吹や成長をもっともっと感じたくなる作品でした!
■ぜっさん推しポイント
本作の舞台は東京、作中に出てくる様々な地名を見てると、かつて東京に住んでいた頃を思い出す。
東京は、若くて金持ちで力があるような、人生がうまくいってる人にとっては楽しい街なんです。でもそうじゃない人にとっては、冷たく、苦しく、乾いた街でしかないんだよね。
私は犯罪に手を染めることはなかったけど、行きつく先がそうなっちゃう気持ちはわからんでもない。しんどくなったら、地方に住んでみるのもいいもんだと思うよ。
Posted by ブクログ
ホストを辞め、とりあえずウーパーイーツで稼いでいる有馬が犯罪に加担していく様子を延々と描いている。挟み込まれる恋愛がその悪へ走る方向を少し変えたようではあるが、微妙なラストだった。
Posted by ブクログ
覆水盆に返らずとはこのことだなと。
一度起きたことは元に戻すことができない
人生を踏み外してしまった元ホストの青年が、人との出会いを経て葛藤し、前向きに生きていこう物語。
諦めなければ人生は終わりはしない。
時には立ち止まり、振り返って自分の現状を冷静に考える時間も必要だなと感じた。