あらすじ
人を罪に陥れる七つの悪徳を
「七」に縁のあるミステリー作家が描く。
驚愕、恐怖、狂気……一気読みの七編!
【七つの大罪】
「傲慢」「嫉妬」「憤怒」「怠惰」「強欲」「暴食」「色欲」を示し、
キリスト教において、人を罪に導くとされる七つの悪徳。
「罪の名は傲慢」中山七里/傲慢
名を馳せ人望も厚い一方で、弟子や秘書に対するパワハラが常態化している人気ジャーナリストに性的暴行された新人ジャーナリストは警察に駆け込む。
「手の中の果実」岡崎琢磨※7月7日生まれ/怠惰
突然不登校になった息子。原因がわからず不安が募る妻と私。私は葡萄農家である妻の実家に、息子と二人で滞在することを提案すると、息子は――。
「移住クライシス」川瀬七緒/憤怒
自閉スペクトラム症を抱える息子の療育のために山梨の集落へ移住した矢先、息子が池に落ちて死亡した。悲嘆に暮れる夫婦の前に、大鎌を持った老婆が現れた。
「オセロシンドローム」七尾与史/嫉妬
久呂恵は夏目漱石の『こころ』で意気投合したKと交際に発展するが、嫉妬深さが原因で別れを告げられる。Kに言い寄る女がそそのかしていると疑った久呂恵は……。
「十五分」三上幸四郎/強欲
20万人超の登録者数をもつ動画配信者のイッツミーは、同業者であるQRお雪の殺害容疑をかけられていた。週刊誌記者の綺ヶ崎は、判決待ちのイッツミーの取材に訪れる。
「父親は持ってるエロ本を子どもに見つからないようにしろ」カモシダせぶん/色欲
隠しているエロ本を高校生の息子が読んでいた。叱ろうとすると「謝るのは父さんのほうだ」と言い始め……。
「最初で最高のひとくち」若竹七海/暴食
野放図で我儘な公介のため、ママはたくさんの料理をし、掃除をし、後片付けをし、工場で働く。そんなある日、葉村晶という探偵が人捜しにやってきた。
【著者について】
●中山七里
なかやま・しちり。一九六一年、岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』にて第八回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞を受賞し二〇一〇年デビュー。ほかの著書に『いまこそガーシュウィン』『連続殺人鬼カエル男』『総理にされた男』『護られなかった者たちへ』『境界線』(以上、宝島社)、『能面検事』(光文社)『氏家京太郎、奔る』(双葉社)、『棘の家』(KADOKAWA)、『ヒポクラテスの困惑』(祥伝社)、『作家刑事毒島毒島の暴言』(幻冬舎)、『彷徨う者たち』(NHK出版)など多数。
●岡崎琢磨
おかざき・たくま。一九八六年七月七日生まれ。京都大学法学部卒業。第十回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉として『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』(宝島社)で二〇一二年デビュー。同書は二〇一三年、第一回京都本大賞に選ばれた。同シリーズのほか、著書に『下北沢インディーズ ライブハウスの名探偵』(実業之日本社文庫)、『鏡の国』(PHP研究所)など多数。
●川瀬七緒
かわせ・ななお。一九七〇年福島県生まれ。文化服装学院服装科・デザイン専攻科卒。服飾デザイン会社に就職し、子供服のデザイナーに。第五七回江戸川乱歩賞を受賞し、『よろずのことに気をつけよ』で二〇一一年デビュー。二〇二一年に『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』(本書)で第四回細谷正充賞を受賞し、二〇二二年に同作が第七五回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門の候補となった。また二〇二三年に同シリーズの本書所収の「美しさの定義」が第七六回日本推理作家協会賞短編部門の候補に。ほかの著書に、「法医昆虫学捜査官」シリーズをはじめ『四日間家族』『詐欺と詐欺師』など多数。
●七尾与史
ななお・よし。一九六九年、静岡県生まれ。第八回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉として『死亡フラグが立ちました! 』(宝島社)で二〇一〇年デビュー。他の著書に「ドS刑事」シリーズ(幻冬舎)、「バリ3探偵 圏内ちゃん」シリーズ(新潮社)、『全裸刑事チャーリー』(宝島社文庫)など多数。
●三上幸四郎
みかみ・こうしろう。鳥取県生まれ。大学卒業後、三年間のサラリーマン生活を経て、脚本家として活躍。これまでに『名探偵コナン』『電脳コイル』『特命係長 只野仁』『特捜9』など数多くのテレビドラマ、アニメの脚本を執筆する。二〇二三年度第六九回江戸川乱歩賞を受賞し、「蒼天の鳥」で小説家デビュー。
●カモシダせぶん
かもしだ・せぶん。一九八八年、神奈川県川崎市生まれ。松竹芸能タレントスクール東京校出身。二〇一三年、「松竹お笑いビブリオバトル」で優勝。お笑いコンビ「デンドロビーム」のメンバー。現在は東京都内の書店で働く、現役の書店員芸人。お笑い芸人初の日本推理作家協会所属。著書に『探偵はパシられる』(PHP研究所)、『書店員芸人~僕と本屋と本とのホントの話~【売れてない芸人(金の卵)シリーズ】』(Kindle版)がある。
●若竹七海
わかたけ・ななみ。一九六三年、東京生まれ。立教大学文学部卒。一九九一年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。二〇一三年、『暗い越流』で第六六回日本推理作家協会賞”短編部門”を受賞。二〇一五年、葉村晶シリーズ『さよならの手口』でミステリファンクラブ・SRの会による“SRアワード二〇一五”国内部門を受賞、『このミステリーがすごい!』(宝島社)四位。二〇一六年、同シリーズ『静かな炎天』が『このミステリーがすごい!』(宝島社)二位、“SRアワード二〇一七”国内部門、ファルコン賞を受賞。二〇一八年、同シリーズ『錆びた滑車』が『このミステリーがすごい!』(宝島社)三位。著書に『悪いうさぎ』(日本推理作家協会賞“長編及び連作短編集部門”候補)など多数。
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このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
「七」にまつわる七人の作家さんたちの「七つの大罪」をテーマにしたアンソロジー
ほっこり系から背筋が凍る系のミステリーまで、かなり幅広く楽しめました。
個人的には「色欲」がテンポよく読めて、各所でくすりと笑わせてもらえて楽しかったです。
初めて触れる作家さんも多くて、気になる方が増えました(^^)
Posted by ブクログ
アンソロジーのタイトル通り「七つの大罪」なので、後味悪い物もありますが、その中でもホッコリだったのが岡崎さんの「手の中の果実」
子供ながらに機転の効く子ですね。それを見破ったのもまた親ではなく子供。
登校拒否の理由が判って一安心でした。
川瀬さんの「移住クライシス」
発達障害の子の為田舎に越してきて、息子は少しずつ笑顔が増えてきた。だがそんな矢先、息子の音也は川で溺死してしまった…
音也が亡くなってからなぜかストーカーのごとく、吾妻家に嫌がらせをしていたお婆さんを疑い始める吾妻。真実はとても残酷でした。ゾッとしたラストが『憤怒』ですね…
Posted by ブクログ
キリスト教の七つの大罪をモチーフに、七に縁のある作家さんのアンソロジー。どれも謎解きミステリーで面白かった。最後の話はかなり衝撃的。
Posted by ブクログ
好きな作者が含まれいたので。
7つの大罪の中で、最後に配されていたし、
好きな作者だったのでかなり期待度が高かったが、
いや、高すぎたのか、
ミステリーというかホラーに傾きすぎていて、
せっかくの葉村晶の登場も楽しめなかった。
肉の正体に早々に気がついてしまったのも、敗因かも。
ホラーだと思っているのは個人的理由なのかもしれない。
祖師ヶ谷大蔵とか笹塚とか聖蹟桜ヶ丘とか府中とか、
知っている地名が出てきて、
野猿街道の先に闇の仕事を家業とする一族が住む「千倉地区」がある、
というのが怖いのかもしれない。
とはいえ、七つの大罪をめぐるアンソロジーで、
親子関係のほのぼのミステリーや、
突撃系動画をめぐる殺人や、
田舎へ引っ越した家族に起こる悲劇といろいろあったが、
「暴食」が一番面白かったのは確かだ。
Posted by ブクログ
【収録作品】
傲慢 「罪の名は傲慢(プライド)」中山七里
怠惰 「手の中の果実」岡崎琢磨※7月7日生まれ
憤怒 「移住クライシス」川瀬七緒
嫉妬 「オセロシンドローム」七尾与史
強欲 「十五分」三上幸四郎
色欲 「父親は持ってるエロ本を子どもに見つからないようにしろ」カモシダせぶん
暴食 「最初で最高のひとくち」若竹七海
人を罪に陥れる七つの悪徳を「七」に縁のあるミステリー作家が描いたもの。
「罪の名は傲慢」 渡瀬警部・古手川刑事も登場。
「移住クライシス」ミステリ部分に目新しさはないが、老婆の存在がいい。
「最初で最高のひとくち」葉村晶も登場するが、脇役ポジション。なんなら彩り。冒頭から不穏でしかない語りだが、案の定グロい。
Posted by ブクログ
七つの大罪にちなんだ短編ミステリアンソロジー。子どもがめっちゃ読みたそうにしてきたけど、安心して中学生に読ませられる内容ではありませんでしたー
けっこう後味悪いのとか、猟奇ものもあったけど、いくつか面白いのもあったかな。
不登校の子の話はほのぼの、カモシダせぶんさんのも面白かった。出てくるフレーズが下品で、中学生には読ませたくないけど。