あらすじ
たとえ癒しがたい哀しみを抱えていても、傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷の周りをそっとなぞること。過去の傷から逃れられないとしても、好奇の目からは隠し、それでも恥じずに、傷とともにその後を生きつづけること――。バリ島の寺院で、ブエノスアイレスの郊外で、冬の金沢で。旅のなかで思索をめぐらせた、トラウマ研究の第一人者による深く沁みとおるエッセイ。解説 天童荒太
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Posted by ブクログ
読みやすく、優しいエッセイだった。共感できる内容や、また改めて読み返したいところに、線を引きながら読んだ。
トラウマ研究者といえど、心に傷を抱えた人すべてを救うことはできず、また、職場を離れると一人の母親であり一人の生身の人間であり、苦しんでいる人を差し置いて生活していることへ後ろめたさというか葛藤があることなんか、それはそうだろうなぁと想像しながら共感できた。
みんな傷だらけで生きてるのかなぁと思いながら読んだ
Posted by ブクログ
「傷がそこにあることを認め、受け入れ傷のまわりをそっとなぞること。身体全体をいたわること。ひきつれや瘢痕を抱え、包むこと。さらなる傷を負わないよう、手当てをし、好奇の目からは隠し、それでも恥じないこと。傷とともにその後を生き続けること。
傷を愛せないわたしを、あなたを、愛してみたい。
傷を愛せないあなたを、わたしを、愛してみたい」
とても優しい言葉
♫アルジャーノン - ヨルシカ
Posted by ブクログ
トラウマ研究を専門とする精神科医のエッセイ。
(知らなかったけど大学の先輩でした)
「自分はなんでも知っている」感がなく、人間の不完全さや弱さとと向き合ってるところがよかった。
心に傷を作らない強さや、傷ができても気にしなくなる鈍感さを求められるわけではないところがとても優しい。