あらすじ
語れないと思っていたこと。
言葉にできなかったこと。
東日本大震災が起きたとき、伊智花は盛岡の高校生だった。
それからの10年の時間をたどり、人びとの経験や思いを語る声を紡いでいく、著者初めての小説。
第165回芥川賞候補作。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
東日本大震災がテーマのひとつだけど、「他者の気持ちは絶対に理解することができない」という当たり前だけど忘れがちなことに気づかせてもらえた。
Posted by ブクログ
この本を読んで考えたこと。
あのとき、自分は何を思い、何を言ったのだろうか。
それは、今もずっとある。
伝わるだろうか、傷つけないか、怒られないか。
言った側には悪意はもちろんない。だけど、伊智花は絵を続けなかった。
この本は、勇気や覚悟が詰め込まれた本だった。どう受け止めて、どう感じたかにきちんと向き合いたい。
あとがきや解説まで読んで、これは凄いものを読んだなと思った。
間違いなく、自分の何かを動かしてくれた本。
Posted by ブクログ
東日本大震災が起こった時、その場にいたものの「目に見える」大きな被害は、受けなかった人達に焦点を当てた小説。何も失っていなくてごめんなさい。本来であれば、「幸い」と捉えられる状況をそう思った人がどれだけいたのだろう。
震災で家族を失った、家が全壊したという方達とはまた違う苦悩や葛藤。簡単にこの気持ちに共感できるとは言えない。けれど、胸が痛くなった。
「他者の気持ちは絶対に理解できない」
Posted by ブクログ
はじめてのくどうれいんさんの作品。
震災。そして、コロナ今はみんないろんな所でいろんなその災いにたいする思いが交錯する。
読みながら「おかえりモネ」にこんな感じあったなあと思っていたら、後書きにその朝ドラが重なっていることを知り、そうなんだと。
なにかがあった時、さまざまなシーンや、立場で思いは違う。本当に言語化してしまうとなぜかひとくくりになってしまう。思いを混めて描いた絵の捉え方も大多数の捉え方が主流になって、書き手の思いが置いてきぼりになることもある。
それがすごくスンとくる物語でした。「いまは人生がちゃんとマイボールになっているから大丈夫。やれることをやれるようにやるしかない。やることがないなら作るしかない。自分が一番納得するようにやるんだよ」トーミの言葉はぐっとくる
読んでよかった