【感想・ネタバレ】包帯クラブのレビュー

あらすじ

多くの人が日々生きていく中で癒えない傷を抱えている。そんな彼らの心が少しでも軽くなるようにと願いを込めて結成されたあるクラブ。そのクラブを通して感受性豊かなティーンエイジャー達は仲間と共に喜び、哀しみ、傷つき、多くの事を知り、学んでいく……。日常を生きる中で確かに存在する傷にどう対処するか、繊細でありがならも、あたたかく、そして力強く描かれる、希望と再生の物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

誰でも、生きている中で「傷ついた」経験を持っていると思います。はたから見れば大したことが無いものであったとしても、本人にとってはとても大きな影響を与えていることもありますし、「他人を思いやっている自分」という立場を自覚したことで自身のおごりに気づいたということもあるかもしれません。

主人公の「ワラ」は女子高生。中学までの友人とは進学する高校がちがったことで少しずつ疎遠になり、両親は離婚し、彼氏とも別れ、「生きている意味」を見失っていました。
ひょんなきっかけから出会った「ディノ」と呼ばれる青年との会話から、「自分が傷ついた場所に包帯を巻いて治療する」とう行動をとることになります。
次第にメンバーも増え、他人の「傷」と自分の「傷」を認め合いながら成長してゆく物語です。

世の中には思い通りにいくことは少ないし、子どものうちではなおさら周囲の力に(善意であれ悪意であれ)振り回されることも多いです。その中で、自分を見つめながら生活することを通して次第に周囲にも目を向けていけるようになる「ワラ」の成長は、これからの生活で悩み、傷つくであろう中学生・高校生を勇気づけることができるのではないかと思います。

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2018年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

傷ついた少年少女たちは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした…。
いまの社会を生きがたいと感じている若い人たちに語りかける長編小説。

~*~*~*
「巻けます、効きます。人によります」

傷ついたところに 包帯をまく
とてもステキな話だと思った

心的な外傷は、みた目に見えない
どれくらい傷ついているのか 
本人でしか いや本人ですら分からないかもしれない

だから 他者からは理不尽な言葉を投げかけられたり
本人もどうしてよいか分からないものを抱えていたり

大きな心の傷は 話すということすら困難がともなう
話すことで 過去になる」という部分もある


だとしたら 目に見える包帯をまくことで 何かが変わるかもしれない
これはひとつの傷の癒しではないかと思った

*この本に関して「傷を愛せるか」 宮地尚子著にも載っていた

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2013年08月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人が受けた深い傷に、わたしたちができることは、ほとんどないように思う。でも、相手の沈む心を想いながら包帯を巻くことで、<それは傷だと思うよ>と名前をつけ、<その傷は痛いでしょ>と、いたわりを伝えることはできるかもしれない。(本文より抜粋)


ディノが好きだ。
『永遠の仔』の著者が送る、世界の一欠けらの人たちの物語。テーマはシリアス、内容はなかなかにコミカル。
話自体はそう軽くないのだが、文章や登場人物故か、全然重い感じはなくすんなりと話に入り込める。
同じ傷なんて無い、というところに深く共感を覚えた。
シリアスとコメディが半々と言った感じの話で楽しく読める。
人が受ける傷は様々で、その一つ一つが違っていて同じものなど一つも無い。
ヒトの傷に自分たちが出来ることは何か。
読むのに大して時間もかからず、手軽に読める。
大人に、よりは学生に読んで欲しい。

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2014年02月02日

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