あらすじ
南海電鉄岸和田駅で無差別殺人事件が発生。7名を殺害した笹清政市(32)は、自らを“無敵の人”と称する。数日後、大阪地検で郵送物が爆発、6名が重軽傷を負った。被疑者〈ロスト・ルサンチマン〉は笹清の釈放を求める。不破俊太郎一級検事も新たな爆破に巻き込まれ――。果たして、連続爆破事件は止められるのか? 〈ロスト・ルサンチマン〉の真の目的とは? “棄民”と“司法”の対決が始まる。人気検察ミステリー第3弾!
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Posted by ブクログ
無差別殺人は秋葉原を思い出して恐ろしかったけど、この笹清の犯人はまさに近いんではないか。
不破検事の能面ぶりが昔の上司に被って読んでた。
沈着冷静で、何かトラブルがあっても動じない。また勝手に色白て細身の人を思い描いてた。
笹清のようなやつを生み出した要因と
不破検事のラストが印象的。
Posted by ブクログ
今回もどんでん返しの連続。
それにしても不破検事、(シリーズ通して)恨まれたり疎んじられたり撃たれたり爆破されたり大変ですね。
不破検事のラストシーンは泣けた。
御子柴令司弁護士との対決も見てみたい。
Posted by ブクログ
凄惨な無差別殺人の現場から物語が始まる。「無辜の人々」というサブタイトルの通り罪のない一般市民が次々と殺される。笹清が車で3人轢き殺した後に女子供を狙ってサバイバルナイフで次々殺すシーンは心が痛い。
笹清は逮捕され、担当警官に供述する。
自分はロストジェネレーションで就職氷河期の被害者であり、正社員で普通に生活ができる人間に対しての粛清だと嘯く。
家宅捜査が入るが笹清の部屋は殺風景。父親と二人暮らしだが父親も引き籠りの息子とは関係が薄い。父親も息子の罪を認めながら不穏な空気。
大阪地検にも証拠品や事件に対する一般市民からの手紙などの郵送物が届く。
その中に爆弾が仕込まれており爆発してしまう。
前田事務官が重傷を負い、他5人の事務官も軽傷を負ってしまった。
犯人は「ロスト・ルサンチマン」を名乗り笹清の釈放を要求する。
ロスト・ルサンチマンは犯行声明時に爆弾について解説する。爆弾はアンホ爆弾という肥料と軽油で作れる爆弾らしい。
不破検事はこの「通り魔事件」と「地検爆破事件」両方の担当になる。大阪府警とは先の事件で嫌われているので苦難が予想されるが不破検事本人は気にとめていない。
不破検事は捜査を開始する。
大阪病院で前田事務官に事情聴取→大阪府警で鑑識の爆弾進捗確認→笹清の初件→大阪府警警備部部長の帯津から情報交換の交渉→岸和田署の成島・緑川に事情聴取→笹清の精神鑑定
笹清は頭がおかしいフリをするが正常な判断の元犯罪を犯したと判断される。
ロスト・ルサンチマンが解説したアンホ爆弾が簡単に作れる事から、動画でアンホ爆弾関連動画が出回りだした。模倣犯の出現が懸念され、ロスト・ルサンチマンもそれを煽動する動きを見せる。
各所でロスト・ルサンチマンを名乗る犯行声明が多発。狂言もあれば本物の爆弾を使われたものまで様々。警察はその対応に追われてしまう。
不破検事の元に菅野刑事部長、帯津警備部部長が訪れる。榊次席検事にも呼び出され、進捗が思わしくない事に苦言を呈される。
不破検事は被害者遺族に話を聞いて回る。笹清との関係がなかったかを重点的に確認する。
7ヶ所の遺族を回った後、美晴を宿舎まで送った際に集合ポストが爆発し、不破は重傷を負ってしまう。
不破の意識が戻らない中、美晴は代理で笹清の尋問を行う。不破ほど上手くできないまま笹清の尋問が終わった後、ロスト・ルサンチマンの手引きで連行する警官が襲われ、笹清を取り逃がしてしまう。人手不足で慣れない警官が配備されたのも原因だった。不祥事が続く中、上長に連絡を躊躇した府警本部の連絡の30分の初動の遅滞により捜索が遅れ、笹清とロスト・ルサンチマンは逃げおおせてしまった。
5000人規模の捜索隊をもってしても逃亡犯は見つからない。しかし逃亡から2日後、箕面で笹清の死体が発見された。ロスト・ルサンチマンによる犯行と思われる。
笹清を殺された捜索チームはルサンチマンに対象を絞り榊次席検事をリーダーに変えて逮捕に乗り出す。と思ったら不破検事が復活した。
不破検事は病院を抜け出してきたらしい。重傷でも情報の鮮度が大事なので今動きたいと言う不破を連れて美晴がクルマを運転する。
大阪府警で笹清殺害の報告書を受け取る→箕面で第一発見者と担当巡査に聞き込み→喫茶店で鑑識の鴇田と密会→岸和田署で対峙。
捜査を進めていくと犯人は素人ではないことが判明していく。
ロスト・ルサンチマンは緑川巡査部長だった。
被害者7人の中に恋人がおり、笹清を直接殺すために爆弾騒ぎを起こした。
証拠を押さえられ、緑川は犯行を自供した。
事件の後、不破は笹清の実家に赴く。父親に話を聞くと本人よかれで息子に罵詈雑言を浴びせていたらしい。ロストジェネレーション社会ではなく、父親の接し方が事件の発端になったのではないか、という描写。
最後は不破検事が献花台に花を手向け手を合わせるシーン。そこで不破検事は能面ではなく沈痛な面持ちで手を合わせていた。
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途中で出てきたテレビの中のお笑い芸人のモデルが気になる。
被害者遺族に話を聞いていくシーンは心が重くなった。ニュースで事件を見るとどこか無機質に感じるが、当事者の顔が見えてくると辛い気持ちになる。
笹清が殺されたあたりで、ロスト・ルサンチマンは被害者遺族か?と思った。法に任せては復讐できないので敢えて笹清を解放したのか?
→当たらずも遠からず。被害者遺族は警察・検察の内情がわからないもんな。
社会風刺の話かと思ったけど逆で、何でも社会環境のせいにするなよ、というメッセージのような気がした。
成島が相棒に手錠をかけるシーンはとても気の毒だった。相棒になつた時点では緑川は正義感に燃える警察官で、緑川本人もこうなるとは思ってなかっただろう。
恋人内海菜月のスマホから「緑川」の名前が出たワケだけど、これって初動捜査で出てこないかね、と思った。初動で判明してたらルサンチマン計画はなかったかもね。
開始の無差別殺人のシーンのインパクトが大きく、罪のない人たちが次々と巻き込まれていく展開は胸がザワザワして3作品の中で一番心が動いた。続編があるのかな?次回以降も期待です。
Posted by ブクログ
もともと愛想のない人が好きだからか(笑)、不破検事のことは最初から大好きですが、いつまで経っても惣領事務官のことは好きになれません。
けれどふと気づく。彼女がこんな調子で不破に向けて放つ言葉こそ、私たち一般人が尋ねたいことなのだろうと。あまりに青臭く正義をふりかざした質問で、聴けば怒られそうだと思うことを彼女は普通に口にする。そのおかげでわかりやすい話になっているのだと思います。
冒頭の殺人現場の描写は生々しくて絶句。子どもまでそんな目に遭わせますか、七里センセ。それだけに、最後は余計に不破の様子が心に染み入りました。