あらすじ
尖閣・竹島・北方領土。領土は魔物である。目を覚ますと、ナショナリズムが燃え上がる。経済的不利益に、自国の歴史を冒涜されたという思いも重なり、一触即発の事態に発展しやすい。戦争はほぼすべて領土問題に端を発する―。日本の安全保障を研究・分析した外交と国防の大家が平和国家・日本の国益に適った戦略を明かす。
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Posted by ブクログ
領土問題に関して自分が如何に無知であったかを知りました。北方領土、尖閣諸島、竹島についての紛争の経緯やドイツの領土問題への対応など、自分なりに考える素地が出来ました。
Posted by ブクログ
日本に存在する(日本国として)領土問題。
色々な意味で知っていなかったことがこの本で歴史的事実と一緒に分かった。
日本固有の領土として主張する尖閣諸島も、日本古来の領土と言っているが1870年代以前に日本の領土であったことはないと言う事実。
北方領土も第2次世界大戦で放棄したが、アメリカがソ連と日本の国交回復を複雑にするため領土問題を曖昧にし、日本は北方領土返還を主張しソ連との良好な関係が構築出来なかったこと。
敗戦で領土を放棄し、その決着はポツダム宣言を日本が受諾したことにより決定したことであることを受け止めないといけない、それを国家は国民にちゃんと説明していない。
ドイツは敗戦により日本の比でない領土をソ連やフランスに没収されてしまったが、領土問題は棚上げして経済交流や国家交流を優先させおたがいに経済成長をして友好的な国家関係を構築した。
竹島についても同様にアメリカの地名委員会の地図には所属国を大韓民国とされている。
だからといって、この領土を日本の領土でないという結論を導き出しているわけではない。
聲高に領土問題を主張することはナショナリズムを利用しようという考えの人たちの戦略である。
それはどの国にも穏健派とそういった人たちが存在すると言うことであり、どういった方法がいいかはその時にどちらの人たちが権力に近いかによって違ってくる。
今の日本は前原氏のような強硬派がそれを煽っている。
先ほど述べた資料等によって、アメリカが日本の領土問題で紛争が起きた時日米安保によって日本を守るかどうかはこの本の事実を読む限りあり得ないと言う事になる。
だから戦後50年間の間棚上げという尖閣諸島近海の漁業協定や首脳会談で築かれた歴史がある。
違犯者はそれぞれの国の法律でそれぞれの国がその違犯者を取り締まるというルールだった。
それを先日の尖閣諸島の船長逮捕は違犯者を執拗に追いかけ、日本の法律で裁いてしまった。まさに棚上げでおたがいに暗黙のルールであった約束を日本が踏み込んだのだ。
中国の強硬派の人たちにとっては好都合なことである。
領土問題が解決しておらず棚上げになっていたことを違犯者はお互いに任せるのではなく時刻のルールで裁けるという事になれば、日本漁船を中国側のルールで裁けるという事にもなるからだ。
空軍・海軍など中国の軍事力が整備されアメリカとも肩を並べるほどになってきた中国の軍隊に、日本の保安庁の船だけではとてもではないが尖閣など守れない。
軍事力の無い国家にとって領土問題を解決するのは政治力と外交力、そして最後に頼るのは国際社会に向けての国際司法裁判所の活用である。
ただこれとて、日本に有利な結果が導き出せるとは限らないと言うことだ。
友好と共に教授出来る発展を外交力でおたがいに得るか、領土問題で徹底した抗戦をするかは政治を司る人間の判断によって分かれるだろうが、棚上げという曖昧な外交によってそれ以上の悪化や緊張を生まない手段を過去の指導者達がお互いのためにやってきたことを否定し、積み上げてきた今の均衡を大きくバランスを壊す必要はないと思った。
領土問題は難しい。それだけに一筋縄ではいかない問題だ。
日本が経済的に有利だった時代にソ連と中国との交渉で日本に僅かではあるが、有利な状況になっていたが経済状況が逆転しつつある現在、譲歩する利点も無くなりつつある。
その中で領土問題をおかしな方向に向かわせない方法はより一層の英知と努力のいることだと考えさせられた。
Posted by ブクログ
歴史的事実について曖昧な知識で主張はできないのは当然、そう思って本書を読み始めた。
今まで自分が思っていた国境問題とは違う視点であった。
まずは、もっと知らなければ、と考えさせられた。
Posted by ブクログ
尖閣は歴史的には誰も住んでおらず琉球で領有を主張した事もない。台湾所属とする資料の方が多い。戦後から所属が決着していない。
北方四島は、ポツダム宣言・サンフランシスコ条約で基本的に主権外とされている。正確には「竹島、千島列島、歯舞群島、色丹島を除く四主要島・対馬・琉球が日本の範囲」とされている。択捉、国後が名前では上げられていないが、古くから南千島と呼ばれており、上記で名を上げられていないと主張するのは難しい。
竹島はポツダム宣言で日本領外とされているが、サンフランシスコ条約では明確に記載されていない。
つまり上記全て明確に日本領だなんて言えたものでは無い係争中のものだ。
・米国にとって日本の米軍基地全体は極めて重要である。米軍は海外米軍基地の価値を計る指標にPRV(property replacement value、財産代替価値)を使っているが、この指標に基づけば、日本の基地は全世界の約30%である。さらに米軍基地の受入国の基地支援では日本の基地は全NATO諸国の1.6倍、全世界の50%にものぼっている。普天間基地は在日米軍基地全体の1/20にも満たない。1/20がうまくいかなくて、残りの19/20をおかしくすることは、米国は絶対できない。
・尖閣諸島は安保条約の対象になる。しかし、安保条約第5条は「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」としている。
米国憲法上の規定では大統領が軍最高司令官で、戦争の際にはできる限り議会の承諾を得るようにする、となっている。
つまり、自動的に米軍が尖閣を守るために出動するとは限らない。