あらすじ
昔の記憶って、いったん思い出すと、どうして止まらなくなるのだろう――。
実家は、元花街、東京・尾久のとんかつ屋「どん平」。
話題作にひっぱりだこの個性派俳優が綴る破天荒な家族と愉快な街の記憶
話題の映像作品や舞台で鮮烈な印象を残す俳優の安藤玉恵さんの実家は、元花街、東京・尾久のとんかつ屋「どん平」。阿部定事件が起きた尾久三業通りの待合茶屋は、「どん平」から20メートルくらいのところ。一家の大黒柱だった祖母、放蕩する祖父、数々の地元の伝説を持つ父、太宰治好きで、ファンキーで臥せがちな母、そんな母を一緒に看病した兄。まわりにはいつも商店街の人たちがいた――。若手芸人が小学校の通学路で稽古し、着物を着たお姉さんが歩いていた時代、昭和の最後のほうの話。
なつかしくて、おかしくて、バカバカしいのに、涙が出ちゃう。そんなノスタルジックな感情を呼び起こす名エッセイ。
感情タグBEST3
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俳優安藤玉恵のエッセイ集。そんなに歳変わらないのに、ご両親が高齢なのか、下町育ちのせいなのかめっちゃノスタルジーを感じる。かつ愛に溢れていて、寅さんとかよんでる気分になる。
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あったまる感じ。
たまたま、あらかわ遊園に自転車で行き。
雰囲気いーなぁって思う尾久、西尾久‼︎
こんなとこに鉄塔の列。
宮前商店会も、なぜか通り。
しっかりしたお店と、感じた『どん平』を見た‼︎
そのすぐあとで、手にした本書。
モノすっごくよかった。
尾久が花街だったって⁉︎初めて知り。
三業地という言葉を学びました。
商店会から、家族の話。
尾久弁。
あーっという間に読めちゃって。
また、読み返しております。
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著者の背景を知って増々、好きになった。
いつかファミリーヒストリーでやってくれないかな。
特にお母さんの妹たち(著者からすれば叔母)の人生にも興味あるわ。
18歳から同じ会社で定年後も週に数回出勤で80歳までやっていたというMバーバ。
優しくエレガントで忙しい母親に代わっていろんなとこに連れていってくれたTバーバ。18歳で出会った
一回り以上年上の既婚者のDさんと60年を超えて一緒にいること。魂が出会ってしまったと著者が表現する。
そして著者の母だよ。
元々は文学少女で出版社に勤めていたのに、とんかつ屋どん平に嫁いで店のこと、育児、大家族の世話を一手に引き受けて晩年は入退院を繰り返していたそう。
お父さんもちょっと変わっているけど凝り性で、死ぬ間際までNHKのラジオ英語講座を聞いていたというから、著者が勉強して上智大学に合格したのも頷ける。
お兄さんも武骨だけど妹思い。
どん平で働いていたトモコさんと石川さん、尾久三業通りの
宮前商店会のほんとにどこにでもある下町の市井の人々の日常が活き活きと綴られている。
一読の価値あり。
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家族とか下町とか親戚、隣人、、こんなふうに人と関わり生きて来れたらと憧れの気持ちで読みました
こういう生き方をすると人情って生まれるのかなと
安藤玉恵さんという女優さんがどんな場所でどんな人と育ったかというエッセイ
あまりエッセイって好きじゃないけど小説のようにスッと入ってきました
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【探偵はバーにいる】で初めて意識した俳優さんの 小さい頃の思い出がいきいきと書かれたエッセイ…
商店街にあるとんかつ屋さんがご実家。
登場人物に彼女の愛が詰まった文章に一気に読めました。
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文章が イキイキして 全く同じ体験をしてないのに
まるで自分が体験したような 不思議な感覚
登場人物がバライティーで 人間臭くて 説得力がある 素敵な文章
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阿部定事件の現場間近に店を構えるとんかつ屋さんの娘たまちゃんこと安藤玉恵さん。
そればかりかおばあちゃんはその跡地に住んでいたという衝撃の告白?に驚かされるが、あとはご家族ご親族ご近所さんの想い出話。
初エッセイとは思えない読みやすさ。
賢いんだなぁ。
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audible121冊目。
時間がびっくりするほど短かったので一体どうなのだろうと思いつつ選びましたが、まあ面白かったです。
しかしやはり、痛感してしまうのです。
子どもの考え方や生き方は、やはり、生育環境にかなり変わってしまうことを。
お金や親の介護など気にせず育てたら、わたしもきっと違う人生を歩んでいただろう。
少なくとも、いまこの仕事はしていないだろう。
でも、それで心をすり減らしていないかどうかは、歩んでない人生だからわからない。
しかしながら、苦労したとかは関係なく、やっぱり、大切にしてくれた親がただひとりいるだけで、子の心は安定する気がします。
ありがとうお母さん。
下町や商店街の雰囲気っていいな。
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女優・安藤玉恵さんの育った地元を中心にしたエッセイ。
彼女の名前と顔が一致したのが、「探偵はBARにいる」(2011年)から。その時から注目はしてたけど、やはり個性的な人たちとかかわりあって育ってきたんだね。
安藤さんぐらいの年齢でも東京はまだ隣近所のつきあいが密だったんだね。
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女優である安藤玉恵さんの子供時代の話を中心にしたエッセイ
商店街を舞台にした昭和の情景が鮮やかに描かれ、沢山の人に囲まれて愛情深く育てられた様子が心に響きました。
お父さんが野球場でトンカツを揚げたエピソードや、お母さんが連絡帳に詩を書いて先生を引かせたかもしれない(笑)エピソードなど、家族の温かさが伝わる微笑ましい思い出ばかり。
昭和の良き時代の人情味あふれる日常が、安藤さんの優しい文章で生き生きと蘇り、読んでいて幸せな気持ちになりました。懐かしくて心温まる一冊
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東京荒川の尾久(おぐ)、宮前商店会の鮨福のオヤジさん「たまちゃんね、ボケるのがいいんだよ。足だってもうダメで市場も自転車で行けなくなって、だんだん耳も目もぼやけてきて、最後は脳みそもぼやけてきて、それくらいがちょうどいいんだよ。この年でなんでも物事がはっきり見えちゃうのも面白くないよ」老いの哲学的考察、思ってしまうのは、私がオヤジさんのことを好きだからだろうか。
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大好きな女優さんのひとり・安藤玉恵さんことたまちゃんの初エッセイ。ディープな下町・尾久に生を受け、この親ありてこの子ありを地で行く人柄の源泉と、育った商店街の人々との回想を流麗な文章で活き活きと描いている。確かな演技と飾らない人柄が行間に溢れ出ており、ドストレートなエッセイとして楽しめた。
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著者を最初に知ったのは「あまちゃん」。名前はわからないけど、周りの個性的な登場人物に埋もれずにとがっているこの人は誰?だった。
この文章は誰のことを指しているのだろう、と推理することが時折あるけれど、子ども時代は商店街の方からかわいがれ、育てられたことがあふれていた。
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読みやすく面白かったし、安藤さん結構やんちゃだったんですね。子供の頃。
なんか「ちびまる子ちゃん」読んでるみたいでした。
たまちゃんなのにね。
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ほのぼのほっこり、東京の下町っていいな。
近所の人だけでなく、両親の兄弟が多い時代、本当にみんな個性的で面白い人達との関わりが伝わってきます。
コロナ禍の一人芝居、なんて贅沢なんでしょう。
尾久の人たちのまだまだ続くお話、続編を期待しています。
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とんかつ屋を営む父母、叔父、叔母、商店街の人々の個性豊かな温かさに包まれて育った著者はすばらしい表現力を持った女優になった。やはり育った環境というのは大切だなあ。登場する人みんなが甲乙つけがたい面白エピソードを持っていて親戚の集まりがあれば、さぞかし爆笑だろう。
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読み終わるまでどの女優さんのことなのかわからなかった。なるほどこの方か。確かに下町感のあるいきのある感じの人だなーと。なんとなく下町の世界が感じられてよかった。
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個性的で記憶に残る女優さんだと思う安藤玉恵さんのこと。
彼女が育った東京・荒川の尾久での近所の人との関わり合いや家族のことなどを書いている。
実家がとんかつ屋で、その近くの待合茶屋で阿部定事件が起こったと言う、昭和11年のことだ。
彼女が2020年の秋に阿部定事件を題材に一人芝居をしたことから始まり、幼い頃に記憶する近所の人との関わりや親戚の叔父,叔母の多いこと。
サービス精神旺盛で明るい父と体は弱いが根性はあり、応援してくれる母に優しい兄のことなど。
下町育ちで賑やかに暮らしていたことがよくわかり、親しみやすい彼女を知ることができた。
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Audible で聴きました。ナレーターは著者の安藤玉恵さんご本人でした。
この本は、東京都荒川区の尾久(おぐ)出身の俳優 安藤 玉恵さんが、家族・親戚のほか、近隣のお店の人たちなどについて書いているエッセイです。
かつて尾久は「三業地」として賑わった町でした。三業地とは料理屋(旅館)・芸妓屋・待合茶屋が集まっている地域で、いわゆる花街のことで、安藤さん(玉ちゃん)の家はとんかつ屋さんを営んでいました。
土地柄なのかは分かりませんが、登場する人たちはみんなとても個性的で、その言動は不思議に思うものもありました。
そんな個性的な大人たちに愛されながら、玉ちゃんは心根たくましく育っていきます。見てきた大人たちの姿は俳優業に活きていると安藤玉恵さんは書いています。
この手の本を楽しむには、書かれている環境に入り込んで近所の人になったつもりで読むのが良いと思います。
個性的な人たちは興味深いですが、小説のようなキチンとしたストーリーがあるわけではなく、ましてや伏線があるわけでもないですから、ありのままの人間模様を受け取るのが良いと思います。
わたしが好きだったのは、玉ちゃんのお兄さんについて書かれている章で、兄がいないわたしにとっては兄妹の姿は新鮮でした。
なぜだか懐かしい感じがする尾久の町の風情を味わってごらんになってはいかがでしょうか♡
《本書の内容》
昔の記憶って、いったん思い出すと、どうして止まらなくなるのだろう――。
実家は、元花街、東京・尾久のとんかつ屋「どん平」。
話題作にひっぱりだこの個性派俳優が綴る破天荒な家族と愉快な街の記憶
話題の映像作品や舞台で鮮烈な印象を残す俳優の安藤玉恵さんの実家は、元花街、東京・尾久のとんかつ屋「どん平」。阿部定事件が起きた尾久三業通りの待合茶屋は、「どん平」から20メートルくらいのところ。一家の大黒柱だった祖母、放蕩する祖父、数々の地元の伝説を持つ父、太宰治好きで、ファンキーで臥せがちな母、そんな母を一緒に看病した兄。そしてまわりにはいつも商店街の人たちがいた――。若手芸人が小学校の通学路で稽古し、着物を着たお姉さんが歩いていた時代、昭和の最後のほうの話。
なつかしくて、おかしくて、バカバカしいのに、涙が出ちゃう。そんなノスタルジックな感情を呼び起こす名エッセイ。
Posted by ブクログ
女優・安藤玉恵のエッセイ。ドラマや映画をあまり見ないので、女優としての顔は正直あまり知らないのだが、エッセイとしてとても良かった。Audibleで読んだのだが、声も良い。声を聞いて、ずっと他の女優さんの顔が頭に浮かんでいて、名前を思い出せなくて、もやもやした気持ちを丸一日引き摺ったが、ようやく思い出した。この方、小林聡美さんに声が似てる。
名エッセイ書く人って、当然ながら記憶力が死ぬほどいいよな。思い出が細かければ細かいほど、魅力的に感じる。わたしはそもそも中学校くらいまでの記憶があまりないし、イベントごとしか覚えていない(引越ししたとか受験したとか)。もっと、面白い親戚がいてこんなこと言われたとか、周りでこんな変な商売してたとか、覚えていたかったな。
エッセイの内容的にも語り口的にもてっきり安藤さんは50代、なんなら60代くらいかと思ったが、まさか40代だとは。そう思わせるのは、東京の下町である尾久(おぐ)で育ったがゆえなのか。当然のように語られていた、かつての尾久で起きた「阿部定事件」もわたしは初耳で、調べていくと事件の猟奇性もさることながら、俳優の阿部サダヲの芸名の由来と知り驚いた。