【感想・ネタバレ】中国古典の知恵に学ぶ 菜根譚のレビュー

あらすじ

五島慶太、田中角栄、川上哲治、吉川英治…
江戸時代から偉人たちに愛読されてきた、中国至宝の処世訓

『菜根譚』はおよそ四百年ほど前に、中国・明代の学者、洪自誠によって書かれた処世訓です。
日本には江戸時代末期に伝わり、これまで非常に多くの人から愛読されてきました。
中国よりも日本でよく読まれていると言われるほどです。

特に経営者や政治家、文化人に座右の書としている人たちが多く、
東急グループの創業者・五島慶太、元首相・田中角栄、小説家・吉川英治、元巨人軍監督・川上哲治など、そうそうたる顔ぶれが愛読者だったと知られています。

『菜根譚』は、人生にとって重要な原則を的確にあらわしていると高く評価されていますが、それには、十分な理由があります。
著者の洪自誠は、儒教・仏教・道教という、 中国はじめ東洋全体に影響を与えた三大思想について学び、
それぞれの足りない部分を他から補うようにして、この本を書いたのでした。

儒教は自らを厳しく律して学ぶことを説き、 道教は反対に自由にのんびりと生きることを勧めます。
この二つが現実的な知恵であるのに対し、 仏教は宇宙の真理を語り悟りの境地を教えます。
『菜根譚』にはそれらすべての要素が含まれていますので、読者のあらゆる悩みや問いに答えを与えることができるわけです。

あるページでは苦しみに耐えて努力すべきであると言い、あるページでは心にゆとりを持ち楽に生きることを勧め、
あるページでは現実は幻でありすべてを超越して生きるのがよいと語るこの本は、さまざまな状況や心理の間を揺れ動く私たち人間に対して、
常に何らかの答えを示してくれる非常に融通が利く書であるとともに、極端に走らずバランスをとって生きることの大切さを教えてもくれているのです。

『菜根譚』という書名は、明代よりさらにさかのぼる宋代の学者の言葉
「人よく菜根を咬みえば、すなわち百事なすべし」
(堅い菜根をかみしめるように、苦しい境遇に耐えることができれば、人は多くのことを成し遂げることができる)という言葉に由来します。
かみしめて味わうべき人生訓の書という意味が込められています。ぜひ、あなたにとっても、折にふれて開き「かみしめて味わう」本になってほしいと願っています。
(「はじめに」より)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

菜根譚
人間の一生は、後半の人生をどう生きるかで決まるのだ。

天が幸福を授けてくれないなら、自分を磨いて幸福を得よう。
天が肉体を苦しめるなら、精神を楽にして苦しみを減らそう。

恩返しなど期待できない相手のためにこそ、恩を施すべきだ。

大切なのは、耐える力を身に付け、辛抱強く生きていくことだ。

太陽が地平線に沈んだ後でも、空は夕焼けで美しく輝く。晩年になっても、気力を充実させれば、さらなる飛躍を遂げることができる。

早熟は晩成にはかなわない。

常に死を意識し、病気になったときのことを考えながら暮らしていけば、色欲や物欲、名誉欲といったものに惑わされることなく、人としての正しい生き方をすることができる。

立派な人物とは
小さなことにも手を抜かない
人が見ていようがいまいが、悪いことはしない
失意のどん底でも決して投げやりにならない

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2013年09月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

菜根譚前集4

勢利紛華

不近者為潔

近之而不染者為尤潔。

智械機巧

不知者為高

知之而不用者為尤高。

権力、利益に関心がないひとは高潔だ。

だが関心を持ちながら染まらない生き方ができるひとこそもっとも高潔だ。

策略、駆け引きを知らないひとは賢明だ。

だが権謀術数を知りながら使わないひとこそもっとも賢明だ。

向上心と謙虚さを大事に生きたいと思うとき決して忘れてはならない言葉。大事にしたい。

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2011年01月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

川上哲治、吉田茂、松下幸之助など歴代のリーダーが愛読していた書は、それでも諦めるなと常に励ましてくれる温かさがあると感じています。

特に好きな言葉が下記です。
「徳とくは才の主、才は徳の奴なり。」
才ありて徳なきは、家に主なくして、奴、事を用うるが如し。幾かん何ぞ魍魎にして猖狂せざらん。

また、この書には出てきませんが、
後集76が私にとって最も大切にしたい言葉です。

「伏久者飛必高、開先者謝独早。」

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2015年07月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アランとかよりは読みやすくもあり、難しくもあり。言葉は簡単なのに本質を見抜くのが難しいとでもいいましょうか。だからこそ何回読んでも面白いのかもしれません。

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2013年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今回もaudio bookの聴読。

「菜根譚」の著者は洪応明。字の自誠をとって洪自誠と呼ばれる。明代末期、万暦年間(1573-1620)の人であったと考えられている。

「菜根」とは、宋の汪信民の次の言葉にちなむようだ。
「人、常に菜根を咬み得ば、則ち百事を做すべし」
(人は常に菜根をよく咬んでいれば、あらゆる事はなしとげられる)

全体は、前集222条、後集135条、合計357条から構成されており、前集は俗世の人々とのかかわりを中心に語られ、後集は俗世を超えた深淵な境地が説かれている。その内容は、儒教、仏教、道教を背景としているところが最大の特徴である。

役人であった洪自誠が、引退後にその人生を通じて得られた処世術を集大成したものがこの「菜根譚」だろう。

本書は、この357条の中から220条が抽出されているという。「菜根譚」原文では、タイトルなどないそうだが、本書では8つの章立てに再構成されている。本書の編集者の意図で、各条が分類されている。

以下、その220条の中から、自分自身が気に留めたいくつかをさらに抽出し、メモ代わりに記しておきたい。

1.生き方について
・自分で運命を切り拓く
・晩年こそ気力を充実させる
・主体的に生きる(他人任せ、環境依存はダメ)
・苦労もし、ゆとりも持つ

2.心の持ち方について
・包容力を持つ
・物事にとらわれない

3.自分を律することについて
・成功をしても気を抜かない、失敗をしても諦めない
・我をはらない
・自分の心に勝つ(誘惑に負けない)
・自分の心を観察する
・すべてを自分の責任と考える
・他人からの評価に一喜一憂しない
・使命を自覚して正しく行動する

4.人とのかかわりについて
・一歩譲ることで一歩進む
・友人の過ちを見過ごさず適切な忠告をする
・家族の間で恩を着せない
・人を信じる
・リーダーは、①発言は公明正大に、態度は公平公正を貫く、②常に心を穏やかに保ち笑顔で部下と接する、②権力や利益にばかり執着している輩に近づかない、④極端なことをしてつまらぬ恨みをかわない

5.物の見方について
・自分の心を見つめる
・利己的にならず大局的に判断する
・世間の評判を鵜呑みにせず自分の目で確かめる
・立場を変えて物事を見る
・視点を変えて物事を見る

6.日々の行動について
・初心に帰る、行く末を見極める
・正しい行いから逃げない
・高い目標を持つ、目標に集中する
・本来の目的を見失わない
・社会のために尽くす
・常に学び続ける、成果が見えなくても続ける
・本質に迫るまで深く学ぶ

7.人間について
・逆境にあって自分を磨く
・若者をしっかりと教育する

8.幸福について
・苦労の中に喜びを見出す
・心の持ち方を変えて幸福になる
・自然の美しさに目を向ける

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2021年09月24日

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