あらすじ
運命もロマンも信じない今の大人の恋愛とは。
花屋でパート勤務をしている主人公の彩香は、30代で未亡人となった。高校生の頃恋焦がれた20歳以上年の離れた数学教師との出会いを運命と信じ、想い続け、卒業後に2人は結ばれた。
娘も授かり幸せな生活を送っていたが、その最愛の夫はガンで他界。当時の彩香にとってすべてだった夫。
喪失感を抱え「もう運命なんて信じない。ロマンも要らない」とすべてを諦めて暮らしていたが、ある日、自分が失ってきたものの大きさに気づく。そして、焦燥感にも近い熱い衝動から偶然出逢った男性・今井と「雑な大人の恋愛」をすることに。
ほどよい距離感と大人のルールを決めて始まった二人の恋。だが、徐々にその関係性は歪に綻び始める。お互いを、「運命の果てに立ち尽くしていた者同士」と実感していたはずだったが、徐々に彩香の心には違和感が生じる。そして今井にも、打ち明けられずにいた「真実」があった・・・・・・。
不倫、泥沼、女性が悩み泣き濡れる恋愛・・・・・・。そんな「昭和・平成までの大人の恋愛」とは一線を画す、現代<いま>の大人の恋愛に「本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」受賞の著者が真っ向から取り組んだ渾身の一作。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
教師と教え子の恋愛、年齢差のある結婚生活、夫との死別、死別後の恋愛、全て自分とは無縁のものばかりだった。なのに、特別感がなく、友だちの話を聞きながら、恋愛や結婚って何だろうと思いを巡らせる感覚だった。
彩花は、前夫との結婚生活、大地との恋愛を通して、関係がぎくしゃくしたことについて、上下関係が固定されたパートナー関係に問題意識をもっていたが、経験する人によって、相手への理解、思いやりの深さ、価値観など、切り取るところは異なると思う。自分だったら、と考えられるところに面白さがあると感じた。
Posted by ブクログ
久しぶりに一気に読んだな…大地くんすごくすごく好きだったんだけどな、最後残念すぎる部分が露呈しまくって、現実ってこんな感じだよな…運命とか、この人とか、簡単に使える言葉吐くようにいう人は基本ダメな感じするな…凪ちゃんは女の子が好きなのかなとか色々思ったり。好き物語だった。
Posted by ブクログ
まったく初めての作者、誰かが推奨していたのだろう(北上次郎?2025なのでちがう!)。年の差婚で残されてしまった彩香が、出会った時からずっと導いてもらう関係だったことを振り返るあたりが切ないな。
きれいな日本語の文章がとても読みやすい。他の作品も読んでみたくなる一作でした。
Posted by ブクログ
なんか好きな本だったな。
主人公は夫と死別した40代の女性。あれ、40代だったっけ?笑
娘は単身、北海道の大学へ。
心配は沢山あるだろうけど、きっと子育てから解放というか。
少し卒業が見えていたんだと思う。
紆余曲折あって、恋人ができるんだけど。
雑な恋がしたい、軽い恋人関係を結びたい。
と、お互いの気持ちが一致して
・お互い干渉、束縛はしない
・会計は割り勘
・お互いの家への泊まりはなし
という、一見恋人同士ではなさそうな条件を結ぶ。
でも、これって理にかなっているかも。って思う。
恋愛って楽しいけれど、
お互いが干渉し合って自由が減るのってすごくストレスだし。
今日はどっちが支払いをするとか、相手にばかり払わせてしまっているとか
小さなことが気になって、ストレスで長続きしないカップルって多い気がするな。
特に情熱だけで突き進める若い頃とは違って。
もう、お互い大人なんだからって
どこかで、ふと自分を俯瞰で見てしまうかもしれないし、
それを防ぐために、そんなモヤモヤから自分達を守るために
こういうルールを設けるのって
すごく大人というか。
子どもみたいに傷つきたくない、ストレスを感じたくないっていう大人ならではの防御の仕方なのかも。
これは大地くん側の話を読みたいなあ。
筆者さんお願いします!笑
大地くんサイドの恋愛観だったら
ふわふわした感じと、ドカンと傷つく感じと両方味わえる気がする。
Posted by ブクログ
花や花屋を題材にしている作品は他にも読んだことありますが、この作家さんらしい所々の人物描写や背景表現が独特で味わい深かったです。いろいろな種類の花が出てきて分からないのはどんな花か調べて確認しながら読んで、そういう意味でも楽しめました。ストーリーとしても登場人物の相関性や関わり方の変化等幅広く楽しめた印象でした♪(^_^)
Posted by ブクログ
高校の生徒と教師という関係の頃から「運命」を感じ、卒業後に結婚した20歳年上の夫と30代で死別した40歳(作中で41歳に)の女性主人公が、自分が失ってきたものの大きさに気づき、「雑な大人の恋愛」をしようとするというあらすじの現代の「大人の恋愛小説」。
20歳での年の差婚や死別後まもなく「雑な大人の恋愛」をしたいなど、主人公の生き方に共感するわけではないが、心理描写が丁寧なので、主人公をはじめ、いろんな登場人物に感情移入しながら読み進め、悪くない読後感だった。
最後に主人公が得た悟りのようなものは、「運命」「永遠」なんて存在しないが、その時々の生のほとばしりは真実であり「そのどれもが絶対的に美しい」というふうに自分としては受け取った。
Posted by ブクログ
大好きな奥田亜希子さん。
タイトルと装幀も好み。
主人公は高校時代に数学教師と恋に落ち20歳で妊娠出産した彩香。
運命を感じ結婚したものの、20歳以上歳の離れた夫は58歳で病死。
30代で未亡人となった彩香のその後の物語。
年齢を重ねるに連れ私たちは運命だとか永遠だとか、その殆どがまやかしに過ぎない事に気付いてしまう。
彩香も例外ではなく、得て失ったものの大きさに気付き、無味乾燥な日々を送っていた。
そんな中、一人の男性の出現により再び人生の歯車が動き出す。
一言で言えば大人の恋愛小説。
運命の終い、これしかないタイトル。
Posted by ブクログ
運命の果てに立ち尽くしていた者同士だったから惹かれた。それ以上でも以下でもなかったということなのかとなんとなく納得したけれどもすっきりしない気持ちも残る。雑になりきれないってことなのかな。あと自分も大地くん気質があるからかもな。でも仮に綾香と大地くんがそのまま続いても大地くんは同じことを繰り返す気がする。なのでこれでよかったのだろうな。
最後まで読むと娘が一番大人なのではとも思った。
Posted by ブクログ
「結婚も出産も幸せの保証にはならない」
なるほどそうかも、と思ってしまった。
大人の恋愛。一定の距離を置いていても、相手の事情に深く立ち入らなくても、付き合っているうちに関係は変わっていく。この変化は何かが新たに生まれたときから、どうしようもなく始まってしまうもの。
相手のことを知りたくなった時はもう恋に落ちているのかも。
「好きになった相手こそが、自分にぴったりの価値観を持ってるように勘違いするの。つまり、一等のくじを引くんじゃなくて、引いた紙くずが一等に見えるの」
上手い表現だなと思う。
普段、恋愛小説はあまり興味はなく、避けているぐらいだけど、この作品は妙にしっくりした感じ。
Posted by ブクログ
高校教師と元生徒で、20歳年上の夫と結婚していた綾香。病死で夫を失い、一人娘は大学進学のため家を出た。未亡人といっても40歳、雑な恋愛をしたくてマッチングサイトを利用するが望み通りにはならず。偶然、店員と客として知り合った大地と付き合いはじめ、深く入り込まないをモットーに親しくなるが最後は一方的に綾香が大地に別れを突きつける。上下関係を作りたくないから、というあまり納得できない理由で。あまり好きになれない人が多かったが、娘の凪と友人のひかりちゃんの若く素直な感情が、すてきだった。
『ママ彼氏作ってもいいよ』から不機嫌になる様子。歳の差のある人との結婚について聞き『ぜんぜんわからへん』。
シングルなら、親しい男性がいたら楽しいだろうな、とは思う。そんな経験してみたい。
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主人公は高校の先生とデキ婚して、30代で大学生の子供がいます。旦那は20歳年上でしかも病気で亡くなってしまって主人公は未亡人に。恋愛しようとアプリで出会いを求めたり、居酒屋で出会った気が合う男性とお互い楽な適度な距離の恋愛をしてみるけど、、、
離婚した後恋愛した方がいいかなとしてみるけど、若い頃と比べて恋愛より本当に大切なものは他にあるって気づいた自分がいました。なので主人公が自分の大事なものを選択していくラストに共感しました。
Posted by ブクログ
20歳離れた憧れの高校数学教師と結婚し娘を育て30代で夫が亡くなった。まだ子育てしながら夫の母の介護も残っている主人公が雑な恋愛を求めて花屋のパートも充実させている。何もかも運命だと言われればそうだが思いがけず終わなければいけなかったことと自ら終うこと、人生は出会いと別れと選択だらけだ。
Posted by ブクログ
どこを切り取っても文章の全てが美しかった。花と空気と気温と匂いと風と光。いろんな場面をたくさん感じられた、美しい映像のような読書体験だったな。花の香りもたくさん感じた。こうも五感を刺激されるこの文体はなんなんだろう。あっという間に読み終えた
日々、わたしの今の現状の不満は、過去満足して選んだものの延長線上なのだということに絶望すること、よくある。
でもそれはあの過去立派に咲いた花が枯れてしまったのだと割り切るのではなくて
枯れ行くその花の変化に、その変化する瞬間それぞれにきっと美しさがあるんだという 新しい視点。
あの時信じて進んだから、それが結果的に間違っていたわけじゃなくて、美しく枯れただけなんだと。
よく経年変化という言葉があって、その変化を『味』と言って楽しむけれど、人生自体がそういうものなのかもしれない。
美しいものを美しいままで保ちたくて、でもうまく行かなくて、悲しくなって無茶する必要はなくて。
変化して美しく枯れ行く我が人生を、この先楽しみにしていけそうだなって気持ちになれた。
たまたまこれを読む前に『大豆田とわ子と三人の元夫』を鑑賞していたからか、なんとなく坂元裕二作品のような演出で、脳内再生してしまった気がする(笑)
Posted by ブクログ
主人公は20代で結婚しその結婚生活のなかで、
生きてきた時間が倍近く違う相手と、対等な気持ちで過ごすのはすごく難しいと思っていて(死別する)
次に出会った男性と
すべてを求めず、すべてを明け渡さない、対等な関係を築きたかったけど、
相手の嘘に不信感を抱き、わだかまりを持ってしまった。信頼することが出来るところまでいかなかった…
ということかな。
花が枯れてドライフラワーにしてレジンに加工してく日常と、どこが終わりどきなのかを決めかねる自身の恋愛とが対照をなしていて、
高校生の頃の恋愛、その延長線での結婚、子供、実の親、義理の親との関係性、職場での活躍等織り混ぜて書かれている。
なげやりな姿勢から始まった割には
最後冷静な判断をくだすあたりが
大人の女性の恋愛なのかな と思う。